top of page

奇蹟の夜

更新日:2024年11月4日


35++記念 わっしょいⅢ


あらゆる奇蹟が交錯する夜………

そしてついに、あの方の正体が…




都心。高円寺にある、とある料理屋に2名の女が来店していた


「乾杯🍻p(^^)q」

「楽しかったね~悪×××ツアー……💕」


「本当に💕もうさ、理栄から伝え聞いたことを

小説にして書き続けてるけど、あまりにも現実とかけ離れてて、

虚しい気持ちになることもあったよね……」


しみじみと語る里好を、微笑ましく見つめる楓


「まさか、長官が戻ってきてくれて

半分以上があの話の通りになるなんて…😭😭😭」


「(´ー`*)ウンウン💕 きっと残りの半分も(*´m`)イシシッ」


「Σ(・ω・;)ギクッ え💦まさかあ💕」


カランカラン


その時、店のドアが開き、新たな客が訪れた

その客をいち早く見たマスターは目を丸くして震えている


「マスター?どうなさったの?」



少し前のこと


久しぶりにダンケルと一緒に、人間界の視察に来ていたイザマーレ

ランチ時になり、手近な店に入ろうとしていた


ドアを開ける直前にダンケルがハタと動きを止める


「陛下?どうしました?」




「やばい、イザマーレ。先客がいるようだ」

「! 残念ですね、じゃ改めますか」


ダンケルの言葉に踵を返し、

イザマーレは店先から離れようとしたのだが


「ん、いやちょっと待て!見たことある奴らだぞ…

!!あいつだ。楓とかいったか。

いつも私のツイートに可愛いコメントをくれる奴だ」


ダンケルの言葉に、イザマーレも店内を透視する


「……! 陛下。今日はここを使いましょう。

大丈夫です。あいつらなら……」


そのまま、ドアを開けた



マスターの様子に、まさかと思い

恐る恐る振り向いた楓


この店の常連客の2名。

自分たちが誰のファンなのかをよく知るマスターに

『もし、御本悪魔が来たら、目配せして教えてくださいね💦』

とお願いしていたのだ


見間違えるわけの無い、ダンケルの世仮姿に固まる


そして……


もしや、と顔面蒼白になりながら、恐る恐る振り向く里好

ダンケルの横にいる存在に

里好はフォークを落としたことも気づかず、震えながらも

視線を逸らせずにいた




「ようやく会えたな、理栄」


人間の姿でサングラスをかけたイザムが微笑んでいた


「!!!……え💦えっと……私は里好で…」


里好は被り振りながら、必死に訂正しようとする

頭の中は真っ白で、自分の言葉すら耳に聞こえない


「何を言うか。お前だろ?理栄。誤魔化せると思うのか?」


ニヤっと笑い、すぐ隣に座るイザム


「お前の言霊は強烈だな。ほぼ、そのままになる。

ところで……だとすると、吾輩とお前もそろそろ…

だよな?」


イザムの言葉にますます目を白黒させる

そう!あらすじの続きなら、知らないはずはないのだ


今回の悪×××黒ミサツアーに

16年ぶりにウエスターレンの復帰が決まり

思い描いていたとおりの筋書きになっていることに

感極まる思いを嚙み締めていた里好


(…であるならば…、い、いやいやいや💦💦)

仕事や家事に追われながら、何度妄想しては打ち消しただろう


「💦💦💦えっと……」


困惑して、張り付いたままの笑顔で返答に困る里好に

イザムは追い打ちをかける


「いつにする?(o´罒`o)」




「///なっ……なんの事でしょう…💦」


「たしかこの後、嘘の契約して恋人同士になるんだよな?」

「あ、あの……/////💦」

恥ずかしさのあまり、真っ赤になる里好

イザムはニヤッと笑い、彼女の髪をそっと撫でる


そこへ再びドアのなる音


「閣下💕お待たせしましたー…って、あれ?」


長身で足の長いイケメンと、里好そっくりの女性と

楓そっくりの女性が入ってきた


振り向いた里好と楓はさらに驚く

マスターは、それぞれの顔を見比べて

目をさらに丸くしている


「り……理栄!!!!」


里好は驚きを隠せず、その女性の名前を叫ぶ


「里好じゃない💕💕 久しぶりだね(´∀`*)ウフフ

…って、閣下、もしかして、里好と初対面ですか?」


「ん?いや、随分前から気づいていたぞ。

リリエル、お前の器だった女だろ?…だが、

ほぼ本物と言っても良いほど、そっくりだよな(笑)」


「(*^艸^)クスクスw 私の事を『リリエル』として書いてくれる代わりに

里好のお願いも、きっと叶えてあげるって、約束してたのよね💕」


「😭😭😭うん…うん…………」





「それって、俺のことか?長いこと待たせたな♪」


「!!長官……本当に、ありがとうございます😭😭😭」



3魔と1人のやり取りを、目を輝かせて見ていた楓

その横にダンケルとダイヤが仲良く座っている


「リリエル様と長官に、絶対に来いって誘われたの…

陛下の特別メニューがあるって聞いて…」


「そうだ。その前に、サラダもきっちり喰わせるぞ(¯v¯)ニヤ」


「…マジかΣ( ̄□ ̄;)!!😅😅😅」


聞いていた楓も思わず苦笑い


「パスタも美味しいよ💕 でもダイヤ……あんたに会えて良かった

ひと言、言わせてもらいたかったのよ。本当に。

もっとしっかり、リリエル様を支えなさいよ💢💢」


「!!ご、ごめん…楓…」


会話の聞こえたイザムとレン



「ほう。お前たちは、器の方が多少しっかりしてるんだな?(笑)」

「今度逃げ出したら、こいつを代わりに連れていくか(笑)」


イザムとレンの辛辣な言葉にダイヤが焦る


「ちょっと!!それだけは駄目🤣🤣🤣」

「( ・∀・) ニヤニヤ 良いですよお、いつでも!!」

ニコニコ笑う楓





「(笑)ま、器だとしても、お前たちは同じ魂で繫がっているからな。

実際に魔界で暮らせるようになるのは、まだ何年も先だろう。

しっかりと天寿を全うして来い。」


「!!……閣下……」


「あ、そうだ。理栄の器。

名前は里好だったな?いつも便りをありがとな。

お前の作る話は、いつも楽しませてもらっている。

どこかで見聞きした事ばかりと思っていたが、

理栄がいつも、実際に伝えていたんだな(笑)」


「!!///////は、はい…💦すみません…💦💦」


「(´∀`*)ウフフ…だけど、『理栄』って名前は

里好と閣下と長官だけの秘密よ♪

閣下が昔、夢台本で授けてくださった、もう1魔の私、

校長先生の名前だからね♪

里好に伝えた時は、『リリエルにして♪』って

お願いしちゃったんだけど(*´艸`*)」


「ああ…過去に存在した吾輩の前世が作り出した

本当に望んでいた世界、魔鏡学園のことだな。

それを事件前に魔界図書館で見つけて、Lilyelに教えてやったら

物凄く喜んでたから…その名前も、リリエルの魂の一部に

刷り込んでやったんだ。だから、『理栄』も間違いではない。

お前の中に、ちゃんとある名前なんだぞ。」


そう言って、リリエルの髪を撫でるイザム


「閣下の前世…?」

思わず口元に手をやり、考え込む里好


「ハッ…ひょっとして…あの、近所のおじいさん…?」


里好の呟きに、イザマーレはニヤッと笑い耳元で囁く




「寿命が尽きたということは…今も魔界のどこかに

居るのかもしれんな。奴の物語を、吾輩も一度は

じっくり楽しみたいと思っていたんだ。

里好、お前に書いてもらおうか。そのうちな♪

だがそれまでは、リリエルには内緒な♪」


「//////」

里好は真っ赤になり、慌てて頷いていた








都心の片隅で、奇蹟のような一夜が過ぎていく……




東京での黒ミサが無事に終わった。


遠征組のリリア・ムーラン・スプネリア・プルーニャは

いったん荷物を置く為にホテルに寄り

東京組の里好と楓は

先に打上げをする為のお店に向かっていた。


道中のお供は今夜の黒ミサの感想だ

それぞれがそれぞれの推しを見ていたため、

微妙に感想がずれるが…


「あの曲の時の閣下、素敵だったわぁ」


顔を赤くして、うっとりと呟くリリア

頷きながら、同じように盛り上がるムーラン


「こっちの曲の時もセクシーだったよね」


「あの曲の時、殿下をアップにして欲しかったな…

でも、こっちの曲の時アップになってくれて嬉しかったぁ」


その場面を思い起こしながら、にんまりと微笑むスプネリアに

すかさず茶々を入れるプルーニャ。


「その場面での代官が可愛かった。

あっちの曲の時の代官はヤバイ!エロい!」


途中からは一人興奮して鼻息荒く感想を呟く。


個性豊かな4名が、きゃっきゃっとお喋りしながら、

里好から送られた LINE を見て店に向かう。

店の前に到着し、店名を確認した後、プルーニャが扉を開けた




店内を見回した時、その場にいた全員の視線が注がれた

その瞬間、プルーニャはそそくさと扉を閉めてしまった。


「営業妨害はしないでください💦」

ボソッと呟いていたマスターの声は聞こえていなかった。


扉を閉めてしまったプルーニャに、リリアが不思議そうに尋ねる

「え?中に入らないの?」

青ざめた表情でプルーニャは告げた

「入れる雰囲気ちゃうかった。なんか…

すごいオーラが漂ってて入られへんかった…(^-^;」


その言葉に首をかしげる3名…


「じゃぁ、里好様に LINE して確認してみようよ。」

そう言って、スプネリアが里好に LINE を送った。

店内で里好の LINE がメッセージ着信を告げる。

見るとスプネリアからだった。


『遅くなってごめんなさい。東京の道がよくわからなくて…

多分着いたと思うんですけど、もうお店の中にいますよね?

〇〇ってお店で合ってますか?』


里好はそのメッセージにくすりと笑い、お店の外へ迎えに行く。

外に出ると、お店の看板の陰に隠れ…きれず、

不安顔の4名がスマホを見つめていた。


「リリア様。ムーラン様。スプネリア様。プルーニャ様。こんばんは♪」


その声にパッと顔を上げ、4名が里好の元に駆け寄る


「里好さん!わざわざすみません。あの…お店の中で何かありました?」

プルーニャの質問に里好は苦笑しつつ、答える


「あったと言えばあったの。でも、必然と言えば必然の事なんですよね」




4名は里好のとんちのような言葉を理解しようと必死で考えた

そんな4名を連れて、里好は店内に戻る。


「皆さんをお連れしました」


店内をきょろきょろしていた4名は、里好のその声に視線を戻した

4名の目に映ったのは…


二人の里好、二人の楓

陛下によく似た男性と、サングラスをかけた男性、

配信 LIVE で見た事のあるウエスターレンに似た男性


4名それぞれがパニックを起こし、妙な独り言を呟き始める


「…?えっと…え?そっくりさん?え?これドッキリ?

いや、わざわざ?それはないわ。じゃぁ…え?どういう事?

待って…いや、待って貰ってるけども…」


支離滅裂な言葉を羅列していくプルーニャ


「あれ…里好さんと、楓さんて双子でしたっけ?

えっと…長官が見える気がする」


何度もやり取りをした、里好のLINEをスクロールさせて

確認しようとするスプネリア


「かっ…かっ…かっ…閣下っ!?かっ…かっ…閣下?1」


何となく見覚えがあり、青ざめて震えるリリア


「え?へーか?だんけるへーか?だんけるへーか?」


すっかり、幼稚園児のような言葉しか発せられなくなったムーラン




「言葉がすべて、ひらがなになっておるぞ。なかなかに面白い」

恐ろしい程の美貌ながら、彼女たちに興味を示し笑うダンケル


「どうした。ちゃんと吾輩を閣下と呼べ(笑)『かっかっか』とは何だ(笑)」

と笑うイザム


「見える気がするって何なんだ(笑)俺は幻なんかじゃないぞ!

あと、こいつらは双子じゃないからな」

爆笑しながらツッコミを入れてくるのはウエスターレン。


リリエル(理栄)とダイヤは優しく微笑んで4名を眺め、

里好と楓は困った顔で、どう助け船を出せば良いのか悩んでいた


それぞれの様子を見かねてマスターが声をかけてくれた

「皆さん、どうぞお席におつきください。

まずはお飲み物からよろしいですか」


マスターはそのまま外に出て、

看板の電気を消し、「CLOSE」の札をぶら下げた


店内では…


里好とリリエルがイザマーレを挟んで座り…というより、

リリエルは身体の半分をイザマーレに預ける形でひっついており、

それを惜しげもなく抱き寄せるイザマーレの仕草…

少々目のやり場に困ってしまう。


ウエスターレンはリリエルとすぐ傍の

一番奥の席に座り、紫煙を燻らせていた


途中でリリアとムーランが来たので、リリエルはイザマーレの右隣を

彼女たちに譲り、左側にいる里好と並んでニコニコ微笑んでいる


楓とダイヤはダンケルを挟んで座るが、あまりにも狭いので

途中からダンケルの膝に抱っこされるダイヤ。

「他人様の前で何て恥ずかしい!!」と言いつつ

自分も混ぜてほしくてウズウズし始める楓




どこに座れば良いのか、思案しながら

呆然としていたスプネリアとプルーニャ

マスターがカウンター席以外のテーブル席を急遽用意して

座り損ねていた2名を座らせた


改めて、ダンケル・イザマーレ・ウエスターレン 

この3魔をまじまじ・ニヤニヤと眺める2名。


やがて飲み物が届き、乾杯をする

喉を潤すと同時に、ようやく精神的にも落ち着きを取り戻した4名


最初に沈黙を破ったのはムーラン


「あの…すみません。不躾な質問だと思うのですが、その…

陛下も閣下も長官も… 本物ですか?」


残りの3名も真剣に3魔を見やる


「(笑)もちろん、吾輩達は本物だ。そっくりさんでも何でもない。

れっきとした悪魔。吾輩は正真正銘、イザマーレだ」


その言葉にムーランとリリアは真っ赤になる。

そんな可愛らしい2名を見て、ぽそっと呟くプルーニャ

「純粋って可愛いね」


そんなプルーニャの肩を慰めるようにポンと叩くスプネリア。

そのスプネリアからも質問が飛ぶ


「あの、私からも質問が…里好さんも楓さんも

双子ではないとお聞きしましたが…

では、もう一方はそっくりさんですか?」


その質問を聞いてすぐ、リリアが叫ぶ


「あーーーーーーー!もしかして、リリエル様とダイヤさん?!」

「あーーーーーーー!そういう事?!だから閣下達もここに?」


リリアに続いてムーランもようやく合点がいき、

手を取り合って頷きあう




また、すんなりと状況を把握出来たスプネリアは両手を握りしめ、

ウルウルと涙を浮かべて眺めていた。


1名、彼女たちの会話についていけないプルーニャ。

理解しようと自分の中で反芻している。


「え?何?どういう事?『だから』って何の『だから』?

リリエルさんて…聞いた事あるお名前なんよ…リリエルさん……

だから閣下も一緒…陛下も長官も一緒… はっ!わかった!!

…でも!そんな事、現実に起こる?!」


理解したのは良いが声が大きくて、もはや独り言の域を出ている


そんな中…


「(´∀`*)ウフフ ギューギューですね♪閣下。

ここの『スペシャルパスタ』はお勧めなんですって。ね?里好」


「あ、はい♪ 閣下も召し上がってくださいな♪」


「ほお…じゃ、それにしようか。ウエスターレン、お前も同じのでいいか?」

「ああ、俺は追加でこのデザートも頼む。炎なら俺に任せろ(笑)」

「キャー(≧∇≦) 素敵~ 閣下も同じの頼みましょうよ~♪」


イザマーレとウエスターレン、そしてリリエルの自然なやり取りに

思わず涙ぐんでしまう里好


その光景に、うっとりと見とれてしまう4名




「私も信じられないけど、今、目の前に存在しているし…」


まだ疑心暗鬼でいるプルーニャに、可憐な表情で話しかけるリリア


「もしかして…」




「もしかして…何?」

そっと呟いたムーランに、スプネリアは矢継ぎ早にオウム返しする


「これって…夢?」


ムーランの一言に青ざめて固まるスプネリアとプルーニャ


「夢なら醒めないでーーーーー💦💦」


再び、ギャーギャー騒ぎ出す4名


「うるせぇ!お前さっきから声がでかいんだ!

もうちょっと静かに…な?」


鋭い眼光で睨み付けた後

八重歯を見せてにっこりと笑うウエスターレンに

乙女心を鷲掴みにされるプルーニャ


「長官に注意されちゃった♪

あの!活動絵巻でしかお姿を拝見出来なったので…

反省してます!」


「うん、反省してない、良い笑顔とでかい声だ!」


店内に爆笑の渦が巻き起こる………




4名それぞれの反応を楽しんだ後に、イザマーレが話し出す


「たまたまだぞ?陛下の付き添いで人間界に来たから、

リリエルとウエスターレンの2魔と待ち合わせただけなんだが…

やはり運命なのだな。

この店に立ち寄ったら、里好と楓がいたのだ。」


イザマーレの言葉に、にっこり微笑むリリエル


「私も今日ここで里好と会うとは思わなかったの。

やっぱり、自然と呼び合うのね」


それを聞いた里好が静かに反論する


「…そ、それならそれで、もう少し早めに教えてくれたら💦

閣下の前でこんな普段着で…💦💦」


そういう里好はしっかりとツアーTシャツを着用している

もちろん、残りの5名もツアーTシャツ着用だ。


「何を言うか。吾輩達のツアーTシャツじゃないか。

リリエルに似て、意外と何でも似合うよな。」


その言葉を聞いた里好が頬を赤く染めて、恥ずかしそうに尋ねる

「閣下。お許しいただけるなら、これからも小説を書き続けます。

リリエルをどうか…よろしくお願いします」


その言葉を聞いて、嬉しそうに微笑みながら涙ぐむリリエル

そんなリリエルを愛おしげに抱きしめるイザマーレ


そこへウエスターレンがそっと近付き、イザマーレを抱きしめ、甘く囁く

「俺はそんなイザマーレを愛してる。何があってもお前を離しはしない」


ウエスターレンの言葉に頬を染めながら

ムーランとリリアの方に振り向き、優しく微笑むイザマーレ。




「お前達の熱意にも感謝している。

プエブロドラドに来る日を心待ちにしているからな」

微笑まれた2名は真っ赤になり、首がもげるくらいに頷いていた


一方、楓たちは…


「陛下。私もこれらからも陛下への敬意を込めて

お話を書かせて頂きたく思います。

素直じゃないダイヤですが、これからも可愛がってやってください」


「素直じゃないのはお互い様じゃん💢…でも、ありがとう。楓」

手を取り合うダイヤと楓


「分かっておる。私は大魔王だ。お前達2名を幸せに出来ずに、

魔界を守り抜くなど出来るものか。2名とも、身も心も私に捧げれば良い」


陛下の言葉に、楓とダイヤは抱きつき、それぞれに愛を囁き始める


目の前でラブシーンが繰り広げられ、

それをニヤニヤと、そして時には貰い泣きしながら

眺めるスプネリアとプルーニャ


二人でこそこそと感想を述べ合う


「長官ってやっぱりキザでエロいね。

それが決まるから、これが堪らんね」


ケラケラ笑うプルーニャに、

スプネリアも頷きながら、感慨深げに呟く


「里好さんの嬉しそうなお顔見てると、

イタコ里好を頑張って良かったね♪って思うよね」


「『愛してる』ってサラッと言って格好つくのって

閣下や長官くらいよね。ドラマ見てるみたい」





「ムーランさんとリリアさんも良かったね。

二人の愛もちゃんと伝わってて…(涙)」


「閣下…ハーレムやんね(ぼそっ)」

瞳をうるうるさせるスプネリアとは対照的に、

コッソリと毒を吐くプルーニャ


「陛下って本当に大魔王ね。もう後光が見えるよ」

そう言いながら合掌するプルーニャ

「楓さん達は2名様とも可愛らしい方ね。

天邪鬼なところがキュートだわ」


「確かに!今でいうツンデレ?」

「プルーニャさん…ちょっと違う気がする」


「そこで誰かチューしてくれないかな。

長官ならバックハグで頬に kiss でも良い!」


ついに妄想が暴走しかけ、にやにやが止まらないプルーニャ


「プルーニャさん、さっきから感想とお顔が大変な事になってますよ💦」


「あ…エロ親父の発言と顔してた?私、腐女子としてはですね、

閣下と長官の絡みはご馳走な訳ですよ(笑)」


プルーニャの言葉に、やや呆れ顔なスプネリア

「それ、代官の前で言えます?」


「無理!代官の前ではでっかい虎かぶる」


「虎?猫じゃなくて?」


「猫じゃ足らん(笑)何百匹もかぶらなアカンから、虎で(笑)

そういう、スプネリア様は殿下の前ではどうなるんでしょうねぇ」





一通り、それぞれが盛り上がった後

また静かに席につき談笑をしながら

美味しい食事に舌鼓をうった



膝に抱っこされてウハウハなダイヤに、ダンケルは冷笑しながら

野菜サラダを執拗に食べさせようとする

「ダイヤ。ほれ、あ〜ん」

ついでにその横にいる楓の口にもあ~ん、とされ

楓は大喜びしながら食べる

モグモグしながら、ダイヤに向かってニヤニヤする

「器が食べられるのに、本体が食べないとは…😅」


ケタケタ笑う楓と、ダンケルからの止まらない野菜攻撃に

ついに膝から抜け出して

「いやああ😩…リリエル様~あああ…」

とリリエルの所に近づいて来るダイヤ


楓もそれに合わせて、近くに来て、

リリエルと里好をまじまじと見比べる


…まったく一緒だ。人間の里好さんも…リリエル様も…

これなら魔界にいるダイヤも安心だ。

こんな素敵なリリエル様にダイヤは守られ

人間の里好さんには自分の大切な…

それも親友以上の信頼をやっと見付けられた。

楓自身も里好に会ってる時は得に想っている。

ダイヤ自身も分かってる事だろう…と楓はふと思うのだ


「閣下!人間界にいる間、里好様のことはしっかりお守りしますから💕」


女性陣に囲まれているイザマーレとしっかりと目を合わせ

にっこり笑顔で宣言する楓

そんな楓と仲良く腕を組んで、里好も宣言する


「閣下。魔界に行く時は、決して楓さんを手放さずに

里好が責任もって連れていきますから💕」




「そこは、『リリエルとダイヤ』と一緒なんだな(笑)

だが里好、連れていく先は間違えるなよ?」


静かに見つめながら、含み笑いをするイザマーレ

それに合わせて、より辛辣な言葉で追い打ちをかける

ウエスターレン


「そうだぞ。途中でしっかりと置いてこい。

絶対に屋敷までは連れてくるなよ?分かったな?(笑)」


「長官~🤣いいじゃん❗️楓とダイヤ一緒に行ったって~💦」


イザマーレとウエスターレンの言葉に撃沈しながら

ケタケタ笑うダイヤと、ひきつり顔の楓


「里好。その時はリリエルと一緒に迎えに行ってやる。

お前だけだと迷子になるだろうからな(笑)」


「閣下😍😍😍😍」


いつの間にか、傍に来ていたダンケルが

ダイヤの鼻をギュッとつまむ

「まず、お前が間違えなければ良いのだぞ?😈💢」

ダンケルが冷笑しながら言った


「陛下、私がしっかりしてるので大丈夫ですよ💦」

楓は慌てて言った

「…ほう…」

ダンケルは楓を抱き寄せる


「陛下…お慕いしております…ダイヤの事、宜しくお願いします」

「楓…今すぐに魔界に来るか?」

「…いやいや…人間界を全うしてからそちらに参りますので(苦笑)」

「…待っているぞ…楓」

微笑まれ顔を見ることも出来ずにいると

濃厚な口づけをされて抱きしめられた





「あ〜💢ズルい!💢ダイヤも💢」

ダンケルは笑ってダイヤも抱きしめて口づけをしていた


突如始まったラブシーンに、

ドキドキしながら凝視する4名


その横で、リリエルと里好は肩を寄せ合い、

クスクス笑いながら懐かしい昔語りなどをしていた


イザマーレとウエスターレンは、静かに2名の会話に耳を傾けていたが

奥でいちゃつき始めたダンケルたちに苦笑する


「…よし。面倒だから、あいつらをまとめて魔界に戻してくるな。

イザマーレ、今日はどうせ、人間界の屋敷で過ごすんだろ?

俺も後から行くから。待ってろ♪」


すくっと立ち上がり、イザマーレの髪を軽く撫でるウエスターレン


「…そうだな。そろそろ行こうか。リリエル、おいで。

お前たち、世話になったな。マスター、これは今夜の謝礼だ。」


イザマーレはリリエルを呼び、マスターとLily‘sに

紳士的に声をかけ、まとめて会計をしていた


「あ、は~い。…里好も一緒にどう?ねえ、閣下。いいでしょ~?」

呼ばれたリリエルがイザマーレにおねだりし始める


「……へっ?」

一瞬固まり、焦り始める里好


リリエルの言葉にイザマーレは振り返り、

里好と視線を交わす


「…ここじゃなんだから、おいで。里好」

「…はい…」




店内では、相変わらずイチャイチャしているダンケルとダイヤを

まとめて魔法陣で魔界に移動させようとするウエスターレン

その喧騒を避け、いったん店の外に出て行く2魔と1名



イザマーレとリリエルの2魔に向き合い、俯きがちに話し出す里好


「…閣下。今日は本当に、夢のような時間をありがとうございました。

リリエルの事を、よろしくお願いします…それから…」


「里好?」

リリエルが不思議そうに首を傾げる


ようやく顔をあげる里好

「もしも、その時が来たら…私は閣下たちのお屋敷ではなく…

あの丸太小屋を使わせてもらえませんか?

お許しいただけるなら、その後もずっと、作品を書いて

人間界に届け続けたいと思うので…」


里好の言葉に、イザマーレも穏やかな表情で見つめる

「そうだな。あそこは未だに使い道がなくて、

勿体ないと思っていた。リリエル、どうだ?」


「…里好まで、リリエルのそばには居てくれないの…?」


心底、残念そうに俯いて、寂しそうな表情を浮かべるリリエルに

里好は初めて、心の底から笑顔を見せた


「当たり前じゃない。リリエルと閣下の話を書き続けてきた私が

閣下にリリエルを裏切るような真似はさせられないもの♪」


「…里好…」

瞳いっぱいに涙を浮かべるリリエル

あんたは本当に…





「もう!泣かないの! この世で誰よりも

あんたと閣下の幸せを願っているのは、私なんだから♪」


堪らず泣き始めたリリエルを優しく抱きしめるイザマーレ

そんな2魔を誇らしく思い、大満足の表情で見つめる里好



「里好、ありがとな。リリエルの事は、吾輩に任せろ。後な…」


里好の耳元に口を寄せ、囁くイザマーレ


「……///////」


その途端、真っ赤になってボーっと固まる里好


「(笑)じゃ、また会おう。魔界でな♪」


そのままリリエルを抱き寄せ、瞬間移動で消えて行くイザマーレ



しばらくして、ややふらつきながら店内に戻ると

ドア越しに覗いていたLily‘sたちが話しかけてきた


「里好さん…どうかした?💦」


「…大変…しばらく眠れなくなるわ…(^-^;」


「へっ?」


最後にイザマーレから囁かれた言葉が脳内リピートされ

心臓がバクバクしている里好


『…この後の屋敷の出来事は、必ず夢に送り届けてやる。

好きに書いて構わないぞ♪…』



🌷奇蹟の夜 Fin.🌷



最新記事

すべて表示
呪縛

🌷魔界(現代)編 最終章🌷 器の行く末 前夜祭 種 絆 🌷新しい扉の世界もお楽しみに♪→次の扉は こちら 🌷 前の扉に戻る(奇蹟の扉に戻ります) 出口(蔵書一覧に戻ります)

 
 
 
紫蘭

紫蘭の受難 次の扉に進む 前の扉に戻る(奇蹟の扉に戻ります) 出口(蔵書一覧に戻ります)

 
 
 
祇園の夜 ―目録―

35++記念 わっしょいⅥ 祇園の夜 epilogue 次の扉に進む 前の扉に戻る(わっしょいに戻ります)

 
 
 

コメント


©2022 by 里好。Wix.com で作成されました。

bottom of page