Ⅴ interview
- RICOH RICOH
- 2024年11月19日
- 読了時間: 12分
更新日:2024年11月19日
さて。
広大な魔界の中で
少しの期間に浮かんだ無数の疑問符が
脳内を駆け巡って仕方ない者が数名…
今日もプエブロドラドを巡回中のダイヤを捕まえ、引きずっていく花蓮光
向かった先はもちろん、屋敷の隣。ソラの館だ。
ちょうど、人間界から戻ってきていた裕子と鈴音も居た
「さあ!!ダイヤ様!!いろんな疑問にお答えいただきましょうか♪」
「💦💦ち、近い…💦(^-^;」
ダイヤの顔をむんずと掴み、ドアップで迫る花蓮光に
引きつったままのダイヤ
ちょうどそこへ、リリアとプルーニャに両腕を抱えられ
連行されてきたムーラン
「さあ、ムーランさん?お屋敷の3階に突如現れたお部屋から
真っ赤な顔をして出てこられた理由をお聞かせ頂きましょうか♪」
「3階…?えっ…先日伺った時、3階のお部屋なんてありましたっけ…??」
それを聞いていた鈴音が思わず駆け寄り、話に加わる
「!…ああ…あの…その…💦///////」
身に覚えがあるダイヤは言葉に詰まり、俯く
その時の事を思い出して、
再び鼻血が吹き出し貧血を起こしかけているムーラン
「…リリエル様のおねだり…で、
閣下が魔力でお出しになったお部屋の事ね♪」
涼しい顔でニヤッと笑うリリア。
リリアの言葉に打ちのめされ、立ち直れそうにないムーラン
そんなムーランを眺めながら、複雑な思いを抱くダイヤ
「…リリエル様の…『おねだり』…?」
花蓮光が、さらに無の境地で佇んでいる
「リリエルちゃまは、サムちゃまが大好きだからね♪
サムちゃまが他の人間を助けてあげるのも、
カッコ良いから大好きなんだって♪」
「!!…ソラ様…『おねだり』とは普通…
ご自身のお願いをするものなのでは…💦」
さらに固まる花蓮光の横で、鈴音が訊ねる
「う~ん…でも、リリエルちゃまは、
自分の事は『とるに足らない事』って言うし
周りの皆が笑顔になるのが好きなんだよ♪」
「…そうだね…閣下も、リリエル様のおねだりには弱いから…(^-^;」
ようやく気を取り直して会話に加わるダイヤ
「!! まさか…『リリエル様のおねだり』を
お断りになったこと、ないんですか?!」
「「………💦💦」」
その場に居るLily‘s全員が、少なくとも一度は恩恵を受けており
イザマーレが断っていない事は確かなのだが、答えづらい………
「………いや…」
その中で一名、冷静に考えていたプルーニャが呟く
「里好さんの書いてらっしゃる小説を
何度も読ませてもらったから分かります
閣下は一度だけ…断った事ありますよ…」
「!」
「…そうよね…うんうん」
驚いて目をパチクリしているダイヤの後ろで
目配せし合い、頷き合うムーランとリリア
「リリエル様が…閣下の御髪から降ろして欲しいと仰った時…ですよ」
「!!!!」
プルーニャの言葉に、驚愕して固まる花蓮光と鈴音
そして…これまで知らずに過ごしていたダイヤも同様に固まっていた
「リリエル様は、本当に自分の事をお願いしたことないんですか?
1度も……?」
「………」
さすがに思い当たる事がなく、顔を見合わせるLily‘s
だがその時、裕子が呟いた
「いえ、あります。…『私を殺めてください』…だよ?」
ダイヤが驚き振り返ると、裕子が瞳いっぱいに涙を浮かべていた
一方、あまりの事に青褪めて意識が遠のきそうな花蓮光と鈴音
「そ…そんなのが『おねだり』になるの………?💦💦」
「でもそれは、サムちゃまが本当に困った事になった時だから。
その時も、サムちゃまがリリエルちゃまの事を必ず助けてくれるし。」
「………」
ソラの言葉が決定打となり、言葉を失うLily‘s………
「で…でも待ってください!先ほどその、『リリエル様のおねだり』で
閣下が魔力でお出しになるお部屋について、
ダイヤ様もご存知のようでしたね?!」
気を取り直してお茶を飲みかけていたダイヤは
花蓮光の指摘に勢いよく吹き出す
「…あ、ダイヤ様も閣下の事を……?」
なんの悪気もなく、純粋な好奇心で訊ねる鈴音
「えっ?!💦えと…っ か、閣下の事は………💦」
挙動不審に取り繕うダイヤを、裕子がほくそ笑んで見ている
「なっちゃーん…陛下に言いつけてやる~☆彡」
「え?あ、(( ̄▽ ̄;;)ア、ハハハハ…」
「…え?どういう事ですか?!ダイヤ様…あなたはひょっとして…」
「大魔王后様よ。自由すぎるけど(笑)」
裕子がニヤニヤしながら答える
「え!!そ、そうだったんですね!!…え、でも、閣下と…?」
「わ…私の事は…💦ずっと昔の事だし…💦」
アワアワしながら、どんどん墓穴を掘って行くダイヤに
花蓮光も鈴音も、目をキラーンとさせて耳を傾けている
「そ、それに、私はリリエル様と違って、
あんなに優しく扱われてないですよ💢💢」
だんだん、当時の事を思い返し、苛立ちを募らせるダイヤ
その時、闇のオーラが現れ、ダンケルが姿を現した
「ソラちゃん♪暇だから来てやったぞ♪
ほら、ダンケル様に抱っこされなさい♪
……って、おや?…ダイヤも居たのか♪」
「へ…陛下…💦💦」
突然のダンケルの降臨に、誰よりも慌てふためくダイヤ
そこへ、イザマーレとウエスターレンが揃って姿を現した
イザマーレは、公務の途中で抜け出したダンケルを追って
そしてウエスターレンは、任務の途中で抜け出した
ダイヤを怒鳴りつけに…
「ダイヤ!!お前、任務はどうした?何してやがる!!」
「陛下。こちらで何をなさってるのです?…」
その瞬間気がついた。
その場に居るLily‘sから寄せられる好奇の視線…
ダイヤは黙ってお茶を飲んでいた
ダンケルが自分ではなく、ソラに優しくしている仕草
ついでに自分に声をかけたように思えて、イジけていたのだ
そんな様子を呆れながら見守る裕子
だがそんな空気をかき消すかのように、再びダイヤに迫る影
相変わらずのドアップで、じ~っと見つめる花蓮光
「ダイヤ様…あ、あ、あ…あ、あんな…禍々しい方と…?
だめ…気絶しそう…」
「何だ?ダイヤ…お馴染みの女子トーク真っ最中だな?
私の事は気にせず、楽しみたまえ♪」
「陛下…💦いけません。すぐ戻りましょう」
相変わらずなダンケルに、苦笑するイザマーレ
「良いじゃないか。折角の機会だからな♪」
「ウエスターレン…///やめんか…っ……///////」
ニヤニヤしながらその場に座るウエスターレンを
真っ赤になりながら慌てて止めるイザマーレ
「和尚~…」
裕子が突然、隣接する文化局の森に向かって叫ぶと
魔法陣が現れ、ハーブティを手にベルデがやってきた
「…はい、これ。たくさんおしゃべりすると、喉が乾燥するでしょ?
僕からのお裾分け。」
「お!ベルデ…気が利くな♪さてはこれは…
太古から魔界に伝わる自白剤が使われておるな?
さあ、イザマーレ。私から授けよう。遠慮なく飲みたまえ♪」
「…有り難く戴きます。お前らも全員、心して飲むようにな!」
ダンケルからの魔のサービスを断る事などできないイザマーレ
仕方なくハーブティを口にする…
「…で、何だって?屋敷の3階の部屋がどうしただと?」
口火を切ったのは、紅蓮の悪魔
「ハッ…そうでした…」
ウエスターレンの言葉に、意識を取り戻した花蓮光
「もともとは、リリエルと婚礼の儀を行う為に作り出したのが最初だな。
その後は、必要に応じて出し入れしている。何なら、屋敷の地下には
差し出し用や生贄用に作り出す特別な部屋もあるぞ?」
ハーブティーの効果か、何の躊躇いもなくスラスラと答えるイザマーレ
「通常、俺とイザマーレは2階の寝室。リリエルとは
こいつのプライベートルームや、リリエルの部屋で過ごしているからな」
「…チッ…お前らばっかりズルいぞ…イザマーレ、どうだ、私とも…」
「馬鹿野郎!!イザマーレは俺様のもんだ」
ダンケルの殺し文句にアワアワするイザマーレをガッシリと抱き寄せ
遠慮なく睨み合うウエスターレン
同じようにドン引きしているダイヤ
「…え…な、なんですの?…BL…?腐…?」
真っ青になり固まる花蓮光と鈴音に
車座になり“両性具有”について、
懇切丁寧に説明し続けるプルーニャたち
「ふん…それにしても、お前は毎度のごとく、扉を消すよな。
しかも毎回、長時間。飽きたりしないのか?」
「…はい?」
ダンケルの言葉に一瞬固まり、聞き返すイザマーレ
「そんなに毎回、盛り上がるものなのか?」
「///////💦」
流石のイザマーレも、どう切り返すべきか迷う
「何だよ、イザマーレ。遠慮する必要ないだろ。
この際、ハッキリ言ってやれ。
至極の宝だ。どんなに寄り添っても飽きるどころか、
もっとお代わりしたくなるってな♪」
「///ウエスターレンっ…///////」
「俺だってそうだ。お前をどんなに可愛がっても足りない。
お前はそうじゃないのか?」
まだ恥じらいを捨てきれず、躊躇うイザマーレを
ウエスターレンが抱き寄せ、2杯目のハーブティを薦めている
そこまで見届けて、ついに我慢できなくなった鈴音が問いかける
「あ、あの…イザマーレ閣下。あの…
イザマーレ閣下は、どんなシチュエーションがお好みですか?」
(よく言った!!…一度、聞いてみたかった…!!!!)
鈴音の問い掛けに、Lily‘s全員がイザマーレの答えを期待して待っている
「吾輩?普通で良いぞ」
肩透かしを食うような、
それでいて間違いのない正解を叩き出すイザマーレに
花蓮光の脳内はさらに疑問符が駆け巡る
「…普通って…何…?!」
「普通って何だ?抱きしめてキスして…ってやつか?」
花蓮光の呟きを覆いかぶさるように、堂々と質問を返すダンケル
「///陛下は違うのですか💢💢」
照れくささに思わず声を荒げる副大魔王
「私は魂が呼応するような感覚がお気に入りだな💕」
ダンケルの言葉に、全員がダイヤを見つめる
恥ずかしさMAXで、飲みかけのお茶にむせ返るダイヤ
そんな中、Lily‘sたちの期待はイザマーレに寄せられている
(閣下は?閣下は……??💕💕💕)
「吾輩…あいつの寝顔と、声が好きかな……💕」
じっくり考えてからのイザマーレの言葉に、全員がうっとりと聞き惚れる
唯一、ダイヤを除いて…
「もう、ほんっと、閣下はリリエル様とラブラブですね💢💢
私はとっくの昔に諦めてます!!陛下の事を愛してますんで💕」
若干苛つきながら、堂々と宣言するダイヤだが
Lily‘sの関心は殆どイザマーレとリリエルの事で
ダイヤの渾身の宣言にも関わらず、誰も聞いていない
「お前…何を今更な事を言ってんの?」
呆れ顔でツッコミを入れるウエスターレンに、どうにか場を救われ
エヘッと笑うダイヤ
ダンケルだけは、ニコニコして頷いているのが視界の端に入り
それだけでも嬉しく思うダイヤだったが、そこに
ゆら~っとフェードインしてくる花蓮光に、再び引きつる
「普通って…意外とハードル高くないか?
手っ取り早く媚薬を使う方がラクではないのか?
ベルデに発注かければ直ぐに届くぞ?」
「今のところ、不満と言われたことはありませんね」
ダンケルにのせられ、ついに素直に答え始めた副大魔王に
Lily‘sは色めき出す
「そうよね💕閣下は王子様だもの。そんなの不要よね」
イザマーレの事が大好きなリリアとムーランは
嬉しそうに頷いている
「…媚薬……?メモメモ_φ(・_・」
静かに書きとめる花蓮光…
暴露されたダイヤは、恥ずかしさの余り、
ハーブティで眠りについていたソラの隣で気絶寸前だ
肝心のダンケルは、眠っているソラを終始
愛おしそうに抱っこしているのだ
寝たフリしているダイヤの頬をペシペシ叩いて
起こしにかかる花蓮光
そんな中…
「ああ…まあ…リリエルに媚薬は効かないしな…」
ポソッと呟くものの、そこまで不満でもなさそうなイザマーレ
「イザマーレがやると、可愛くなりすぎて俺が持たない
俺はどんなのでも有りだけどな💕」
「ちょ…長官💕…持たないって…😍😍😍」
さらに大喜びなLily‘sに、
ウエスターレンは不敵の笑みを浮かべ、紫煙を燻らせる
「ダンケル、お前そんなのに頼ってるのか。楽しそうだな💕」
「ふんっ…イザマーレ、私と試してみるか?」
ここでへこたれず、ウキウキし始める闇の大魔王
イザマーレは目を点にして固まり、
苛立ちを隠そうとしないウエスターレン
「こんにちは〜。お菓子持ってきましたよー💕」
「リリエル様!!……////」
ここまでの話題の筆頭株主の登場に
嬉しそうに出迎えるLily‘sたちを後目に
とりあえずダンケルを睨みつけるリリエル
「陛下…?こんな所で何をなさってるのかしら?」
「はあ?…ソラに会いに来たに決まってるだろう💢💢」
リリエルの視線に思わずたじろぐダンケル
「( *¯ ꒳¯*)フフン……あら?皆さまお揃いで💕何のお話?」
慌てた様子のダンケルに満足して、部屋中を確認し、微笑むリリエル
「リリエル💕お前もこっちにおいで💕」
絶妙なタイミングで姿を現したリリエルに
誰よりもホッとしたイザマーレ
すかさず引き寄せ、隣に座らせる
「//////♪」
見ていたLily‘s達が赤面しながら、
どこか嬉しそうにしている
「…ソラちゃんも寝てしまったし、私はそろそろ
失礼するよ。」
リリエルの登場に毒気を奪われ、退散がベストと即座に判断した大魔王
相変わらず寝たフリを続けるダイヤを抱き上げ、魔法陣で消えていく
「しかし…あいつら、未だに『闇のお仕置き』なんぞに頼ってるのか」
「えっ…『闇の』…?」
ややため息をついて、呆れがちなウエスターレンの言葉に、
リリエルが聞き返す
「!!…リリエル様…ご存知なんですか?」
「あ…うん…私には、よく分からなかったけど♪」
驚いて問いただす花蓮光に、リリエルは素直に応える
「そうだよな~、リリエル。お前は『闇』なんかじゃなく
『炎』の方がお気に入りだよな♪」
「えっ…それは…あの…///////💦」
ニヤッと笑いながら、リリエルの髪を撫でるウエスターレンに
困ったように顔を赤らめ、俯くリリエル
見ていた花蓮光は、さらに呆然とする
「…『炎』って…何?!」
その時
「サムちゃま…」
「ん?目を覚ましたのか?ソラ…」
寝ぼけ眼をこすりながら、イザマーレのお膝にチョコンと座るソラ
(///////💕💕💕)
あまりの可愛さに、Lily‘sはほっこり癒される
「サムちゃま…『媚薬』ってなぁに?」
「ソラ…💦」
「『炎』より、楽しいの?」
純粋な瞳で問いかけるソラに、イザマーレは静かに微笑む
「いや。『炎』の方が断然楽しい。当たり前だろ?」
「……♪」
にっこりするソラの額に手をやり、光に包むイザマーレ
再びあどけない表情で眠りについたソラの寝顔を眺めながら
雑談を続ける彼ら
「しかし…お前ら、そんなに我々の生活のことに興味あるのか?
陛下はあんな風に仰ったが、そこまで言われるほど
四六時中、扉を消してる訳では無いぞ?」
「そうだよなぁ。むしろ、殆どあいつらのせいで
激務に追われてる俺達の事を分かっても良さそうなもんなのにな」
躊躇いもなく、愚痴を吐露し合う2魔
隣でキョトンと首を傾げているリリエルの髪を撫でながら
「まあ、そりゃ、時間さえあれば四六時中扉を消したい。
それは間違いないけどな💕」
と微笑むイザマーレ
「///で、でも、お部屋でお過ごしの時には
毎日のように扉を消されますよね??💦」
思わず問いかけるプルーニャに、花蓮光と鈴音の目が
再びキラーんと光る
「ああ、まあ、そりゃあ夫婦だからな。それくらい
当然の事だろ?お前もそうじゃないのか?」
「えっ///そ、そんな毎回じゃないですよ💦
シューゾウも居ますし💦💦💦」
ブーメランになったプルーニャは、慌てふためく
「俺たちは、その時間を死守する為に、全力で職務に当たる。
そうすりゃ、自ずと穏やかなリズムが生まれるものだろ
それについて、外野にとやかく言われる筋合いはない」
「//////」
ウエスターレンの力強い言葉
穏やかに佇むイザマーレと見つめ合い、微笑むリリエル
3魔の醸し出す揺るぎない雰囲気に
改めて尊敬の念を抱くLily‘s達…
Fin.
🌷花と宙 終🌷
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