怪盗猫
- RICOH RICOH
- 2024年10月28日
- 読了時間: 4分
暗闇にひっそりと姿を現した二組のカップル猫。
一組は、リエリーザとイザマージェリー。
お尻をフリフリ、尻尾を巧みに回しながら
軽やかにデュエットする怪盗猫。
宝石を盗みに行っても
「リエリーザの前では、どんな宝石も霞んでしまうな💕」
「イザマージェリー様💕」
宝石も真っ青な、ラブラブっぷり。
お互いのハートを盗み合うばかりで、モノを盗むことを忘れてしまう
もう一組はスプランプルとマンゴラァードル
無駄に周囲の視線を引き付けては、愛し合ってばかりの
リエリーザ達を尻目に、確実に獲物をゲットしていく2猫。
全てが終わると二組のカップルはひとつのテーブルに座り
楽しそうに歓談をするのだ
今日も今日とて、夜の街を横切る怪盗カップル
今宵は巷で有名な絵画に狙いを定めたようだ
獲物の絵画に辿り着くまで、様々な美術品を見てはイチャラブするカップル
「ほぉ、このルビーは見事なものだ。リエリーザ、どうだ?このルビーは…」
「まぁ素敵」
「…いや、リエリーザの前では、このルビーすら霞んで見えてしまうな」
「///もう、イザマージェリー様ったら。あら、このネックレス。
イザマージェリー様に似合いますわ… ダメ!やっぱりダメです!」
「何故だ、リエリーザ。吾輩はネックレスに負けてしまうか?」
「違います!そのままでも素敵なイザマージェリー様が
このネックレスをつけてしまうと、もっと素敵になって
この世の全ての雌猫がイザマージェリー様の虜になってしまいます。
そうなったら、私は…私は…(涙)」
「リエリーザ…あまり可愛いことを言うな。このままだと吾輩は…」
「どうなっちまうんだ?」
「エストラップ!」「エストラップ様」
そこに現れたのはエストラップ
「まったくお前って奴は、ちょっとは場所を考えろ」
「今宵ここに来るとは、やはりエストラップだな」
イザマージェリーは嬉しそうに声をかけ、エストラップに駆け寄る
彼はこの街を守る警察官。
神出鬼没の怪盗カップルの専任警官となっている。
いつも盗みに入っているが、結局何も盗まず被害も出ていないため、
彼1猫が逮捕に動かされているのだ。
…そしてイザマージェリーの想い猫でもある
警官と怪盗という立場を超えて情を交し合う 3 猫
「お前らなぁ…いつも何も盗まずに
イチャついて帰るだけなら、家でやれ。
毎回出動させられる俺の身にもなれよ」
長い脚を組み、窓枠に凭れ掛かりながら小言を言うエストラップ
「エストラップ。何故いつも同じことを聞くのだ。
こうでもしなければ、お前にゆっくり会えないではないか!」
「…だったら盗みに入るのはよせ。
毎回、何も盗られていない窃盗事件の報告書を
まとめるのがどれだけ大変か」
「エストラップ…吾輩は毎回盗んでいるぞ」
「何を?」
「エストラップ…お前の愛だ…」
姫猫のような美しい仕草で煽るイザマージェリーの顎をくいっとさせ
その口唇を奪い、甘く囁くエストラップ
「可愛い事を言うな…」
2猫の甘い時間をうっとりと眺めるリエリーザ
「お二方とも…素敵…」
「リエリーザ。早くそのルビーの指輪とネックレスを持って行け。
俺のブレスレットと惹き合うはずだ…あの月光の下でな…」
「はい。エストラップ様」
「朝にはちゃんと元に戻しておくから安心しろ」
エストラップの首に腕を回し愛嬌たっぷりのイザマージェリー
「…だから、何か盗んでくれよ。警官の俺が言う事じゃないが(苦笑)」
「だって、どんな宝石も絵画もイザマージェリー様には劣るんですもの♪」
「リエリーザ…今夜はお前の事も眠らせないぞ。良いな…」
リエリーザも交え、濃厚に絡み合い、誠にケシカラン炎が繰り広げられる
「だったら俺達が貰ってやっても良いぞ!」
どこからか響く陽気な声にふと振り返ると、
そこにはマンゴラァードルとスプランプルの姿…
「お前は予告状以上の物を盗むな!子供じゃあるまいし、
気にいった物を片っ端から持って行くな!」
「エストラップ様…怖い(涙)だって、素敵なものがたくさんあって
選べないんですもの。欲しいものを予告状に書いたら
巻物になってしまうし…」
「巻物の予告状なんて絶対にやめろ!」
「我儘だな!エストラップは!それにスプランプルを泣かせるなよ」
プンスカし始めるマンゴラァードル。
「あのなぁ(怒)」
真夜中の美術館。
それも怪盗2組と警官が向かい合って話す内容ではない
それぞれが時間を邪魔されたとヒートアップしてきた時…
「マンゴラァードル様。イザマージェリー様とエストラップ様の
せっかくの逢瀬の時間を邪魔しないでくださいませ!
ルビーはちゃんとスプランプル様にお渡ししておきますから♪」
その場の空気を一掃したのは冷ややかな笑顔のリエリーザだった。
その笑顔を見た瞬間、スプランプルはマンゴラァードルの腕を引き
疾風のごとくその部屋から出ていった。
「イザマージェリー様、エストラップ様。
もう邪魔者はいませんわ。どうぞ素敵な時間を…」
ルビーの指輪とネックレスを身にまとい、
宝石に負けないほどの煌めきを携え、
立ち去ろうとするリエリーザ。
もちろん逃さず引き寄せ、心ゆくまで溺れ狂う3猫…
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