top of page

怪盗猫


暗闇にひっそりと姿を現した二組のカップル猫。

一組は、リエリーザとイザマージェリー。

お尻をフリフリ、尻尾を巧みに回しながら

軽やかにデュエットする怪盗猫。


宝石を盗みに行っても

「リエリーザの前では、どんな宝石も霞んでしまうな💕」

「イザマージェリー様💕」

宝石も真っ青な、ラブラブっぷり。

お互いのハートを盗み合うばかりで、モノを盗むことを忘れてしまう


もう一組はスプランプルとマンゴラァードル


無駄に周囲の視線を引き付けては、愛し合ってばかりの

リエリーザ達を尻目に、確実に獲物をゲットしていく2猫。


全てが終わると二組のカップルはひとつのテーブルに座り

楽しそうに歓談をするのだ





今日も今日とて、夜の街を横切る怪盗カップル

今宵は巷で有名な絵画に狙いを定めたようだ


獲物の絵画に辿り着くまで、様々な美術品を見てはイチャラブするカップル


「ほぉ、このルビーは見事なものだ。リエリーザ、どうだ?このルビーは…」

「まぁ素敵」

「…いや、リエリーザの前では、このルビーすら霞んで見えてしまうな」


「///もう、イザマージェリー様ったら。あら、このネックレス。

イザマージェリー様に似合いますわ… ダメ!やっぱりダメです!」


「何故だ、リエリーザ。吾輩はネックレスに負けてしまうか?」

「違います!そのままでも素敵なイザマージェリー様が

このネックレスをつけてしまうと、もっと素敵になって

この世の全ての雌猫がイザマージェリー様の虜になってしまいます。

そうなったら、私は…私は…(涙)」


「リエリーザ…あまり可愛いことを言うな。このままだと吾輩は…」


「どうなっちまうんだ?」

「エストラップ!」「エストラップ様」


そこに現れたのはエストラップ

「まったくお前って奴は、ちょっとは場所を考えろ」

「今宵ここに来るとは、やはりエストラップだな」

イザマージェリーは嬉しそうに声をかけ、エストラップに駆け寄る


彼はこの街を守る警察官。

神出鬼没の怪盗カップルの専任警官となっている。

いつも盗みに入っているが、結局何も盗まず被害も出ていないため、

彼1猫が逮捕に動かされているのだ。

…そしてイザマージェリーの想い猫でもある


警官と怪盗という立場を超えて情を交し合う 3 猫




「お前らなぁ…いつも何も盗まずに

イチャついて帰るだけなら、家でやれ。

毎回出動させられる俺の身にもなれよ」

長い脚を組み、窓枠に凭れ掛かりながら小言を言うエストラップ


「エストラップ。何故いつも同じことを聞くのだ。

こうでもしなければ、お前にゆっくり会えないではないか!」


「…だったら盗みに入るのはよせ。

毎回、何も盗られていない窃盗事件の報告書を

まとめるのがどれだけ大変か」


「エストラップ…吾輩は毎回盗んでいるぞ」

「何を?」

「エストラップ…お前の愛だ…」


姫猫のような美しい仕草で煽るイザマージェリーの顎をくいっとさせ

その口唇を奪い、甘く囁くエストラップ

「可愛い事を言うな…」


2猫の甘い時間をうっとりと眺めるリエリーザ

「お二方とも…素敵…」


「リエリーザ。早くそのルビーの指輪とネックレスを持って行け。

俺のブレスレットと惹き合うはずだ…あの月光の下でな…」


「はい。エストラップ様」


「朝にはちゃんと元に戻しておくから安心しろ」

エストラップの首に腕を回し愛嬌たっぷりのイザマージェリー

「…だから、何か盗んでくれよ。警官の俺が言う事じゃないが(苦笑)」


「だって、どんな宝石も絵画もイザマージェリー様には劣るんですもの♪」

「リエリーザ…今夜はお前の事も眠らせないぞ。良いな…」

リエリーザも交え、濃厚に絡み合い、誠にケシカラン炎が繰り広げられる





「だったら俺達が貰ってやっても良いぞ!」


どこからか響く陽気な声にふと振り返ると、

そこにはマンゴラァードルとスプランプルの姿…


「お前は予告状以上の物を盗むな!子供じゃあるまいし、

気にいった物を片っ端から持って行くな!」


「エストラップ様…怖い(涙)だって、素敵なものがたくさんあって

選べないんですもの。欲しいものを予告状に書いたら

巻物になってしまうし…」


「巻物の予告状なんて絶対にやめろ!」


「我儘だな!エストラップは!それにスプランプルを泣かせるなよ」

プンスカし始めるマンゴラァードル。


「あのなぁ(怒)」


真夜中の美術館。

それも怪盗2組と警官が向かい合って話す内容ではない

それぞれが時間を邪魔されたとヒートアップしてきた時…


「マンゴラァードル様。イザマージェリー様とエストラップ様の

せっかくの逢瀬の時間を邪魔しないでくださいませ!

ルビーはちゃんとスプランプル様にお渡ししておきますから♪」


その場の空気を一掃したのは冷ややかな笑顔のリエリーザだった。

その笑顔を見た瞬間、スプランプルはマンゴラァードルの腕を引き

疾風のごとくその部屋から出ていった。


「イザマージェリー様、エストラップ様。

もう邪魔者はいませんわ。どうぞ素敵な時間を…」




ルビーの指輪とネックレスを身にまとい、

宝石に負けないほどの煌めきを携え、

立ち去ろうとするリエリーザ。

もちろん逃さず引き寄せ、心ゆくまで溺れ狂う3猫…








 
 
 

最新記事

すべて表示
校長のサロン

「理栄先生!!本当ですか…!!」 噂を聞きつけたスプネリアとリリア、ムーランの3名が駆けつけると 同じように見に来ていたプルーニャ、ダイヤと出くわす 「あら?早速、いらっしゃったわね♪お疲れ様です♪」 理栄がニコニコと微笑んで出迎える...

 
 
 
魔鏡学園

「イザマーレ、お帰り…っておい」 副理事長室で待ち構えていた守衛ウエスターレンが、一瞬固まる 「…浮気か?」 ニヤッと目を細めるウエスターレン 「ウエスターレン…馬鹿な事を言うな」 言葉とは裏腹に、静かに笑みを浮かべるイザマーレ 「あ、あの…」...

 
 
 
交錯

生徒会室で眼光鋭くモニターチェックしながら 紫煙を燻らせていたウエスターレン 突如、一番手前にあるモニターが光を放ち、画面にノイズが走る すらっとした指先を巧みに動かし、相手からのメッセージを受け取る 「…マジか。了解した。」 軍服を着こみ、すぐさま部屋を後にする …………...

 
 
 

Comments


©2022 by 里好。Wix.com で作成されました。

bottom of page