またしても・・・
- RICOH RICOH
- 2024年11月25日
- 読了時間: 3分
崩れかけた小屋の中
負傷して倒れているAnyeの横で呆れ顔のイザマーレ
ヒーリングして傷を癒し、血に染まった肌を綺麗に拭いていく
「ほら、治ったぞ。」
「…///////」
ダンケルの地方公務に付き従い
警護にあたるイザマーレ
脇道との交差点を通りかかった時
突如、上空から飛びかかり、襲いかかるAnye
「!」
顔色ひとつ変えずに振り払い、
消滅させようと冷徹に指先を動かすダンケル
「陛下、お待ちください」
イザマーレの意外な言葉に興味を示し、振り返る
「こいつは、吾輩が全滅させた一派の生き残りです
陛下の手を煩わすことは致しません。
吾輩にお任せ下さい」
「…ふん、お前が取りこぼした敵、という事か…
珍しい事もあるのだな」
ダンケルの呟きに頭を下げ
全身を打撲し、身悶えるAnyeを魔袋に入れ
捕獲するイザマーレ
「まあ、良かろう。イザマーレ、任せたぞ」
…………
「まったく…どんだけ無鉄砲なんだ?
それしきの力で、吾輩に歯向かうとは…無謀だな(笑)」
悔しさに口を尖らせ、ツンと横を向くAnye
「それなら助けたりしなきゃ良いじゃない…でも…ありがとう…///」
ポソっと呟く彼女に、イザマーレは笑い、頭をポンと撫でる
「意地を張らずに、素直に負けを認めたらどうなんだ?
お前には女の武器があるだろう。媚び諂い、懇願してみろ
お前の仲間のように…」
「!」
まさに本音と裏腹な言葉を投げつけ、その反応を諮る
憎き相手に対し、容易く嘆き跪くようなら…吾輩がお前を
心の底から軽蔑できたら…躊躇なく命を奪ってやるのに…
「ラディアは…生きているのね?」
予想通りなAnyeの反応に、舌打ちをしながらも
どこかホッとしているイザマーレ
「ああ。毎晩、陛下の玩具にされて可愛がられている。
今ではすっかり虜になり、甘えまくってるようだぞ」
「…そう…良かった。安心しました」
イザマーレの言葉に微笑み、そっと離れるAnye
「でも、残念ね。私は貴方の言葉を信じない」
「…多くの栄華と身の安全が手に入るのだぞ?」
「…そうでしょうね。貴方は、この魔界でも唯一無二の存在とも言うべき
高貴な存在…そんな事くらい、言われなくても分かるわ
私が貴方に、愛を囁くような事があれば…ね」
「……」
「でも、無理なの。私は、『愛』など丸っきり信じていないから。
甘い砂糖菓子のような世界など、御伽噺に過ぎないわ。
そんなもの、この世のどこにもないじゃない」
「!」
僅かに視線を泳がせたイザマーレに、そっと笑みを浮かべ俯くAnye
「だって…そうでしょ?誰もかれも、まやかしの愛などに惑わされ
踊らされ、狂わされていく…
時には、快楽と区別もつかないお子ちゃまもいるわね」
(……♪)
知らずの内に、心の憂いが晴れていくイザマーレ
決して表情には見せずにいるが…
「それにね…私の相手は、強くてカッコ良くて、素敵な王子様って
決めているの♪まやかしの愛でも、折角なら楽しみたいもの…♪」
Anyeの不遜な物言いに、フッと笑うイザマーレ
「…笑ってくれて構わないのよ。どうせ、そんな相手は居るわけない。
そう言いたいんでしょ?」
Anyeも、いつの間にか楽しそうに笑いながら
プイっと背中を向ける
「いつも…言われていたもの…私の理想は高すぎるって…///////」
恥ずかしそうに俯き、相変わらず口を尖らせるAnye
「!…///////」
自然と突き動かされ、背後からAnyeを抱きしめていた
イザマーレの腕のぬくもりに、驚き固まるAnye
「…宿敵を目の前にして、背を向けるとは…無防備だな。Anye…」
「!…///////」
初めて呼ばれた自分の名前に、思わず振り向いた瞬間
口唇を重ねられていた…
急激な胸の高まりに身動きできず、真っ赤になって震えるAnye
ギュッと目を瞑った瞬間、予想外の事が起きた
崩れかけの小屋が、損傷ひとつない綺麗な小部屋に様変わりしたのだ
強張るAnyeの頬に触れ、さらに深く口づけ、舌を絡ませながら
その変化を楽しんで見守るイザマーレ
(…ほう…まさか、こんな力が眠っていたとは…♪)
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