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地獄の扉


ダイヤはリリエルと別れた後、

構成員に挨拶するためウエスターレンの元を訪ねた。

ウエスターレンにはイザマーレから話を聞いていると微笑みかけられた

「改めて宜しくお願いします」

ダイヤは頭をさげた

「こちらこそ。で?今、イザマーレはリリエルと一緒だな?」

「そうですね、閣下はリリエル様と一緒です」

「そうだよな…あ~こりゃ数日間は部屋から出てこないぞ…」

ウエスターレンは煙草を吸い始めながら言った


「…え?数日間?って言いました?」


「いつもだぞ?その時間は俺もイザマーレの近くには行けない…知らなかった?」

「…あ…いや~そこまでは…」


「リリエルを人間界に戻すまでは出てこないはずだ。

あいつの公務の日程調整しなきゃな…」

ダイヤの困惑に気づかず、スケジュール調整に余念のないウエスターレン。


(…数日出てこない……数日間も??まさか…)

ダイヤは複雑な気持ちになっていた


「あ、閣下がリリエル様と一緒の時は陛下の元で勉強しますし…」

ぎこちない笑顔で答えた。

「…お前も大変だな…ダンケルにいじめられるなよ!頑張れ!」

ウエスターレンは冗談混じりに言った


ダイヤは他の構成員にも挨拶しに回ったが、全ての構成員に言われた…

『閣下がリリエルちゃんと一緒の時は、全然出てこないからな。

次の軍事演習、俺たちでやらないとな。

あ~ちゃんとやらないと閣下に怒られる(汗)』

『ひどい時なんて、閣下の気が済むまで、

彼女の時間止めちゃうもんね。』

『そうそう!緊急の時は目玉蝙蝠送れば出てきてくれるけど、

すっごい不機嫌だもんね』





なんだろう…このモヤモヤ感…


挨拶が終わり屋敷に戻ったが、

まだイザマーレはリリエルと一緒にいるのか、彼女の部屋の扉すら消えていた

「……数日間…か…契約なし…か…」

ダイヤは消えた扉の前で立ち尽くして俯く。


愛契約した時…イザマーレから言われた言葉をとろける思いで聞いていた

『愛契約はお前だけだ』


嬉しかった。やっと傍にいれる…浮き足立った。


しかしイザマーレがその後に言った

『リリエルにおねだりされたから』が引っ掛かる…

でもリリエル様は閣下のお気に入り…

契約など関係なく、数日間も愛され続ける…

自分は契約だから…割り切ればいい…割り切れば…

悲しい気持ちを引きずったまま、ダイヤはダンケルの元に向かった



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