波紋 前半
- RICOH RICOH
- 2024年10月29日
- 読了時間: 10分
ー情報局にある1室…
関係者しか入れない部屋がある。そこには莫大な資料が保管されている。
その部屋でウエスターレンは資料片手に煙草を咥えながら目を走らせている。
ダイヤも、その日は朝から晩までずっとPCに資料の打ち込みをしていた。
プエブロドラドに入村してくる信者の個人データの入力を任されていた。
人間界で言う住民票のようなものだ。
イザマーレの面接を通った信者の情報…
月に1度情報局に送られてくる。なかなかの量だった。
打ち込みしている途中、
ダイヤは資料をじっと見詰めて動きが止まっていた
「……?」
ウエスターレンが気が付き顔を上げた
「……へぇ……珍しい……」
ダイヤが呟いた。
「何がだ?」
ウエスターレンが声をかける
「…ここに届く方の資料って…閣下が面接してるんですよね?」
資料から目を離さず、首を傾げるダイヤ
「…信者は書類審査だな。」
ウエスターレンは煙草を弾いて消しながら言った
「…この方…備考欄に『イザマーレ軍かウエスターレン軍に入隊希望』って
書いてある…他の方は備考欄なんか書いてないのに…珍しいなって…
写真もめちゃイケメン…陛下程ではないけど♪」
ダイヤがニコニコしながら言った
「…お前…本当にダンケルの事好きだよな…」
ウエスターレンもニヤニヤして言ってきた
「好き以上に愛してるんですよ🎵(*ノェノ)キャー❗」
「は〜い。おノロケはそこまで💢まだまだ書類は残ってるぞ!」
惚気まくるダイヤに呆れ、再び煙草を吸い始め
書類に目を通し始めたウエスターレン
「…長官、この人…kojiさん?
長官の軍に入隊させるのか、閣下の軍に入隊させるのか
判断して教えて下さいね〜。入力しないとならないので」
ダイヤは書類を渡し、他の書類をPCに打ち始めた。
ウエスターレンは手渡された履歴書を眺めて
ため息を付いていた
数日後、いつものようにプエブロドラドでダイヤは巡回をしていた。
周りの住民に挨拶を交わし、時には立ち話もする。
この広いプエブロドラドでのコミュニケーションを大切にしていた。
話に花を咲かせている時、少し離れた場所に、例の信者
kojiが歩いているのに気が付く。住民と話をしながら目で追った。
さすがはイケメン。女性信者には人気があるようだ。
声掛けられても適当にあしらって
離れた場所で再び誰かを待っている
「あら?ダイヤさん、あのイケメンさんに興味あるの?」
ダイヤの視線に気づいた住民に言われた
「…いや、興味がない訳ではないけど…ちょっとね…」
何となく話をそらし住民と別れた。
プエブロドラドの外れにある、軍事局直轄の私有地
バサラ軍が演習を行っているのを知ったダイヤは
仕事が休みにも関わらず、何気に演習を見に来ていた。
あのkojiがバサラ軍に入隊したと聞きつけたからだ。
邪魔にならない様、バサラが指揮している高台の横で
見下ろしていた
確かにkojiがいる。演習でも進んで前に出て訓練に臨んでいた。
初めてにしては動きもいい。素早く判断し動いてる様子が伺える
「…珍しいな…お前が演習を1魔で見に来るとは…」
姿を現したダンケルとイザマーレ。リリエルも髪に座っていた
「えぇ…興味があったので」
すぐ横に立ったダンケルを見ながら、演習を再び見つめていた
「閣下や長官の軍に入れなかったとは言え…珍しく戦力ある者、
活躍してくれそうですね」
ダイヤがニヤッとしながら言った
やがて演習も終わり、バサラが軍を集めダンケルの前に並べさせた
ダイヤはその場を下がり、遠目で様子を見ていた。
ダンケルが労いの言葉を伝え、隊員は喜んでいた。
イザマーレの横にリリエルも居る。
軍隊にも人気があるリリエル。
リリエルからも労いの言葉を伝えている。
ダイヤは微笑ましく後ろから見ていた。
バサラはイザマーレ達のところへkojiを連れて来た
リリエルとダイヤはkojiに笑顔で挨拶を交わす。
「はじめまして…kojiと申します。参謀のお力になれるよう
励んで参ります」
ダンケルとイザマーレに深々と頭を下げるkoji。
ダンケルは黙ってkojiを見下ろしている。
「力の限り戦闘力を磨け。怪我のないようにな」
イザマーレは優しく語りかける
「……」
それでもダンケルは何も言わない。
リリエルを見たkojiは、あからさまに顔色が変わった
「…お美しいですね…やっとお会い出来た…」
感極まってリリエルを抱きしめようとしたkoji
だが瞬間にダイヤと入れ替わっていた。
「?!?え??」
固まってワナワナ震えているダイヤ。
危険を察知したイザマーレがリリエルを抱き寄せた為
勢い余ってダイヤに抱きついてしまったのだ。
「お前じゃねーんだよ💢」
囁くように耳元で舌打ちしながらkojiが呟いた言葉を
ダンケルもダイヤも聞き逃さなかった
まさかの自体にダンケルはブチギレ寸前でkojiの首元に剣を突き付ける
「…kojiと言ったな?私の妻を抱きしめといてその言い草…許さん…」
「陛下💦ちょっと待って!!」
ダイヤはkojiから離れダンケルを止めた
「たまたまよね💦驚いて口走っただけよね?
おフザケだけだったのよ…多分…」
バサラは唖然として見ているだけだった。
イザマーレはリリエルを抱きしめながら
kojiの行動に目を光らせている
「…大丈夫か?リリエル」
イザマーレは素知らぬ顔でリリエルの髪を撫でる
「閣下…あの…///大丈夫です…すみません💦」
あまりの事にリリエルも戸惑う
「イザマーレ💢お前💢ダイヤの事も守らんか💢」
苛立つダンケルをダイヤが何とか宥める。
「…今回だけは見逃してやるが…💢
貴族の女性を抱きしめようなど考えるな💢
バサラ💢躾がなってないぞ💢しっかり教えろ💢」
苛立ちを隠さず、バサラに怒鳴り散らすダンケルを
再びダイヤが宥める
「すみません💦💦💦」
バサラも平謝りを繰り返していた。
まさか新米が変な行動に出るとは思わなかったからだった。
ダンケルを宥めていたダイヤも
何か危険な匂いを感じ取っていた
周囲の様子を感じ取ったリリエルは、イザマーレにある案を伝えた。
イザマーレは少し考えてはいたが…
今回、新米か変な行動に出た事で
ダイヤも犠牲になりダンケルを不機嫌にさせた。
「仕方ないな」とリリエルの案に同意した。
リリエルは微笑みながらダンケル達のところへ行った
「陛下、今から気分転換に人間界へ行きましょうよ」
「なに?人間界へ?」
驚いて剣を消し、まじまじとリリエルの顔を見るダンケル
やっと剣を消したダンケルにホッとして、笑顔を見せるダイヤ
「お気に入りのコテージがあるので…
特別に陛下もご招待しちゃいますよ💕」
リリエルはニコニコしていた
「いいじゃない♪陛下、気分転換に行ってらっしゃいな~(笑)
閣下も一緒のようだし」
ダイヤもニコニコして話す
「何を言ってるのだ?ダイヤ、お前もだぞ?」
イザマーレがニヤッと笑って言った
「/////…え?私も良いの?」
ダイヤはめちゃくちゃ嬉しそうな顔をして呟いた。
ダンケルも嬉しそうにダイヤを引き寄せ抱きしめた
そして人間界の別荘へ4魔は向った。
リリエルにとって思い出の土地
永年契約をしているイザマーレ達にはお馴染みの場所だ
「待っていたぞ」
先に待っていたウエスターレンが扉を開き、中へ招き入れる。
ダイヤは中に入って周りを見渡した。
広いコテージ…オシャレな部屋に驚いていた
「ダイヤ。突っ立てないで、好きな場所に座れ(笑)」
ウエスターレンは笑って煙草を吸っていた
真ん中の部屋にあるテーブルに座り
談笑しているイザマーレとダンケル
リリエルが紅茶を淹れ、イザマーレの横に座り話を聞いている
ダイヤもダンケルの横に座っていたが…
紅茶の入ったカップを持ち、そっとダンケルから離れる
バルコニーの椅子に座って景色を見ながら紅茶を飲んでいた
「やっぱり人間界の自然って好きだわ…」
ホッとしながら小さく呟く。
時折ダンケル達を見ては微笑み、再び外に目を向ける
「どうした?ダンケルの側に居ないのか?」
ダイヤの横に立つ紅蓮の悪魔
…いつの間に…と思いながら微笑む
「陛下の笑顔…あんなに嬉しそうに話してるのに
側に私が居たら深い話も出来ないでしょ?邪魔しちゃ遺憾のですよ」
そう言いながら紅茶を飲んでニコニコしていた
「素敵な所ですね💕自然がいっぱいで…
父方の実家が山に囲まれていた所だったので、
幼い頃に遊びに行った時の事を思い出してました」
珍しくウエスターレンもダイヤの話を聞いてくれた。
時には突っ込みを入れてお互いに笑ったりして…
いつの間にか時間が過ぎていく
ダンケルもイザマーレとゆっくり話が出来て
満足したようだった
リリエルは夕食の支度を始めている。
ダイヤも手伝いにキッチンへ向った。
ウエスターレンもリリエルと一緒に料理を作る。
ダイヤは食器のセッティングや洗い物の担当だ。
リビングに行って食器を並べる度に、ダンケルに話しかけられ
ニコニコしているダイヤ。
料理も揃い、皆で話しながら舌鼓を打つ
「初めてですね♪閣下に長官、陛下にリリエル様が
揃って食事するのって💕
こんな機会を作ってくれて…有難うございます」
感激しているダイヤに、リリエルは優しく微笑む
食事をしながら昔の話やダンケルの話、イザマーレの話などを
嬉しそうに聞いているリリエルとダイヤ。
知らない事も多く、興味深く聞いていた
ウエスターレンもにこやかに聞いているが、
鋭い突っ込みも忘れてはいない。
この時間と空間がたまらなく居心地がよかった
魔界でもこのメンバーで一緒に住めばいいのに…とダイヤは思った
「ダイヤ…それはいい案だぞ💕」
ダンケルがダイヤの心を読み取って称賛する
「それは勘弁してください💦」
「冗談じゃない!!」
イザマーレとウエスターレンは各々、断固拒否する
彼らの反応を、ダイヤはニヤニヤして眺めていた
「リリエルとダイヤは本当に仲が良いのだな…」
ダンケルが彼女たちの後ろ姿を見ながら呟いた。
食事も終わり、リリエルとダイヤで食器の片付けをしている。
時には爆笑し、コショコショ内緒話もしている。
後ろに居る悪魔達には全て聞き取られているが、
気にもせずキッチンで洗い物をしていた。
「ダイヤはリリエルの結晶ですから…
切り離そうとしても切り離せない、
固い絆で結ばれてるんでしょうな。」
やれやれとため息をついてダンケルに切り返し
イザマーレはウエスターレンと目配せしながら
リリエルを見つめて、ニヤニヤしている。
その様子を苦笑いしながら見ているダンケル
「ダイヤにはお前がお似合いなんだよ。ダンケル。
あいつ本当にお前の事が好きなんだから。
仕事場でも平気に惚気けたりするしな(笑)
今までそんな后は居なかっただろ?」
ウエスターレンは煙草を取り出して言った
「わかっておるわ!言われなくったってな💢
大切な私の妻だ。離しはしない」
ダンケルの言葉にイザマーレもウエスターレンも笑顔をみせた
「ダンケルも変わったな…以前ならそんな言葉すら出なかったよな」
ウエスターレンは容赦なく突っ込み、紫煙を燻らせる
リリエルとダイヤは露天風呂へ来ていた
満月と満天の星が空一面に広がっていた
「うわぁ…綺麗…」
目が慣れてくると星が降って来そう…
「リリエル様は閣下達とこんな素敵な露天風呂に
入りに来てるんだ…素敵ね💕」
リリエルは嬉しそうに微笑む…2魔はずっと夜空を見ていた
温泉の流れる音しか聞こえない。大自然の中の露天風呂…
湯けむりに包まれる。風情があって良い…
ホッとしながら肩にお湯をかけた…その時
「「!!!」」
リリエルとダイヤしか居ない露天風呂に気配を感じて振り向く
湯けむりがサッと風に流され、辺りが見え始めると…
いつの間にか…ダイヤの横にはダンケルが…
そしてリリエルの左右にイザマーレとウエスターレンが…
温泉に浸かっていた
「ちょっとぉ!!いつの間に💦💦」
ダイヤは焦って言った。
「…時には良いではないか…人間界の月夜も風情があって良いな…」
ダンケルが満月を見上げる横顔も堪らなく好き…と
ダイヤは顔を真っ赤にして思っていた。
そして…
リリエル達のイチャイチャ振りには目のやり場に困ってしまう…
当初はダイヤと同様に焦っていたものの
イザマーレに抱き寄せられた途端、
お互いしか目に入らなくなってしまうリリエル
ウエスターレンもニヤニヤしながらリリエルの肩にお湯をかけ
2魔のやりとりを見守っていた
ダイヤもダンケルの愛の囁きにキャーキャー言いながら、
先にコテージに戻った
やっと身体の熱も下がった頃、リリエル達も戻って来たが
…リリエルはのぼせてるようだった
ダイヤ達が戻って来てから1時間程経過していた。
リリエルに案内され、ダンケルとダイヤは部屋に入った。
その後扉が消されるのだが…
リリエル達はリビングで涼んでいた。
「…リリエル。あのバサラ軍に入った新米だが…」
リリエルから出された飲み物で喉を潤し、語り始めるイザマーレ
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