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Ⅴ interview

更新日:2024年11月19日


さて。


広大な魔界の中で

少しの期間に浮かんだ無数の疑問符が

脳内を駆け巡って仕方ない者が数名…


今日もプエブロドラドを巡回中のダイヤを捕まえ、引きずっていく花蓮光

向かった先はもちろん、屋敷の隣。ソラの館だ。


ちょうど、人間界から戻ってきていた裕子と鈴音も居た


「さあ!!ダイヤ様!!いろんな疑問にお答えいただきましょうか♪」


「💦💦ち、近い…💦(^-^;」


ダイヤの顔をむんずと掴み、ドアップで迫る花蓮光に

引きつったままのダイヤ


ちょうどそこへ、リリアとプルーニャに両腕を抱えられ

連行されてきたムーラン


「さあ、ムーランさん?お屋敷の3階に突如現れたお部屋から

真っ赤な顔をして出てこられた理由をお聞かせ頂きましょうか♪」


「3階…?えっ…先日伺った時、3階のお部屋なんてありましたっけ…??」


それを聞いていた鈴音が思わず駆け寄り、話に加わる


「!…ああ…あの…その…💦///////」

身に覚えがあるダイヤは言葉に詰まり、俯く


その時の事を思い出して、

再び鼻血が吹き出し貧血を起こしかけているムーラン




「…リリエル様のおねだり…で、

閣下が魔力でお出しになったお部屋の事ね♪」

涼しい顔でニヤッと笑うリリア。


リリアの言葉に打ちのめされ、立ち直れそうにないムーラン

そんなムーランを眺めながら、複雑な思いを抱くダイヤ


「…リリエル様の…『おねだり』…?」

花蓮光が、さらに無の境地で佇んでいる


「リリエルちゃまは、サムちゃまが大好きだからね♪

サムちゃまが他の人間を助けてあげるのも、

カッコ良いから大好きなんだって♪」


「!!…ソラ様…『おねだり』とは普通…

ご自身のお願いをするものなのでは…💦」


さらに固まる花蓮光の横で、鈴音が訊ねる


「う~ん…でも、リリエルちゃまは、

自分の事は『とるに足らない事』って言うし

周りの皆が笑顔になるのが好きなんだよ♪」


「…そうだね…閣下も、リリエル様のおねだりには弱いから…(^-^;」

ようやく気を取り直して会話に加わるダイヤ


「!! まさか…『リリエル様のおねだり』を

お断りになったこと、ないんですか?!」


「「………💦💦」」


その場に居るLily‘s全員が、少なくとも一度は恩恵を受けており

イザマーレが断っていない事は確かなのだが、答えづらい………


「………いや…」




その中で一名、冷静に考えていたプルーニャが呟く


「里好さんの書いてらっしゃる小説を

何度も読ませてもらったから分かります

閣下は一度だけ…断った事ありますよ…」


「!」


「…そうよね…うんうん」


驚いて目をパチクリしているダイヤの後ろで

目配せし合い、頷き合うムーランとリリア


「リリエル様が…閣下の御髪から降ろして欲しいと仰った時…ですよ」


「!!!!」


プルーニャの言葉に、驚愕して固まる花蓮光と鈴音

そして…これまで知らずに過ごしていたダイヤも同様に固まっていた


「リリエル様は、本当に自分の事をお願いしたことないんですか?

1度も……?」


「………」

さすがに思い当たる事がなく、顔を見合わせるLily‘s


だがその時、裕子が呟いた

「いえ、あります。…『私を殺めてください』…だよ?」


ダイヤが驚き振り返ると、裕子が瞳いっぱいに涙を浮かべていた


一方、あまりの事に青褪めて意識が遠のきそうな花蓮光と鈴音


「そ…そんなのが『おねだり』になるの………?💦💦」





「でもそれは、サムちゃまが本当に困った事になった時だから。

その時も、サムちゃまがリリエルちゃまの事を必ず助けてくれるし。」


「………」


ソラの言葉が決定打となり、言葉を失うLily‘s………


「で…でも待ってください!先ほどその、『リリエル様のおねだり』で

閣下が魔力でお出しになるお部屋について、

ダイヤ様もご存知のようでしたね?!」


気を取り直してお茶を飲みかけていたダイヤは

花蓮光の指摘に勢いよく吹き出す


「…あ、ダイヤ様も閣下の事を……?」


なんの悪気もなく、純粋な好奇心で訊ねる鈴音


「えっ?!💦えと…っ か、閣下の事は………💦」


挙動不審に取り繕うダイヤを、裕子がほくそ笑んで見ている


「なっちゃーん…陛下に言いつけてやる~☆彡」


「え?あ、(( ̄▽ ̄;;)ア、ハハハハ…」


「…え?どういう事ですか?!ダイヤ様…あなたはひょっとして…」


「大魔王后様よ。自由すぎるけど(笑)」

裕子がニヤニヤしながら答える


「え!!そ、そうだったんですね!!…え、でも、閣下と…?」




「わ…私の事は…💦ずっと昔の事だし…💦」

アワアワしながら、どんどん墓穴を掘って行くダイヤに

花蓮光も鈴音も、目をキラーンとさせて耳を傾けている


「そ、それに、私はリリエル様と違って、

あんなに優しく扱われてないですよ💢💢」

だんだん、当時の事を思い返し、苛立ちを募らせるダイヤ



その時、闇のオーラが現れ、ダンケルが姿を現した


「ソラちゃん♪暇だから来てやったぞ♪

ほら、ダンケル様に抱っこされなさい♪

……って、おや?…ダイヤも居たのか♪」


「へ…陛下…💦💦」


突然のダンケルの降臨に、誰よりも慌てふためくダイヤ


そこへ、イザマーレとウエスターレンが揃って姿を現した


イザマーレは、公務の途中で抜け出したダンケルを追って

そしてウエスターレンは、任務の途中で抜け出した

ダイヤを怒鳴りつけに…


「ダイヤ!!お前、任務はどうした?何してやがる!!」


「陛下。こちらで何をなさってるのです?…」


その瞬間気がついた。

その場に居るLily‘sから寄せられる好奇の視線…


ダイヤは黙ってお茶を飲んでいた

ダンケルが自分ではなく、ソラに優しくしている仕草

ついでに自分に声をかけたように思えて、イジけていたのだ


そんな様子を呆れながら見守る裕子




だがそんな空気をかき消すかのように、再びダイヤに迫る影

相変わらずのドアップで、じ~っと見つめる花蓮光


「ダイヤ様…あ、あ、あ…あ、あんな…禍々しい方と…?

だめ…気絶しそう…」


「何だ?ダイヤ…お馴染みの女子トーク真っ最中だな?

私の事は気にせず、楽しみたまえ♪」


「陛下…💦いけません。すぐ戻りましょう」

相変わらずなダンケルに、苦笑するイザマーレ


「良いじゃないか。折角の機会だからな♪」


「ウエスターレン…///やめんか…っ……///////」


ニヤニヤしながらその場に座るウエスターレンを

真っ赤になりながら慌てて止めるイザマーレ


「和尚~…」


裕子が突然、隣接する文化局の森に向かって叫ぶと

魔法陣が現れ、ハーブティを手にベルデがやってきた


「…はい、これ。たくさんおしゃべりすると、喉が乾燥するでしょ?

僕からのお裾分け。」


「お!ベルデ…気が利くな♪さてはこれは…

太古から魔界に伝わる自白剤が使われておるな?

さあ、イザマーレ。私から授けよう。遠慮なく飲みたまえ♪」


「…有り難く戴きます。お前らも全員、心して飲むようにな!」


ダンケルからの魔のサービスを断る事などできないイザマーレ

仕方なくハーブティを口にする…




「…で、何だって?屋敷の3階の部屋がどうしただと?」

口火を切ったのは、紅蓮の悪魔


「ハッ…そうでした…」

ウエスターレンの言葉に、意識を取り戻した花蓮光


「もともとは、リリエルと婚礼の儀を行う為に作り出したのが最初だな。

その後は、必要に応じて出し入れしている。何なら、屋敷の地下には

差し出し用や生贄用に作り出す特別な部屋もあるぞ?」


ハーブティーの効果か、何の躊躇いもなくスラスラと答えるイザマーレ



「通常、俺とイザマーレは2階の寝室。リリエルとは

こいつのプライベートルームや、リリエルの部屋で過ごしているからな」


「…チッ…お前らばっかりズルいぞ…イザマーレ、どうだ、私とも…」


「馬鹿野郎!!イザマーレは俺様のもんだ」

ダンケルの殺し文句にアワアワするイザマーレをガッシリと抱き寄せ

遠慮なく睨み合うウエスターレン


同じようにドン引きしているダイヤ


「…え…な、なんですの?…BL…?腐…?」


真っ青になり固まる花蓮光と鈴音に

車座になり“両性具有”について、

懇切丁寧に説明し続けるプルーニャたち


「ふん…それにしても、お前は毎度のごとく、扉を消すよな。

しかも毎回、長時間。飽きたりしないのか?」


「…はい?」




ダンケルの言葉に一瞬固まり、聞き返すイザマーレ


「そんなに毎回、盛り上がるものなのか?」


「///////💦」

流石のイザマーレも、どう切り返すべきか迷う


「何だよ、イザマーレ。遠慮する必要ないだろ。

この際、ハッキリ言ってやれ。

至極の宝だ。どんなに寄り添っても飽きるどころか、

もっとお代わりしたくなるってな♪」


「///ウエスターレンっ…///////」


「俺だってそうだ。お前をどんなに可愛がっても足りない。

お前はそうじゃないのか?」


まだ恥じらいを捨てきれず、躊躇うイザマーレを

ウエスターレンが抱き寄せ、2杯目のハーブティを薦めている


そこまで見届けて、ついに我慢できなくなった鈴音が問いかける


「あ、あの…イザマーレ閣下。あの…

イザマーレ閣下は、どんなシチュエーションがお好みですか?」


(よく言った!!…一度、聞いてみたかった…!!!!)


鈴音の問い掛けに、Lily‘s全員がイザマーレの答えを期待して待っている


「吾輩?普通で良いぞ」


肩透かしを食うような、

それでいて間違いのない正解を叩き出すイザマーレに

花蓮光の脳内はさらに疑問符が駆け巡る


「…普通って…何…?!」




「普通って何だ?抱きしめてキスして…ってやつか?」


花蓮光の呟きを覆いかぶさるように、堂々と質問を返すダンケル


「///陛下は違うのですか💢💢」

照れくささに思わず声を荒げる副大魔王


「私は魂が呼応するような感覚がお気に入りだな💕」


ダンケルの言葉に、全員がダイヤを見つめる

恥ずかしさMAXで、飲みかけのお茶にむせ返るダイヤ


そんな中、Lily‘sたちの期待はイザマーレに寄せられている


(閣下は?閣下は……??💕💕💕)


「吾輩…あいつの寝顔と、声が好きかな……💕」


じっくり考えてからのイザマーレの言葉に、全員がうっとりと聞き惚れる

唯一、ダイヤを除いて…



「もう、ほんっと、閣下はリリエル様とラブラブですね💢💢

私はとっくの昔に諦めてます!!陛下の事を愛してますんで💕」


若干苛つきながら、堂々と宣言するダイヤだが

Lily‘sの関心は殆どイザマーレとリリエルの事で

ダイヤの渾身の宣言にも関わらず、誰も聞いていない


「お前…何を今更な事を言ってんの?」

呆れ顔でツッコミを入れるウエスターレンに、どうにか場を救われ

エヘッと笑うダイヤ




ダンケルだけは、ニコニコして頷いているのが視界の端に入り

それだけでも嬉しく思うダイヤだったが、そこに

ゆら~っとフェードインしてくる花蓮光に、再び引きつる


「普通って…意外とハードル高くないか?

手っ取り早く媚薬を使う方がラクではないのか?

ベルデに発注かければ直ぐに届くぞ?」


「今のところ、不満と言われたことはありませんね」


ダンケルにのせられ、ついに素直に答え始めた副大魔王に

Lily‘sは色めき出す


「そうよね💕閣下は王子様だもの。そんなの不要よね」


イザマーレの事が大好きなリリアとムーランは

嬉しそうに頷いている


「…媚薬……?メモメモ_φ(・_・」


静かに書きとめる花蓮光…


暴露されたダイヤは、恥ずかしさの余り、

ハーブティで眠りについていたソラの隣で気絶寸前だ



肝心のダンケルは、眠っているソラを終始

愛おしそうに抱っこしているのだ


寝たフリしているダイヤの頬をペシペシ叩いて

起こしにかかる花蓮光


そんな中…




「ああ…まあ…リリエルに媚薬は効かないしな…」

ポソッと呟くものの、そこまで不満でもなさそうなイザマーレ


「イザマーレがやると、可愛くなりすぎて俺が持たない

俺はどんなのでも有りだけどな💕」


「ちょ…長官💕…持たないって…😍😍😍」


さらに大喜びなLily‘sに、

ウエスターレンは不敵の笑みを浮かべ、紫煙を燻らせる


「ダンケル、お前そんなのに頼ってるのか。楽しそうだな💕」


「ふんっ…イザマーレ、私と試してみるか?」


ここでへこたれず、ウキウキし始める闇の大魔王

イザマーレは目を点にして固まり、

苛立ちを隠そうとしないウエスターレン


「こんにちは〜。お菓子持ってきましたよー💕」


「リリエル様!!……////」


ここまでの話題の筆頭株主の登場に

嬉しそうに出迎えるLily‘sたちを後目に

とりあえずダンケルを睨みつけるリリエル



「陛下…?こんな所で何をなさってるのかしら?」


「はあ?…ソラに会いに来たに決まってるだろう💢💢」

リリエルの視線に思わずたじろぐダンケル


「( *¯ ꒳¯*)フフン……あら?皆さまお揃いで💕何のお話?」

慌てた様子のダンケルに満足して、部屋中を確認し、微笑むリリエル




「リリエル💕お前もこっちにおいで💕」


絶妙なタイミングで姿を現したリリエルに

誰よりもホッとしたイザマーレ

すかさず引き寄せ、隣に座らせる


「//////♪」


見ていたLily‘s達が赤面しながら、

どこか嬉しそうにしている


「…ソラちゃんも寝てしまったし、私はそろそろ

失礼するよ。」


リリエルの登場に毒気を奪われ、退散がベストと即座に判断した大魔王

相変わらず寝たフリを続けるダイヤを抱き上げ、魔法陣で消えていく


「しかし…あいつら、未だに『闇のお仕置き』なんぞに頼ってるのか」


「えっ…『闇の』…?」


ややため息をついて、呆れがちなウエスターレンの言葉に、

リリエルが聞き返す


「!!…リリエル様…ご存知なんですか?」


「あ…うん…私には、よく分からなかったけど♪」

驚いて問いただす花蓮光に、リリエルは素直に応える


「そうだよな~、リリエル。お前は『闇』なんかじゃなく

『炎』の方がお気に入りだよな♪」


「えっ…それは…あの…///////💦」


ニヤッと笑いながら、リリエルの髪を撫でるウエスターレンに

困ったように顔を赤らめ、俯くリリエル




見ていた花蓮光は、さらに呆然とする


「…『炎』って…何?!」


その時


「サムちゃま…」


「ん?目を覚ましたのか?ソラ…」


寝ぼけ眼をこすりながら、イザマーレのお膝にチョコンと座るソラ


(///////💕💕💕)


あまりの可愛さに、Lily‘sはほっこり癒される


「サムちゃま…『媚薬』ってなぁに?」


「ソラ…💦」


「『炎』より、楽しいの?」


純粋な瞳で問いかけるソラに、イザマーレは静かに微笑む


「いや。『炎』の方が断然楽しい。当たり前だろ?」

「……♪」

にっこりするソラの額に手をやり、光に包むイザマーレ




再びあどけない表情で眠りについたソラの寝顔を眺めながら

雑談を続ける彼ら


「しかし…お前ら、そんなに我々の生活のことに興味あるのか?

陛下はあんな風に仰ったが、そこまで言われるほど

四六時中、扉を消してる訳では無いぞ?」


「そうだよなぁ。むしろ、殆どあいつらのせいで

激務に追われてる俺達の事を分かっても良さそうなもんなのにな」


躊躇いもなく、愚痴を吐露し合う2魔

隣でキョトンと首を傾げているリリエルの髪を撫でながら

「まあ、そりゃ、時間さえあれば四六時中扉を消したい。

それは間違いないけどな💕」

と微笑むイザマーレ


「///で、でも、お部屋でお過ごしの時には

毎日のように扉を消されますよね??💦」


思わず問いかけるプルーニャに、花蓮光と鈴音の目が

再びキラーんと光る


「ああ、まあ、そりゃあ夫婦だからな。それくらい

当然の事だろ?お前もそうじゃないのか?」


「えっ///そ、そんな毎回じゃないですよ💦

シューゾウも居ますし💦💦💦」

ブーメランになったプルーニャは、慌てふためく


「俺たちは、その時間を死守する為に、全力で職務に当たる。

そうすりゃ、自ずと穏やかなリズムが生まれるものだろ

それについて、外野にとやかく言われる筋合いはない」


「//////」




ウエスターレンの力強い言葉

穏やかに佇むイザマーレと見つめ合い、微笑むリリエル


3魔の醸し出す揺るぎない雰囲気に

改めて尊敬の念を抱くLily‘s達…




Fin.

🌷花と宙 終🌷



 
 
 

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