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vanita e delusione


火花シリーズ Ⅱ


【代理】共同制作者、楓様の作品となります。


虚栄心、うぬぼれ、唯我独尊…

花の失望…それは全てを無に導く…




魔宮殿



プエブロドラドの任務を終え魔宮殿へ戻って来たダイヤは

夕食前に使用魔の伝言で王室へ呼ばれた。


「陛下〜戻りましたぁ……あれ?…」


扉を開け中に入るとダイヤは玉座に座り、

すぐ横にはイザマーレの姿があった


「ダイヤ…任務だ」

ダンケルが冷徹な声でダイヤに言った。


…あの生き血祭りで使われた

イザマーレ族ご用達の洞窟へ調査に行けとダンケルから言われた。

何者かが結界を通り抜け近くまで行ってると…


「……関係者しか入れないでしょ?あの洞窟…」

頭の中に?がいっぱいになりながら聞き返す


「どうやらプエブロドラドの住民が面白がり行ってるようなのだ…」

ダンケルは何気にイライラして言っている。


「プエブロドラドの住民が危険な事をしないよう

監視するのもお前の仕事だろ?」


イザマーレがたたみかける様に

含み笑いしながらダイヤの答えを待っている


いやいや…閣下の所有地でしょうが…

副大魔王が言えば済むんじゃない?と思いつつも

プエブロドラドの住民を危険な場所に行かせないのも自分の役目…


「分かりました…お受けします…」

甚だ疑問に思いながら答えると

ダンケルはため息を付いて顔を背けながら舌打ちをしている。




何故ダンケルが苛ついてるのか分からず

ダイヤはキョトンとしてイザマーレを見た


そんなダイヤを見て、

イザマーレは頷いて冷徹な笑みを浮かべご満悦だ…


「ダイヤ自身が受けると答えましたので…

陛下、ダイヤをお借りします。ダイヤ、任務だ。来い」


久々にイザマーレから聞いた言葉に、少しだけ嬉しくなったのだ。

…その時は…何が起こるのかも、

ダンケルが何故苛ついてるのか、それすら分からず…


…ダイヤが魔法陣で洞窟の前に訪れた。

いつもなら閉ざされている洞窟の入口が開かれている…


辺りを見回し首を傾げる…

何故入口が開かれているのか…


イザマーレ族やダンケルの呪文が無ければ開かれない扉

それが全開となっている。

いかにも…入って下さいと言わんばかりに…


「…これじゃ…興味ある悪魔や住民が入るわな…

閉めとけば入られる事もなくね?換気してるのかしら???」


ブツブツと呟きながら中を確認しにダイヤは洞窟へ入って行った。


イザマーレには、行き止まりまでなら入っても問題ないと言われていた。


薄暗い洞窟に魔力で灯りを付けながら中へ入り進むが…

薄暗い中に動く物影が見え、驚いて灯りを照らす


「…は???💢ちょっと💢何してんの💢ここで💢」




薄暗い中に居たのは…バサラ軍に新米として入隊したkojiだった

kojiは一瞬焦った顔をしたが、開き直る様に睨み返してきた


「ねぇ💢ここはイザマーレ族の所有地よ?

なんで貴方がここに居る?今すぐ引き返せ💢」


ダイヤの言葉を無視して歩き出すkojiの腕を掴む


「あんた聞いてんの?💢閣下の許可なしに💢勝手な事を💢目的は何❓」


「うるせぇんだよ💢いちいちと💢何様だよ!」

kojiは腕を振り払い怒鳴り散らす。


「何様でも無いわ💢ここに入っても何も無いわよ?

訳わからん事をしてないで引き返しな💢」


「…あんただって興味あるだろ?

リリエル様が…生き血祭りにあった場所だぞ?」


「……は???何言ってんの?馬鹿なの?

…てか…悪趣味もいいところね💢

リリエル様を生き血祭りの場所まで連れて行ったのは私なんだけど?」


当時を思い出し、怒りが増してきた。


(こんな奴が…バサラ軍に…最悪だわ…)


無言の空気が流れる


「くだらない事を言ってないで💢引き…返せ…?…?え?」


ダイヤはある音に振り返った。

今まで光が差し込んで遠くに見えていた出入口が

音をたて閉まったのだ




「…マジか……閉じ込められた…」


唖然として立ち尽くし呟いたダイヤをkojiは嘲笑う


「…たかが扉が閉まっただけじゃねぇか…馬鹿なのか?

開ければ済むことだろ?それでも大魔王の后かよ?笑わせんなww

ダセェな…あんた魔力持ってんだろ?頭使えよ」


馬鹿にしたように見下し笑っている


その時だった


『彼女に開けられるわけ無いだろ?

ここを何処だと思ってる?チャンス到来💕』


洞窟に響き渡る声と共に、真黒い服を着たミカエルが姿を現した…

天界の兵士まで連れて…


「…は???何で💦ミカエル様が…ここに??魔界だから💢

それも一番来てはいけない方が💢💢💢敵まで連れて💢」


「分かってないね〜ここだから良いんじゃん💕

ウエスターレンも知ってる事だから♪♪」


ミカエルはあっけらかんと笑っている


「…は???許可済み?仕掛けられたって事???」


ワナワナしながら怒りで黒いオーラを出し始めるダイヤを後目に

ミカエルはkojiと向き合う


「koji…久々だな…天界に居た時と全く変わらない…

お前は天界に戻れ。可愛がってやるぞ💕…良いか!奴らを捕えよ!!

逃げ出すものなら力付くでも構わん。捕らえて連れてこい♪行け!!」


ミカエルの元から兵士が一気に押し寄せてくる…




ダイヤは怒りに任せて黒いオーラを兵士に投げつけ

木っ端微塵にさせる


目の前に結界も作り、来させないようにするが…


「…甘いな…♪」


ミカエルがすかさず結界を破り、突破される…


「一体なんなの💢💢💢💢」


後ろに下がりながらオーラを投げ続けるダイヤ


kojiを見よう振り返るが、跡形も無く姿がない…


結界を何重にも覆い、辺りを見回すが、気配も無かった


「…あいつ💢💢💢💢逃げやがったな💢」


ダイヤが結界を張り、対峙している隙に逃げ出していたのだ

更に怒りが爆発し、しつこく捕まえにくる兵士を

次々に木っ端微塵にしていく


魔力も最大にし抵抗していたダイヤだったが…

体力が限界になり、立って居られず座り込んだ。

息も上がり、まともに顔も上げられない。


そのうちにミカエルが目の前に立った


…終ったな…と思いながら、最後の力を振り絞り

ミカエルに魔力をぶつけた。

とっさに避けてミカエルは引きつった


「危ないな!!もう…ダイヤちゃん、任務お疲れちゃ〜ん」

ミカエルはダイヤを立ち上がらせる




「……は???何?お疲れちゃ〜ん??って?」

フラフラになりながら、訳が分からないままのダイヤ


「魔力使えるようになったねぇ(笑)

でも、もっと磨いていかないと♪

今のところの実力も見れたし、任務終了。

ダンケルが待ってるから、ゆっくり可愛がって貰え」


「???言ってる事が…」

ダイヤが言い終わらないうちにミカエルに飛ばされ

ダンケルの胸の中にキャッチされていた


「全く…心配させやがって…大丈夫か?」

ダンケルは優しくダイヤを包み込みながら言った


「!!?!陛下??」

トントンと進む出来事に訳が分からなくなる…


「相当…魔力を消耗したようだな…魔力を注入しないとならんな…」

抱き上げてダンケルはダイヤの額にキスをする…

「///今から??」

「当然だろ?大魔王の言う事を聞けないのか??

聞き入れなかった罰だな…たっぷり可愛がってやるから…覚悟せよ…」


いつの間にかダイヤを連れてプライベートの扉は消えていった





一方洞窟では…


全力で真っ暗い洞窟の中へ逃げ込んでいたkoji

天界の奴らに捕まる訳にはいかない…


ダイヤが兵士と対峙している隙を狙い、逃げ出していた。

どこかに隠れて何とか外に出れば問題ない…


辺りを見渡し誰も居ないことを確認して座り込んだ

走って来たせいか、汗だくで息も上がっている


『…バサラ軍の分際で大魔王の后さえ助けず

逃げ出すとは…いい気なもんだな…』


ミカエルが再び天界の兵士を引き連れ姿を現し

睨みつける


「!!?!」


kojiは焦り後ろに下がるが、

既に壁に塞がれ逃げる場所を失っていた


「…何だよ!俺は天界なんかに戻らない!

やっと…魔界に来れたんだ!

ここで捕まる訳にはいかないんだよ!!」


「お前…ここが何処だか知ってるよな?

魔界に居ながら戦うことさえ怯え、逃げ惑う奴なんか

この世界では通用しないんだよ💢女すら助けられないガキが!!

リリエルちゃんの護衛を申し出てるようだな…呆れた野郎だぜ…

どう思う?イザマーレ」


ミカエルが含み笑いをしながら天界の兵士を消し去る。




同時にイザマーレがミカエルの横に姿を現し

座り込んでいるkojiを冷ややかな目で見下ろしていた。

イザマーレの髪にリリエルも座っている。


「リリエル…こいつがお前の護衛をしたいそうなんだが…どう思う?」


イザマーレはリリエルを見つめ、問いかける


「kojiさん…でしたっけ?貴方の行動については存じ上げております。

市場に居る悪魔さんが、逐一報告してくださるので…

自分の事を棚に上げ、周囲に迷惑ばかりかけるのが、お好きなようね。

私は、尊敬できない相手に守ってもらいたいとは思いません」


「!!」


「…それにしても、そんな事だけのために、

こんな仕掛けが必要でしたの?この洞窟まで使って…」


合点がいかないリリエルは、少しだけ寂しそうに俯き、

自分でイザマーレの髪から降りて口を尖らせる


「仕方ないのだ…💦無駄に自信過剰なこいつ自身に、

身をもって解らせる必要があったからな」


益々、冷めた目で、言い訳がましいイザマーレをじっと見るリリエル


「突如、この洞窟でダイヤ様の魔力チェックなどを

なさった理由は……?そんな事までしなければ

私を信用していただけないのですね?」


心に鍵をかけ、冷ややかになるリリエルの様子に焦り

逃げ出さないよう慌てて抱き寄せるイザマーレ




「逼迫しなければ本性を現さないだろ?

リリエルの前では猫を被り、助けもするだろうが…

ダイヤなら本性を見せ、助けもせずに逃げ出しただろ?

護衛したいなどとバサラにほざいていたから

リリエルに見せて判断して貰おうと思ってな…💦」


「…だからって…なにも、この洞窟じゃなくたって…

この場所での出来事をお考えになれば、

私の気持ちなど、試すまでもございませんでしょう?

ここは…大切な…場所なのに…

閣下なら一番、お分かりのはずなのに……」


瞳いっぱいに涙を浮かべるリリエル


「リリエル…おいで」


リリエルの涙に、すでに心が折れそうなイザマーレは、

すかさず引き寄せ、リリエルを優しく抱きしめる


「そ…そうだよな?分かっている。だから…この後は…」


そう言いながら、リリエルを抱き上げ、洞窟の奥に向かうイザマーレ

リリエルのご機嫌が直るまで、しばらく扉は消え続けたという





ダイヤが後からダンケルに聞いた事の経緯はこうだ


バサラ軍でメキメキと力を発揮し始め

周りからも一目置かれる存在になっていたkoji


それをいい事にバサラと会うたびにリリエルの護衛をしたいと

直談判していたのだ。リリエルに近付きたいがゆえに…


バサラも適当にあしらっていたが

軍の兵士からも推薦してやってくれと声が出始めた。


リリエルの護衛などイザマーレが認めるわけがない


kojiに言い聞かせても納得をしてくれず…

仲間うちで軍の訓練さえもボイコットをするようになっていた。

気持ちが優しすぎるバサラ

kojiを解雇すら出来ず、困り果てイザマーレに相談したのだ。


リリエルを護衛させる気など全くなかったが…


調子に乗ってボイコットまでし始めたkojiを分からせる為に

何かきっかけを作りたかったイザマーレ


そこで思い付いたのが、

Kojiの本性を剥き出しにさせる為、ダイヤを洞窟に送り付け

ミカエルと協議し、天界の兵士を連れてこさせたとの事だった。

案の定、kojiは逃げ出し、情けない姿を晒す事になった

鼻っ柱を折り、身の程を知らしめる為だった。




洞窟を使用する為、イザマーレが許可を貰いに魔宮殿に来た時

ダンケルは話を聞いていたが…


イザマーレの行動が理解出来ず、賛同出来かねていた

リリエルがkojiごときの力量を見誤るとも思えず

くだらない事でダイヤを窮地に追い詰めたくないからだ


それならば、ダイヤの普段の努力も褒め称えてやれと

貸し出す代わりに魔力チェックを行うことを条件にした


最終判断をダイヤに任せたが

イザマーレに任務を受けると即答するダイヤに

ダンケルのイライラが更にMAXになっていた。


任務後、魔力も消耗したダイヤが戻ると

焼きもちと可愛がりたい気持ちが募り

プライベートルームの扉が記録的に消えていたのは言うまでもない


その後…kojiはプライドをズタズタにされながらも

バサラ軍に戻り訓練に励んでいるらしい


顔を合わす市場の悪魔には、嫌がらせを受け

行き来う道すがらでは、リリエルを慕う低級悪魔たちから

針のむしろのような視線を浴び続けながら……




「…しかし今回は、イザマーレらしくなかったな。

リリエルが怒るのも無理ないと思うぞ?」


やや呆れがちに紫煙を燻らせるウエスターレン


「///曲がりなりにも…あいつを好きという奴のことを

無碍には出来ない……ではないか………💦💦💦」


最後は自信なさげに小さな声になり

頭を抱えるイザマーレに、ウエスターレンもため息を吐く


「だが、そんな気の迷いでリリエルに見限られるなんて

冗談じゃない!!」


洞窟の中で見せたリリエルの涙にはイザマーレも懲りて、

気持ちを新たに強くしたようだ


(好きな相手に好意を寄せる者に対し

脇が甘くなるのは、お互い様なんだけどな)


そんな事を心の奥で呟きながら、

イザマーレを労わるように抱きしめるウエスターレン……




「サムちゃま……(`・д・)σ めっ!」by ソラちゃん



🔥vanita e delusione Fin.🔥



 
 
 

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