絆
- RICOH RICOH
- 2024年11月5日
- 読了時間: 11分
呪縛シリーズ 最終章
果てしなき旅を続ける2つの強大な意思
光と紅蓮…鉄壁の絆が結実した時、奇蹟は起こる…
静けさの中見つめ合う光と炎の悪魔…
金の髪をサラサラにして
恥ずかしそうにウエスターレンを見つめ目を逸らす
真正面から見つめたのはいつの事だろう。ミサが始まり禁欲に入り
お互いの温もりを求める事すら出来なかった。
誰もいない部屋…2魔っきり…いつも一緒にいるのに…
こんなにも愛おしいなんて…
モジモジしているイザマーレを見つめ微笑み抱き寄せた
腕の中にいる俺だけの悪魔…サラサラな金の髪を撫でる
「イザマーレ…こっちを向け…」
真っ赤になっているイザマーレを和らげるように優しく囁く
………
いつものように、寄り添い
腕の中で眠りにつくリリエルを見つめ、そっと扉を開けて
リビングに向かうイザマーレ
「…リリエルは寝たのか?」
紫煙を燻らせ、寛いでいたウエスターレンは立ち上がり
イザマーレに近づく
「ああ…今夜はこのまま、ここで過ごす。
お前を待たせるわけにもいかないだろ?」
穏やかな表情を浮かべるが
何となく、自分と視線を合わせず、寂しげに微笑むイザマーレ
「昨夜の一連の出来事を、隠そうとしても無駄だ。
そもそも、お前があそこまで酔い潰れた原因を
聞かせてくれないか?」
「!……///」
…これからも俺に、お前たちを守らせてもらえるだろうか…
何となく、流れに任せ、傍に居続けているものの
ウエスターレンの問いかけに対し、
正式な回答をしそびれたままだった
「……お前のことを手放すことなんて出来ないと思っていた。
だが、吾輩にはリリエルもいる。お前にとって吾輩が
そんな程度の存在だっていうなら、せめて諦めてやろうかと……」
「イザマーレ!何故、俺を見ない?!何故、目を逸らすんだ…っ」
イザマーレの言葉に愕然としながら、抱き寄せるウエスターレン
だが、その寸前、イザマーレの強力な魔力で弾き飛ばされる
「お前と一緒に居たいのは、守って欲しいからじゃない。
吾輩、そんなにヤワじゃないと、何度言えば分かるのだ?」
「!!」
イザマーレの強力なオーラに固まる
「一時的に復活を遂げて、構成員の奴らにも
信者だけでなく、多くの人間にも、カッコ良いと言われ
嬉しいか?そんなの、当たり前すぎてつまらんよな」
「……」
「だから、吾輩、たくさん考えた。
お前なんて、頑固で意地っ張りで、ヘビースモーカーで……
そのくせ、吾輩にはいつだって無理そうなことばかり
命令してきて………」
プンスカと言葉にしながら、
イザマーレの瞳いっぱいに涙が浮かんでいる
「……イザマーレ」
「お前のカッコ悪いところくらい、吾輩、いくらでも言えるぞ!!
そんな事くらい、何だっていうんだ!!!!!!」
我慢できずに涙がこぼれ落ちる。
「…カッコ悪い姿は…お前にしか見せていない…
俺の全てを知り尽くしているのはお前だけだ…」
再び抱き寄せイザマーレを見つめるが
相変わらずウエスターレンを見ようともしない
「…吾輩はずっと…ずーーっと待ってたんだぞ!それを知りながら
いっつもお前は吾輩だけを避けるように断り続けやがって…
お前の居ないステージで、最高魔軍を守り抜く事が
どういう事なのか…分かってないだろ!!ウエスターレン!」
「……」
「吾輩、お前なんか…大嫌いだ!!!」
イザマーレの言葉に固まった…ウエスターレンの目が熱くなる
「それなのに……嬉しかったのだ…やっと…戻って来てくれて…
一緒にウエスターレンと舞台に立てる事が…」
ついに背中を向けて、俯くイザマーレ
「俺が…ステージで光り輝くお前の傍に居れない事を
何にも悔やんでいないとでも思うのか?」
「!……///////」
「お前の光の下でしか輝けない…そんな俺では、
いつまで経っても、お前と対等になれないじゃないか。」
「……」
「いつか、俺自身の力だけでお前を守ってやりたい…
だから、お前に頼らない道を敢えて選び続けてきた
その事で、どんなにお前に嫌われようと、
俺は甘えるわけにはいかないんだ」
「///だから…っ 何故そこまでして…
そんな事、吾輩、一度も頼んだ覚えはないぞ!!」
「当たり前だ。それは、俺だけの願いだからだ。
それだけ、余裕もなく、必死にあがいているんだぞ。
少しでもカッコつけて、お前に認めてもらえる王子になってやりたい。
それだけだからな」
「……!!……おい💢💢」
ウエスターレンの言葉に驚きながら、冷静になりイラつくイザマーレ
「(笑)誰かさんの受け売りじゃ、ご不満か?
だが、これほど俺の気持ちをピッタリ言い当てる
言い回しはなくてな……これまでそれを、お前に言えなかったのは
どう伝えていいか分からなくてな……」
「……」
「随分前に、リリエルに言われたんだ。
お前にとっての王子役は俺だと……」
「!…リリエルに?」
「そうだ。それを聞いた時、俺もそうありたいと思った。
リリエルにとって、完璧な王子役をこなし続けるお前には
適わないけどな。」
「…ウエスターレン////」
優しく微笑み、イザマーレを抱きしめるウエスターレン
「それどころか…こんな俺を軽く飛び越えて
ヒーローになりやがる……そんなお前を
ずっと傍で眺めていたい。愛してるんだ…」
強張り続けるイザマーレの力が抜けていく
俯いたままの頬を両手で包み
瞳の中に自分の姿を探すウエスターレン
「何度でも言う。俺の居場所は…お前なんだ、イザマーレ…
お前にいくら憎まれても、嫌われても、俺はお前から離れない
分かってくれ…」
「……!ウエスターレン、お前……」
ハッとして、思わず見上げるイザマーレ
自分を抱きしめるウエスターレンが震えている…
まるでフィルムを巻き戻し、2日前の自分を見ているようだった
そして、数時間前にリリエルと交わした会話を思い返す
…この子はきっと、一番守りたい存在の近くで
芽吹く時を自分で決めるはず…
それまでは閣下の手でお守りくださいませ…
そして、常に記憶の中に咲き続ける在りし日の光景
林檎の果実を入手しそびれて、怪我をしたあの日
花の姿で吾輩を慰めたリリ…
「ウエスターレン、吾輩な…
昨日、新しい大事な宝を手に入れたんだ
リリエルには、それを守るように言われた
だから、吾輩だけで守り抜こうと、今の今まで思っていた
だが……」
思わず見返したウエスターレンは言葉を失う
先程まで何かに怯え、俯いていたイザマーレが
真っ直ぐに自分を見つめている
「あの時、事件のせいで言いそびれたことを
お前に伝えていいか?」
怒髪天にオーラを漲らせるイザマーレの厳かさに
見とれたままのウエスターレンに近寄り、そっと口唇を奪う
その瞬間、魔界の屋敷に移動していた
何度も寄り添い合った寝室のベッドの上に…
「お前と一緒に、宝を守りたい。
ずっと、言えずにいたんだ」
「!! …イザマーレ…」
「吾輩、お前のことだけは絶対に許してやらない!
ずっと、憎んでやる!ずっと………愛してやる💢💢」
睨みながら再び口唇を重ねるイザマーレ
ウエスターレンは堪らず強く抱きしめ、より深い口づけで応える
…あの時と同じだ…
最初に初めてウエスターレンとキスをしたあの日…
とろけそうだった…
イザマーレをゆっくりと寝かせ、服を脱がせながら指と舌で愛撫する…
…『もう…吾輩を…孤独にさせないでくれ…』…
そんな言葉でしか伝えられず、もどかしさに悩んだ事もあった
ウエスターレンは微笑み、魅惑の身体に印を付けていく
敏感になっている肌を舌で這わし震わせる
芳香の香り立つ濡れた先を指で撫で回し、上下に動かし
口に含ませ味わう
快感の波にさらわれながら、
これまでの日々が走馬灯のように浮かんでくる
ウエスターレンがイザマーレの元に戻ってからも
彷徨い続け、孤独に泣き濡れる毎日
乗り越えられたのは、ウエスターレンの存在があったからだ
そしてウエスターレン…お前にも、吾輩のように
心を凍り付かせ、震えた夜があったな
紅蓮の炎をエレメンツとするお前が……
吾輩を慰めてみせたリリエルのように
お前を抱きしめてやる
言霊でも何でも構うものか…
「ウエスターレン…愛している。吾輩の中にお前は永遠に生きている
逃げ出す事は許さない……っ」
攻めていたと思ったら、いつの間にか攻め立てられ
追い詰められる
イザマーレの強大な意思に翻弄されながら、
全て受け止めるウエスターレン
息も絶え絶えに口づけを交わし合いながら、イザマーレの上になり
再び見つめ合う
優しく触れ合うように口唇を重ねる
イザマーレの発達した胸筋を労わるように愛撫し
余すところなくキスの雨を降らせる
……!……///////
強がりでも、激しさもない
ただ慈しむようなウエスターレンの行為に
意地を張り続けたイザマーレの魔力が解れ
涙が溢れ出す
サラサラになった金髪を揺らし、ウエスターレンの首に腕を回す
胸元、腹、太腿……
足を割り、内股、付け根と際どい箇所に
刻印を施していくウエスターレン
「…レン…いや…恥ずかしい…から…///////」
「駄目だ。お前の可愛いところ、全部見せろ…
まだまだ、こんなんじゃ、物足りない…」
「…!…ひあっ…あっ……い、いやあああ…」
芳醇な香りを放つ蜜に舌を這わせ
ねっとりと舐め回すウエスターレンに
堪らず捩らせ身体を震わせ、啼き出すイザマーレ
「…いい子だ…もっと聞かせろ…俺だけの為に……」
サラサラな金髪を撫で耳を甘噛みしながら囁き
イザマーレを更に啼かせる
舌を絡ませ、何度も口唇を重ね合う
最高潮に達した時…迷いもなくイザマーレの中に入った
幸せそうに啼く姿…堪らずウエスターレンは抱きしめながら中で果てた
何度も溢れるほどに…
誰にも譲れない……俺だけの……宝物…
数日後の週末
イザマーレの屋敷に、ベルデが訪ねてきた
「やあ、リリエルちゃん。急にごめんね…
ちょっと話したいことがあるんだけど、良いかな?」
「あら、和尚♪いらっしゃいませ。珍しいですね…私にですか?
…あ、もしかして、裕子さんの事かしら…?」
お茶を淹れながら、思い当たる事に勘が働くリリエル
「ありがとう…流石、リリエルちゃん。話が早いね…」
のんびりとお茶を味わいながら、にこやかに話し出すベルデ
そこへ姿を現し、穏やかに対応するイザマーレ
「先日は、裕子の事で世話になったな。ベルデ」
「うん…事後報告になっちゃったけど
一応、伝えておかなくちゃと思ってね」
「すみませんでした。私は何も知らなくて…
裕子さんの様子は如何ですか?」
「…彼女から直接、何かを相談されたわけじゃないから…
自分の中に背負い込んで、どうにか頑張ろうとする…やっぱり
その辺は、リリエルちゃんにそっくりなんじゃないかな(笑)」
ベルデの言葉にイザマーレも微笑み、リリエルの髪を撫でる
「///もし、そうだとしても…裕子さんは人間です。
出来る事には限りがあるはず…
その事を、とても悔しく思ってらっしゃるんじゃないかしら」
恥ずかしそうに俯きながら
口元に手を当て、考え始めるリリエル
リリエルの様子を見ながら
ベルデは改めて屋敷の中を見回す
「…ところで…君たちの屋敷に来たのは久しぶりだけど…
ここ最近、何かあった?今までにない波動を感じるんだけど…?」
「……えっ?」
イザマーレとリリエルは、
声を揃えて同時に顔を見合わせ、首を傾げる
「…あ、そう言えば…」
何かを思い出し、立ち上がるリリエル
「今朝、お庭にお水を蒔いた時、見つけたものがあって…
こちらです」
言いながら、庭に向かうリリエルの後を追うイザマーレとベルデ
「ずらそうとしても動かせなくて…でも、とても綺麗なので
気になっていたんです」
光と火のエレメンツが線香花火のように衝突し合い
螺旋を繰り返している
「!! 今朝見かけたときは、
キラキラと点滅を繰り返すだけだったのに…」
徐々に一塊の物体に形作られていく様に驚くリリエル
……!!……
リリエルのすぐ横で、驚きを隠せず言葉を失ったままのイザマーレ
「……まさか……いや、間違いないよ、これは…」
一瞬、呆然と固まった後、慌てふためくベルデ
「リリエルちゃん!!!ウエスターレンは今、どこに居る?!」
―1年後―
王都にあるイザマーレの屋敷と文化局の森の間に
新たな館が建設された
現場監督を任されたベルデの総指揮の元
順調に仕上がり、こけら落としとなったこの日
ウエスターレンの胸に抱かれた幼子と、
イザマーレがリリエルと手を繋ぎ、揃って足を踏み入れた
「さ、着いたぞ。ソラ…」
ウエスターレンの腕から降ろされ、
キョロキョロと辺りを見学し始める彼女
顔には最高魔イザマーレ族を証明する
白塗りにイザマーレ譲りの紋様
目元の隈取は濃淡のある紫
後ろに一筋、長い髪の毛を縛り上げる風貌は
情報局のウエスターレンに瓜二つ
無邪気に走り回り、にこやかに微笑むリリエルに抱きつく
「(´∀`*)ウフフ…さ、ソラちゃん。こちらにいらっしゃい。」
「はい、リリエルちゃま…」
リリエルに促され、リビングのソファにちょこんと腰かけるソラ
「良い子ね。発生日1年目の節目となったソラちゃんに
プレゼントしたいものがあるの」
そう言って、持っていた宝箱を手渡すリリエル
「わあっ ありがとう!! 開けてもいい?」
天真爛漫に喜ぶソラ
リリエルは笑顔で促すが、どんなに頑張っても宝箱は開けられない
「(笑)無理だろうな。ソラ。それは、お前にとって
本当に必要となった時、開けることが出来る。
お前の宝物として、大事に守るんだ。良いな?」
「!…はい、サムちゃま…」
「いい子だ。これからは、裕子の言う事をよく聞いて、仲良く過ごせ。
だが、寂しがる必要はないぞ。我々は、いつもすぐ隣にいる。」
イザマーレの言葉に、近くに居た存在に気づき
振り向くソラ
「///ソラ様…こんにちは。仲良くしてくださいね」
裕子を見た途端、抱きついて手を繋ぎ、可愛らしい笑顔を見せるソラ
副大魔王イザマーレがこの世に生まれ出でて幾年月…
ウエスターレンとの愛が結実し、その結果として発生した新たな生命
彼女に託した「愛の種」が実を結び、奇蹟を起こすのはいつだろう…
ところで…
その後、すぐさま新しい宝箱を購入し
次の奇蹟を待ちわびるイザマーレ
彼らの屋敷で繰り広げられる光景は、今も相変わらず…
物語は永遠に続く…
完
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