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秋が過ぎ、冬が訪れても

リリエルの魔力は完全には回復しなかった

副大魔王の力をもってすれば、エナジー注入により

あっという間に回復させられそうなものなのだが…





「…閣下、本当に申し訳ありません。私のせいで…」

イザマーレは少し目を反らしながら

「気にするな。慌てる必要はないからな」


(…せっかくのリリエルとの時間。

あっという間に回復させては、つまらないのでな…)


「ふふっ閣下?ひょっとして…

これでは陛下の事を決して悪くは言えませんね?」


「!」

思わず口元を手で隠し、真っ赤な顔で照れるイザマーレ

(さすがリリエル……気づいていたか…)


そんなイザマーレに抱きつき、顔を埋めるリリエル。

「…リリエル?」


「…私も同じ気持ちだと言ったら、許してくださいますか?

閣下……愛しております…」

恥ずかしそうに、俯くリリエル


イザマーレは微笑んで口唇を重ねる。

そして、愛し合う…


どれほどの季節が目の前を駆け抜けたろう、気付かずに…

ひたすらお前と寄り添った日々が愛しい

たまには吾輩も、自分らしく生きてみたいと思うから…


幸せにたどり着く近道を吾輩は知らない

喜びと悲しみは、どうせいつも背中合わせなのだから


ついてない宿命を嘆くのは、心を疲れさせるだけだ

吾輩は、再び己を律し、生きていかねばならない

それまでは、我儘につき合ってくれよな、リリエル……



 
 
 

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