top of page

Prologue


ある魔界の夜


屋敷のリリエルの部屋で、いつものひと時…

心ゆくまで愛し合い、腕の中で眠り続ける愛しい女。


そのあどけない寝顔を眺めながら、いつもであれば

そっと扉を開け、愛しい紅蓮の悪魔と語らうのだが

今日はセルダとセッションライブを行っており、彼も居ない


暇を持て余したイザマーレは、ノートPCを取り出し

あるブログの画面を立ち上げた


静かに微笑みながら、画面をスクロールして行く


それはかつて、リリエルが人間として生活していた頃、

イザマーレの庇護に気づかず、単なるいちファンとして夢見ながら

描いていた物語だった



……

『悪魔と最高魔軍』


最高魔軍という団体は、絵本に出てくるお家のようで

立派な門構えのお屋敷に対して、人間は畏怖の念を感じています。

実は、そこに住んでいる王子様はとても立派な方で、

そのようなお屋敷に住んでいるにも関わらず

出会った方にはとても親切にしてくれるので、

その王子様はみんなに愛されています。

王子様を慕って、今までは怖そうで近づけなかった人たちも、

お屋敷に訪れるようになります。

……





(クククッ あの頃から、何かと言うと

王子とばかり言いやがって…)


そう言えば、人間界でよく好まれている戯曲の中にも、

我々とよく似た題材の話があるな。リリエル…覚えているか…?


そんな思いを馳せながら、すぐ隣で寝ているリリエルを

改めて見つめる


そうだ…今夜は珍しく、静かな夜だ。

たまにはお前にも、極上の夢物語を見せてやろうな…


イザマーレは再びノートPCに向かい、夢台本ファイルをクリックする…




 
 
 

最新記事

すべて表示
校長のサロン

「理栄先生!!本当ですか…!!」 噂を聞きつけたスプネリアとリリア、ムーランの3名が駆けつけると 同じように見に来ていたプルーニャ、ダイヤと出くわす 「あら?早速、いらっしゃったわね♪お疲れ様です♪」 理栄がニコニコと微笑んで出迎える...

 
 
 
魔鏡学園

「イザマーレ、お帰り…っておい」 副理事長室で待ち構えていた守衛ウエスターレンが、一瞬固まる 「…浮気か?」 ニヤッと目を細めるウエスターレン 「ウエスターレン…馬鹿な事を言うな」 言葉とは裏腹に、静かに笑みを浮かべるイザマーレ 「あ、あの…」...

 
 
 
交錯

生徒会室で眼光鋭くモニターチェックしながら 紫煙を燻らせていたウエスターレン 突如、一番手前にあるモニターが光を放ち、画面にノイズが走る すらっとした指先を巧みに動かし、相手からのメッセージを受け取る 「…マジか。了解した。」 軍服を着こみ、すぐさま部屋を後にする …………...

 
 
 

コメント


©2022 by 里好。Wix.com で作成されました。

bottom of page