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邸宅の主


午後3時


軍事局の終業時間が近づき、

バサラは参謀室の雑多な机を適当に整理しつつ

小型のケトルで沸かした熱湯をマグカップに注ぐ

焙煎された香ばしいコーヒーの香りが室内に漂う


だが注いだマグカップに口をつけることも忘れ

勤務の合間にプエブロドラドの魔宮殿側にある

コンビニに出向き、買っていたおやつを食べながら、

一緒に購入した雑誌をパラパラとめくりため息をつく


人間界の奉仕活動を終え、今は文化局の魔界病院で

専属のナースとして従事する妻のバナトラを喜ばせるため、

何かいいアイディアはないかと、頭を悩ませているが

思い浮かばない。


「そういや、ラァードルは最近、スプネリアちゃんと一緒に

デートするようになったよな~いや、俺ならもっと華麗に

バナトラをエスコートしてみせるよ?場所と時間さえあれば…

でも、あんまり知らないのよね~

…おっと、コーヒー淹れたまま忘れてた💦」


慌てて立ち上がり、あくまでも優雅に冷めたコーヒーを飲んで

夕日の美しい景色を眺める


「…そろそろセルダも職務は終わるかな?

今日は事件も少なかったようだし…」


そんな事を呟きながら目玉蝙蝠を飛ばす


数刻後、承諾の返事が届いた


帰宅前にプルーニャとハルミちゃんの

お散歩デートをするというセルダを誘い

邸宅がある高級住宅地と王都の狭間にあるバルで落ち合う


「手っ取り早いのは、やっぱ閣下に聞くのが一番じゃんね?

俺もそのうち、行こうと思っとったよ。」


2兄弟の片割れは、至極当然のように的確なアドバイスをくれるが

それも何だか格好悪い気がして、二の足を踏む。


「はあ~、どうしようかな~…」




 
 
 

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