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光の逡巡


花の美術館から魔界に戻り、数日経った頃

副大魔王執務室に伝令が届いた。


「……」


常であれば、すぐさま魔宮殿に出向き、

ダンケルに謁見するイザマーレだが、この時は違った。


しばらくの間、腕を組み、目を閉じて思案する…


それでもほんの数刻後には立ち上がり

隣の情報局部屋へ向かった


「ウエスターレン、ちょっといいか」


「どうした、イザマーレ。何かあったのか?」

不思議そうに尋ねるウエスターレン。





今は魔界の朝。


朝食を取り、リリエルが朝の家事を終わらせ

執務室に来るまでの時間。


その間も途切れることなく溜まり続ける副大魔王の職務を捌くため

いつもであれば、その仕事に集中する時間のはずである。


リリエルが執務室に来れば、

寝室でウエスターレンと蜜月の時間になるのだ

だからこそ、通常ではない、何かが起きたのだと

察知するウエスターレン。


「…今日この後、リリエルと話をする必要がある。

だから、お前に甘える時間が持てない。すまないが…」


「イザマーレ。俺には何でも相談しろ。

さっき王室から伝令が届いていたのは

リリエルに関する事なんだな?

……やれやれ。またあいつ等の尻拭いか」


「そうでもあるが……やはり吾輩の意志なのだ。

だから、吾輩の口からリリエルに伝える必要がある」


そんなイザマーレを、ウエスターレンは抱きしめる

「分かったよ。だが、あまり思い詰めるなよ?

リリエルに伝えるまでは、俺もここにいさせてくれ。」

そう言って、イザマーレにキスをした





 
 
 

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