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花の告白


ベルデから目玉蝙蝠が送られてきた時

イザマーレの腕の中で、リリエルは眠りについていた。


何度も寄り添い、慰めて、泣き出すことはなくなったが、

未だにリリエルは、イザマーレに何も語らなかった。

彼女の気持ちなど、すべて読み取れるのだが…

やはりイザマーレはリリエルに直接おねだりされるのが好きなのだ。

名残惜しいが…イザマーレは寝ているリリエルを人間界に戻した。


リリエルが目覚めた時、人間界の自宅にいた。

夢だったのか…でも多分違う。

これまでも何度も体験していたからだ。

(また、閣下の優しさに甘えてしまった……)


感情が高ぶって、上手く気持ちを伝えられなかったが、

きっとまた閣下は必ず会いに来てくれる。

それまでは…

できる限り、いつもの日常を送るよう務めていた。


確かに今までは孤独だった。

でも今回は違っていた。

すぐに本気で心配してくれる仲魔がたくさんいた。

彼女たちに出会えた事

それすらも、閣下から与えて貰えたものだ。


この次は、必ず笑顔でお出迎えしなければ。

そう、心に決めていた。



「………と思ってるんだが…」

リリエルの元に姿を見せたイザム。

食事をした後、リリエルを泣かせた相手に対する対応について

話がしたいと、川原に連れ出した。

土手に座り、リリエルの手を繋ぎながら語り出す。


「いつもなら、お前を悲しませた相手など

問答無用でお払い箱にするんだがな……!」

静かに聞いていたリリエルが、イザムに抱きついた。


「…どうして、いつも私の願ってるとおりに

してくださるの?……嬉しい………」

イザムの腕に顔を埋めて、リリエルは呟いた


「リリエル?」

イザムは、リリエルを見つめている。


「私が会社で傘を盗まれた時、盗んだ相手は雷に打たれてました」

「…!」

「私が昔、恋人に振られた時…相手はその後、

全てのことが上手くいかず、負のスパイラルに…」

「………」

イザムはリリエルから少し目を反らす


「…全て、私のために。そうでしたよね?」


(……気づいていたのか…)


「いつもいつも、私のために

閣下が動いてくださっていたこと、

分かっていたのに、お礼も言えずにいました。

そして、私のせいで、毎回のように閣下がひどい悪魔だと

言われる事が辛かったんです」




「!……」


リリエルは顔をあげて、イザムに微笑みかける。

「私にとって、イザマーレ閣下は素敵な王子様ですから」


「……」

イザムも微笑み、リリエルの髪を撫でる


「イザマーレ様の活動の際に未来永劫、出入り禁止にはしないという英断、

とっても嬉しいです。

私は、閣下と出会えたから、落ち込まずに済んだのです。

今の私がいるのは、全て閣下のお陰です。

彼女にも、その救いは残してあげたいと……

先日は上手く言葉にできず、甘えてしまいましたから、

次にお会いできた時に、きちんとお願いしようと思っていたんです。」


「…そうだったのか?」


「…はい。だから、今回もやはり、閣下は

私の願い通りにお考えくださった事

とても嬉しくて………閣下…大好きです」


リリエルは少し俯いて、恥ずかしそうにしている。

堪らなく愛しく思えた…いつまでもリリエルを守ってやりたい…


「…リリエル…」

再び抱きしめ口唇を合わせた

そのまま魔界に連れて行き、時間を止めて愛し合う




イザマーレの心と魔界と人間界に、ようやく平穏が戻った……



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