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消える扉


部屋から出ようとしたリリエルを抱き寄せ、イザマーレは強い語感で言い放つ。


「ダイヤ!リリエルとの時間を邪魔するとは何事だ!!

お前はそこで指くわえて待ってろ!」


「え?ちょっと、………閣下っ………」


戸惑うリリエルにさえ有無を言わせず部屋に連れ戻し、

ダイヤの目の前で部屋の扉を消した

そのままリリエルを抱きしめる。


「…こんな時くらい、他者を構うな」

ダイヤの元に行こうとしたリリエルだが、未だに震えが止まらなかったのだ


「震えを止める事すら出来ないくせに、

なぜそこまで、他人を思い遣れるのだ?」


「…閣下、お許しください。

これまで閣下がどんなに辛い思いをなさっていたかも知らずに……っ」


リリエルを見つめるイザマーレは、先程とは違い、優しい表情をしている。


吾輩のためだけに涙を流すリリエルに、いつの間にか全ての憂いが消えていた

すべての季節を、新しい出会いに変えて見せた、これまでの日々。

それさえも、かけがえのない宝になっていたことに気づかされる


「今は自分の事だけ考えろ…おいで、リリエル…」

震えるリリエルに口唇を重ね合わせ、丁寧に服を脱がせていく

恐怖の記憶が、愛される喜びで覆いつくせるように……


悲しみの記憶など、吾輩が光に変えてやる

お前と吾輩で紡ぎ出す絵物語は、これから幾度も色を染め直すだろう


やっと記憶を取り戻したリリエルとの時間、誰にも邪魔はさせない……



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