魔水晶
- RICOH RICOH
- 2024年11月26日
- 読了時間: 5分
虫が何よりも怖いAnye
そして、植物の声を全て感じ取る能力の影響があるため
屋外よりも過ごしやすい研究棟に案内してもらった
文化局に足を踏み入れた時から、わずかに察知していたのだが
研究棟に入ると、より鮮明になるオーラ
「やはり…もしかして、ラディアの翼をあそこまで綺麗な状態に
仕上げてくださったのは、ベルデ様だったんですね?それに…
あの時、ラディアを生かしてくださったのも
たしか、ベルデ様だったはず。そうですよね?」
「ハハハ…流石だねえ、Anyeちゃん。噂には聞いていたけど
あの時、イザマーレが指示していた事まで、覚えていたんだね」
穏やかに笑いながら、のんびりと受け応えるベルデ
「あの天使の翼を研究していたのは僕の趣味。
もしかしたら、天界のなにか、肝になる事を探れるかと思ってね
だけど、途中からダンケルに頼まれて、仕方なくね…(笑)」
「…そうだったんですね…ラディアを助けてくださって
ありがとうございました。」
ペコリとお辞儀をするAnye
「まあ…僕たち悪魔にとって、天界っていうのは
永遠に相容れない存在なんだよ。だけどさ、どういうわけか
彼女にだけは、そうじゃないものも感じるんだよね。
それが何なのか、ずっと考えていたんだけど…」
のんびりと話すベルデ
………
サロンからは、相変わらず、はしゃぎ回るイザマーレとラァードルの
楽しそうな声が聞こえてくる
「ラァードル。大事な気持ちなら、無理に忘れる必要もない。
きちんと覚えておけ。いつか未来で、その願いも昇華されると良いな」
「分かってるよ!!そんなこと言って
サムちゃんばっかりラブラブ💕とかずるいぞ〜!!」
いつの間にか、泥だらけになって遊び倒す御2魔
「お前ら!!いい加減、シャワー浴びてこーい!!」
怒鳴りつけるウエスターレンの声
「おい、イザマーレ。分かってるな?今日のおイタは
後できっちり、お仕置な💕」
「なっ……良いじゃないか、別に…💦」
目を細めて睨み付けるウエスターレンに、
アワアワし始めるイザマーレ
「ほら、分かったら、シャワーを浴びて休憩しろ。」
「…そういや、Anyeはどこに居る?
吾輩、一旦休ませてもらうから、呼んできてくれるか?」
「はいはい…ったく…」
シャワーを浴びてさっぱりしたところで、急に眠くなったのか
森のサロンにある、専用のハンモックに向かうイザマーレ
ため息を付きながらも
甲斐甲斐しく世話を焼くウエスターレン
ラァードルは、焼き上がったばかりの蜂蜜入りクッキーを
美味しそうに頬張り、その様子を見守りながら
優雅にお茶を味わうセルダとバサラ
………
サロンの中で、柵を取り外し、気ままに過ごす構成員の様子を
眺めながら、にこやかに笑うベルデ
「僕たちに、Anyeちゃんと出逢わせてくれた。
そのキッカケになったことは、確かだからね。
だからなのかな…」
「…ベルデ様…///////」
楽し気に、穏やかな笑みを浮かべるベルデに
恐縮して俯くAnye
「だってさ。イザマーレにとって欠かす事の出来ない存在じゃない♪
Anyeちゃんがイザマーレの横に居ないなんて、
もう考えられないもんね(笑)」
「…///////」
恥ずかしそうに微笑みながら、改めて部屋の中を見回すAnye
部屋の中心にある魔水晶が幾度も色を変え、しきりに画像を映し出す
「…あの後、あの子はまた、どこかへ雲隠れしちゃったみたいだね。
だけど…ここは魔界。我々の目を完全に潜り抜けることなど
出来やしないよ。必要なら、すぐに見つけてあげるから
遠慮なく言ってね」
言葉の奥に、ヒヤリとするものを忍ばせながらも
涼しい顔でのんびりと笑うベルデ
「Anye、ここに居たのか。イザマーレが午睡するからって
お前を呼んでいるぞ。」
「!…あ、はい。すぐ行きます」
紫煙の香りを漂わせながら
颯爽と姿を現したウエスターレンに振り向き
サロンに向かうAnye
「鬼の霍乱ならぬ、イザマーレの居ぬ間に、こんな怪しげな部屋へ
姫君を誘い込むなど、どういう了見だ?」
目を細め、紫煙を燻らせるウエスターレンに
あくまでも穏やかに切り返すベルデ
「いやだなあ…彼女は虫が嫌いでしょ?
ちょうど良い避難場所になると思っただけだよ?」
「フッまあ良い。イザマーレが柵から逃れ、
休息できる唯一の場所であることは確かだからな。」
「…よく言うよ。君がいるじゃない。
それに、Anyeちゃんが居るんだもん
寝心地の良い枕を2つも手に入れたんだから…もう大丈夫だよ」
…………
ハンモックに横たわり、気持ち良さそうに寝ているイザマーレの元に
そっと歩み寄るAnye
近くに落ちていた葉を1枚、拾い上げ、
「…えいっ」
たちまち、タオルケットに仕立て上げ、イザマーレの身体にかける
「…へえ…はじめて、間近で見れたな♪」
「!…すみません…起こしちゃいましたか?」
「構わないよ。こっちにおいで、Anye…」
「……」
大人しく座っているが、何となく気忙しく、怯えている様子のAnyeに
含み笑いをするイザマーレ
「…(笑)結界を外したからなあ…」
「そ、そうですよね…💦 虫…虫、近づいてこない…?」
ハンモックの端っこを握りしめ、終始、ビクついているAnye
「大丈夫だ。離れたところにいるだけだから(苦笑)
あいつらも、お前に気を遣ってるらしいから、安心しろ」
「…………先に、帰ってもいいですか…💦」
「駄目だ。お前だけでは迷子になるだろ?
吾輩がいるだろう?大丈夫だから」
「…だ、だってだって…」
甘い雰囲気とは言い難く、夫婦漫才のようなやり取りを続ける2魔
いつの間にか、光と花のオーラに包まれ、
より強固に張り巡らされた結界に
虫一匹、入り込む余地がない事を知りながら
怖がって震えるAnyeを抱き寄せて、楽し気に見つめるイザマーレ
急に静かになったサロンで、ゆったりとした時間が流れていく…
🌷学園Ⅰ~Ⅳ Fin.🌷
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