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苦痛


イザマーレに別れを告げられてから数年の日々が過ぎた。

ダイヤはダンケルの元で妃として生活を始め、

時にはダンケルの晡助役として動いていた。

様々な公務で忙しい中、必ず夜は愛された。

しかしダイヤは人間。魔界の時空には耐えられなくなっていた。

ここ最近は激痛に襲われる回数が多くなっていた。


ダイヤがダンケルの横で書類を整理していた時、

身体に激痛が走り、顔を歪め固まった


「ダイヤ?どうした」

ダンケルが書類から目を離し聞いた


「あ…いえ…なんでもありません。

仕事の途中で申し訳ないのですが…席外します」

何とか苦痛を堪え笑顔でダンケルに答える。

しかしおでこに冷や汗が止まらない


「……」

ダンケルはじっとダイヤを見た。


「…直ぐに戻って参りますので」

席を立ち、部屋から出た途端走りだし、

王室から少し離れた部屋に入った。


「…痛い…いたた…助けて…痛すぎる…」


中に入ったと同時に倒れた。息も荒く血圧が下がってくるのが分かった。

脂汗が全身に流れる。何とか起き上がろうとしても痛みで立ち上がれない。

気も遠くなりそうなのを必死に耐えた。

とにかく落ち着かせようと、目を閉じて呼吸を整えている内に

激痛に耐えられず気を失った




ダイヤが気が付いた時はベッドに寝ていた。

まだ鈍い痛みが身体に走る。その度に痛みで唸っていた


「大丈夫か?ダイヤ」

ダンケルが顔を覗かせる


「……陛下…申し訳ありません…

ご心配お掛けしました…体調が少し悪くって…」

再び痛みを我慢して身体が震えた



「…ダイヤ、このままだと命を落とす。何故隠していた?…」

「!」


ダイヤ自身も何となく分かっていた…

人間が魔界の時空に耐えられるわけない…

いつまで持つか…薄々気が付いていた


「悪魔として甦れ…お前を失いたくない」

ダンケルはダイヤの髪を撫でて言った


「…もう充分に生きました…悪魔に甦るなど恐れ多いこと…

陛下に迷惑も掛けたくありません…

それに…陛下はやはり、純血の悪魔の女性を妃にするべきです…」


それから毎日のようにダンケルは悪魔になれと説得するが、

ダイヤは縦に首を振らなかった

無理やりでも悪魔にしても良いのだが…

どうしても嫌がるダイヤを無理やり悪魔にはさせられなかった…



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