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秘密


時は20万年前に遡る

雷神帝がまだ皇太子であった時代



宮殿の隅にひっそりと咲いていた百合の花


周りの草花は、彼が通り過ぎるだけで恐れ戦き、枯れていく

そんな中、いつも可憐に咲き誇る百合の花を

皇太子は気に入っていた


雨雲と稲妻を司る雷神界に生をなしたものの宿命は

地球という星に恵を与える代わり

小さな生き物たちの犠牲を伴う


仕方のない事とはいえ、綺麗に咲く花々まで

時には容赦なく牙を向ける日々に、心は疲弊する


だが、恐れる事なく、その美しさを保ち続ける百合の花は

皇太子にとって最大の癒しになっていた


百合の花もまた、皇太子を愛し、

女に生まれ変わると、皇太子妃として寄り添い続けた

やがて、皇太子夫婦は子供を授かり、

この世の安寧とバランスを図るために

魔界へ愛息子を長期留学させることになる。


息子のラァードルがはじめて魔界に降臨した頃

龍雲に乗って見守っていた雷神帝

息子の成長と安全を願って、これまで大事に保管していた宝、

妃がかつて産み落としていた百合の花の種を

龍雲の上から蒔いた。


その種が、魔界のとある場所に根付き、

花を咲かせた…


その花の元に訪れた、金色の怒髪天、光眩い悪魔。

すべての始まりは、こうして繫がれた命の物語だったのだ




 
 
 

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