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Ⅱ 魔界の東


魔界の東側にある、豊かな自然に恵まれた小高い山の頂


37年を経て、今では人間界に降り立つこともなくなった

歴代の構成員も含め、最高魔軍の全構成員が

ダンケルの号令の下で集結した


プエブロドラドの住民は勿論、噂を聞きつけた低級魔も

中央で切磋琢磨し合う高級官僚たちも

嬉々として駆けつけ、その瞬間を待ちわびる


雷鳴

大地が揺れる程の爆音

美しく、切なさを彷彿させるギターの音色

軽やかなリズムで民衆を煽る


自然と高揚する心に抗わず、拳を突き上げる民衆


中央に現れた光の指示に従い

左右に分かれて二重の旋律を歌い上げる

刹那の静寂


光の言霊を待ちわびる


「………」


すぐに次のイントロに入れるよう待ち構えるウエスターレン


他の構成員は、ウエスターレンへのサプライズに仕上げる為に

事前に打ち合わせた準備を整える


だが…


思った以上に長い“間”に、改めてイザマーレを見つめる


「…!!……」




「…イザマーレ…」


透き通る瞳いっぱいに涙を浮かべ、

声を発する事が出来ずに居たイザマーレ


いち早く気づいたウエスターレンは、抱きしめたい衝動と

いつまでも眺めていたいほどの厳かな気品の前に揺れ動く

そして、同じ景色を味わえた喜びを嚙み締める


ラァードル、セルダ、バサラ、ベルデの4魔も

誇り高い高揚感の中、同じ空気を味わう


最早…演奏など…


それよりも、イザマーレの元へ集まり

抱きしめ合いたい


そう思い始めた矢先


「地獄の皇太子!!!!」


待ちわびたはずのイザマーレの号令に、慌てふためき

ズッコケそうになりながらも、

一糸乱れぬグルーブを作り上げる構成員たち


「ふははははっ 騙されたな♪」

悪魔な高笑いをするイザマーレ

軽やかに体裁きをしながら、楽しそうに歌い上げる


サビが終わり、イザマーレが高らかに呼び上げる


「あ~~~ウエスターレン!!」


ギターの美旋律を誰もが予想した時、ふっと音が止まる


そして、お馴染みのメロディが奏でられる




何となく分かっていたウエスターレンだが

嬉しそうにニコニコと笑い、待ち構えている


悪魔軍666師団のスタッフ魔がバースデーケーキを運び出す


オルド監修の元、Lily‘s全員で作り上げたケーキだ


大きなケーキ台に続いて、構成員と妻、ペットたちが

それぞれに考案したプレゼントを手に並んでいる


ラァードルとスプネリアは、休暇で訪れていた風神界の手土産を渡す

ウエスターレンに髪を撫でられ、しきりに頷くスプネリア。

そして、平原に集結した民衆に向かい

改めてお辞儀をする。その姿に、喝采の声が鳴り響く


バサラは、バナトラが彼の生ギターに合わせて歌った

「青い珊瑚礁」を録音したCD。

本当は、Lily‘s合唱団で歌ったのだが、

バナトラの声だけが聞こえるよう、編集を施されている。


ベルデと裕子は、白珊瑚の結晶で作り上げた百合のブローチ。

実は、高機能の録画機が内蔵されているとか、いないとか…





セルダとプルーニャは、珊瑚の色をモチーフにしたピックと、

火のエレメンツを象徴とするネックレスを手渡す。


「ウエスターレン…いつもウエスターレンだけに

色んな事を背負わせてごめん。あの時言われた意味が、ようやく分かったんよ。

ウエスターレンが俺を認めてくれるなら、俺はあんたの為に、力を解き放つ。

だから…いつでも俺を呼んで。

褒美はウエスターレンとのセッション♪約束な」







 ソラとシュウは…

珊瑚の模様が散りばめられた、最新のモニター機器『ribido』を手渡す。

ウエスターレンに可愛らしく抱きつくソラ。



プエブロドラドの住民代表として、リリアとムーランが

全員分の名前を載せた色紙を手渡し握手をする


ダンケルとダイヤは

珊瑚の黒薔薇が散りばめられた宝剣を手渡し密かに睨み合う。

そして小声で、「これからもあいつを守り抜け。頼んだぞ」と囁く。





そして、イザマーレとリリエルが珊瑚の結晶で作り上げた

ブレスレットをウエスターレンに手渡し、

お揃いのペンダントと指輪を見せ合い抱きしめ合う


37年前のあの日、

ウエスターレンの炎で燃やされた山頂の豊かな自然が蘇り

見放された土地と言われた東の平原に

桜の花が咲き誇る


満開の桜に包まれながら、そっと口づけを交わし合う

鉄壁の絆………







 エース長官、発生日、お呪い申し上げます。

聖飢魔Ⅱ、万歳🙌🙌🙌🙌🙌🙌

      🌷里好🌷

 
 
 

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