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北―


地獄からほど近い場所に、

低級魔が多く棲息する集落がある


細い溝がいくつも張り巡らされ、その合間の狭い区域に

ゴチャゴチャとした建物が乱立している。

カラフルでおもちゃ箱のような街だ。

小さいなりに商店やバルもあり、それなりに活気がある


地獄で任務にあたる低級魔や鬼たちの束の間の休息には

もってこいの場所なのだろう


細い脇道に入ったすぐの所にあるシンプルなコンクリート製の建物

狭い通路を進むと階段が見えてくる

数段昇った所に突然現れる扉


集落の入口にある情報局支部で調達した鍵を使い、扉を押し開く


「…やれやれ。急とはいえ、こんな場所しか抑えられなかったか…」


扉の中は、8畳ほどのワンルーム。


「意外と綺麗じゃないか。トイレと浴室がついているだけ、マシだろ(笑)」


普段、当たり前のように暮らしている屋敷と比べるのも野暮だが

広さ的には、ウエスターレンが使う情報局部屋くらいだ


イザマーレがパチンと指を鳴らし、

数時間過ごすのに困らない程度の内装に仕立て上げる


「リリエル、すまないな。大丈夫か?」


「ふふっ…全然、構いませんよ。小さくて、何にもないお部屋も

素敵じゃないですか(*´艸`*)」




装飾も何もない、殺風景な部屋では

お互いの存在を、いつも以上に大きく感じるのだ


「…リリエル…こっちにおいで」


急遽、魔力で出したベッド兼ソファーに腰かけ、抱き寄せる

イザマーレの隣にウエスターレンも座り、長い足をだらっと投げ出す

胸の鼓動や、息遣いまで聞こえそうなくらい、密着した状態で寛ぐ3魔


「こんなにも、居心地が良いとはな…♪」


「はい…いつも思っていました。

もしも、閣下が副大魔王様のような凄い方ではなくて

広いお屋敷じゃなくて、こんな風に、何もない所でお暮しだったとしても

きっと私は、閣下に恋をするんじゃないかなって…////」


イザマーレが微笑み、リリエルの髪を撫でる

顎に手を添え、口唇が触れる寸前にそっと囁く


「吾輩も、リリエルとはどんな境遇で出会ったとしても、

惹かれ合うだろうな…」


「閣下…ん…///////」


すぐさま口唇を重ね、舌を絡め合う

服の上から身体をまさぐりながら、一枚ずつ服を脱がせていく


「…あ、あの…///////」


2魔のやり取りを熱く見つめるウエスターレンの視線を感じて

恥じらい、顔を赤くするリリエル


「リリエル、遠慮するな。綺麗な声を俺にも聞かせてくれ」

ウエスターレンは躊躇うことなくリリエルの背後に回り、押さえつける


「さ♪存分に可愛がってやろうな♪」




「…!…んんっ…///////」


リリエルは驚き、僅かに抵抗するが、

口唇はイザマーレに塞がれたまま

露になった肌を愛撫され、徐々に力が抜けていく


「散々じらされ、お預けを喰らったからな。喰わせてもらうぞ…♪」


狭い部屋の中で、艶めかしい舌使い、喘ぐ吐息が

いつもより大きめに聞こえる


「ああっ…」


ウエスターレンが首筋から肩にかけて舌を這わせ

イザマーレが胸の蕾を口に含み、舌で転がし

堪らず啼き始めるリリエル


「あっ…い、いやあ…///////」


そのままリリエルをベッドに押し倒し、思う存分味わう2魔

何度も絶頂に到達し、まどろみ始めるリリエルを腕に包み、

見つめるイザマーレ

そんなイザマーレの髪を撫で、口唇を合わせるウエスターレン


寝ているリリエルのすぐ横で、

熱く愛し合うイザマーレとウエスターレン


途中で目が覚めて、寝たふりしようとするリリエルだが

当然気づかれ、何度も繰り返し愛される


花の色香に酔いしれ、一日の憂いが昇華されていく…





「まあ…ダンケルとダイヤのせいで振り回されたが、

今回は大目に見てやるか♪」


やがて、少しだけ落ち着きを取り戻した3魔

3魔とも、一糸纏わぬ姿で抱き合ったままだったが

真っ赤な顔でシーツに潜り込み、丸くなるリリエルを見つめながら

話し始めたウエスターレン


「そう言えば…ダイヤ様の器の楓様…一体化なさったのですよね」


丸くなったままのリリエルをシーツの上からポンポンと撫で、

笑うイザマーレ


「ああ、そうだな。リリエル、安心しろ。あいつの事だから

ダイヤ本体と同じように陛下に甘ったれてるようだ(笑)」


「えっ…」

イザマーレの言葉に、シーツの端から顔をひょこっと覗かせるリリエル


「器の楓も、まるで自分が消えるかのように思っているフシが

あったけどな。器と本体があって、初めて本来のダイヤになるわけだ。」


「ま、言ってみれば、ダンケルの奴、

毎回ハーレム状態でウハウハなんじゃないか?」

ニヤッと笑みを浮かべるウエスターレン


事の真相が分かり、いつものように微笑むリリエル




「そういう事だ。それなら我々も、逆ハーレムを存分に楽しんだって

少しも文句言われる筋合いはないだろ?」


そう言って、リリエルからシーツをはぎ取り、のし上がるイザマーレ


「きゃあっ///////…んっ…///////」


驚いて悲鳴を上げるリリエルの口唇を塞ぎ、再び愛し始める

束の間の休息は、当分、終わりそうにない…






魔界中を大パニックに陥れていることも知らず、

数週間程度、扉が消えたままとなった大魔王夫妻


ようやく公務に復帰してからは

リリエルの視線に晒されながら、契約書にサインしまくるダンケル


ダイヤも鬼上司のウエスターレンにたっぷりと説教され

仕事をたんまりと渡され、こなす日々が始まった…





👿魔界☆大パニック Fin.👿




 
 
 

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