冬
- RICOH RICOH
- 2024年10月7日
- 読了時間: 2分
秋が過ぎ、冬が訪れても
リリエルの魔力は完全には回復しなかった
副大魔王の力をもってすれば、エナジー注入により
あっという間に回復させられそうなものなのだが…
「…閣下、本当に申し訳ありません。私のせいで…」
イザマーレは少し目を反らしながら
「気にするな。慌てる必要はないからな」
(…せっかくのリリエルとの時間。
あっという間に回復させては、つまらないのでな…)
「ふふっ閣下?ひょっとして…
これでは陛下の事を決して悪くは言えませんね?」
「!」
思わず口元を手で隠し、真っ赤な顔で照れるイザマーレ
(さすがリリエル……気づいていたか…)
そんなイザマーレに抱きつき、顔を埋めるリリエル。
「…リリエル?」
「…私も同じ気持ちだと言ったら、許してくださいますか?
閣下……愛しております…」
恥ずかしそうに、俯くリリエル
イザマーレは微笑んで口唇を重ねる。
そして、愛し合う…
どれほどの季節が目の前を駆け抜けたろう、気付かずに…
ひたすらお前と寄り添った日々が愛しい
たまには吾輩も、自分らしく生きてみたいと思うから…
幸せにたどり着く近道を吾輩は知らない
喜びと悲しみは、どうせいつも背中合わせなのだから
ついてない宿命を嘆くのは、心を疲れさせるだけだ
吾輩は、再び己を律し、生きていかねばならない
それまでは、我儘につき合ってくれよな、リリエル……
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