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またしても・・・


崩れかけた小屋の中

負傷して倒れているAnyeの横で呆れ顔のイザマーレ


ヒーリングして傷を癒し、血に染まった肌を綺麗に拭いていく


「ほら、治ったぞ。」


「…///////」


ダンケルの地方公務に付き従い

警護にあたるイザマーレ


脇道との交差点を通りかかった時

突如、上空から飛びかかり、襲いかかるAnye


「!」


顔色ひとつ変えずに振り払い、

消滅させようと冷徹に指先を動かすダンケル


「陛下、お待ちください」


イザマーレの意外な言葉に興味を示し、振り返る


「こいつは、吾輩が全滅させた一派の生き残りです

陛下の手を煩わすことは致しません。

吾輩にお任せ下さい」


「…ふん、お前が取りこぼした敵、という事か…

珍しい事もあるのだな」




ダンケルの呟きに頭を下げ

全身を打撲し、身悶えるAnyeを魔袋に入れ

捕獲するイザマーレ


「まあ、良かろう。イザマーレ、任せたぞ」


…………


「まったく…どんだけ無鉄砲なんだ?

それしきの力で、吾輩に歯向かうとは…無謀だな(笑)」


悔しさに口を尖らせ、ツンと横を向くAnye


「それなら助けたりしなきゃ良いじゃない…でも…ありがとう…///」

ポソっと呟く彼女に、イザマーレは笑い、頭をポンと撫でる


「意地を張らずに、素直に負けを認めたらどうなんだ?

お前には女の武器があるだろう。媚び諂い、懇願してみろ

お前の仲間のように…」


「!」


まさに本音と裏腹な言葉を投げつけ、その反応を諮る

憎き相手に対し、容易く嘆き跪くようなら…吾輩がお前を

心の底から軽蔑できたら…躊躇なく命を奪ってやるのに…


「ラディアは…生きているのね?」


予想通りなAnyeの反応に、舌打ちをしながらも

どこかホッとしているイザマーレ


「ああ。毎晩、陛下の玩具にされて可愛がられている。

今ではすっかり虜になり、甘えまくってるようだぞ」




「…そう…良かった。安心しました」


イザマーレの言葉に微笑み、そっと離れるAnye


「でも、残念ね。私は貴方の言葉を信じない」


「…多くの栄華と身の安全が手に入るのだぞ?」


「…そうでしょうね。貴方は、この魔界でも唯一無二の存在とも言うべき

高貴な存在…そんな事くらい、言われなくても分かるわ

私が貴方に、愛を囁くような事があれば…ね」


「……」


「でも、無理なの。私は、『愛』など丸っきり信じていないから。

甘い砂糖菓子のような世界など、御伽噺に過ぎないわ。

そんなもの、この世のどこにもないじゃない」


「!」


僅かに視線を泳がせたイザマーレに、そっと笑みを浮かべ俯くAnye


「だって…そうでしょ?誰もかれも、まやかしの愛などに惑わされ

踊らされ、狂わされていく…

時には、快楽と区別もつかないお子ちゃまもいるわね」


(……♪)


知らずの内に、心の憂いが晴れていくイザマーレ

決して表情には見せずにいるが…


「それにね…私の相手は、強くてカッコ良くて、素敵な王子様って

決めているの♪まやかしの愛でも、折角なら楽しみたいもの…♪」


Anyeの不遜な物言いに、フッと笑うイザマーレ




「…笑ってくれて構わないのよ。どうせ、そんな相手は居るわけない。

そう言いたいんでしょ?」


Anyeも、いつの間にか楽しそうに笑いながら

プイっと背中を向ける


「いつも…言われていたもの…私の理想は高すぎるって…///////」


恥ずかしそうに俯き、相変わらず口を尖らせるAnye


「!…///////」


自然と突き動かされ、背後からAnyeを抱きしめていた

イザマーレの腕のぬくもりに、驚き固まるAnye


「…宿敵を目の前にして、背を向けるとは…無防備だな。Anye…」


「!…///////」


初めて呼ばれた自分の名前に、思わず振り向いた瞬間

口唇を重ねられていた…


急激な胸の高まりに身動きできず、真っ赤になって震えるAnye

ギュッと目を瞑った瞬間、予想外の事が起きた


崩れかけの小屋が、損傷ひとつない綺麗な小部屋に様変わりしたのだ


強張るAnyeの頬に触れ、さらに深く口づけ、舌を絡ませながら

その変化を楽しんで見守るイザマーレ


(…ほう…まさか、こんな力が眠っていたとは…♪)



 
 
 

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