秘密
- RICOH RICOH
- 2024年10月14日
- 読了時間: 2分
時は20万年前に遡る
雷神帝がまだ皇太子であった時代
宮殿の隅にひっそりと咲いていた百合の花
周りの草花は、彼が通り過ぎるだけで恐れ戦き、枯れていく
そんな中、いつも可憐に咲き誇る百合の花を
皇太子は気に入っていた
雨雲と稲妻を司る雷神界に生をなしたものの宿命は
地球という星に恵を与える代わり
小さな生き物たちの犠牲を伴う
仕方のない事とはいえ、綺麗に咲く花々まで
時には容赦なく牙を向ける日々に、心は疲弊する
だが、恐れる事なく、その美しさを保ち続ける百合の花は
皇太子にとって最大の癒しになっていた
百合の花もまた、皇太子を愛し、
女に生まれ変わると、皇太子妃として寄り添い続けた
やがて、皇太子夫婦は子供を授かり、
この世の安寧とバランスを図るために
魔界へ愛息子を長期留学させることになる。
息子のラァードルがはじめて魔界に降臨した頃
龍雲に乗って見守っていた雷神帝
息子の成長と安全を願って、これまで大事に保管していた宝、
妃がかつて産み落としていた百合の花の種を
龍雲の上から蒔いた。
その種が、魔界のとある場所に根付き、
花を咲かせた…
その花の元に訪れた、金色の怒髪天、光眩い悪魔。
すべての始まりは、こうして繫がれた命の物語だったのだ
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