両翼―紅蓮と水―
- RICOH RICOH
- 2024年11月19日
- 読了時間: 3分
それからというもの
時間を見つけては、自由に音楽の時間を満喫する彼ら
「皇太子殿下!!…も、もう…勘弁してくださいよ💦」
王室を抜け出したダンケルを追いかけて
駆けつけたシルバとセリーヌら、
王室専属の警護魔たちも巻き込まれる
気がつけば総勢10魔が、
ダンケルの作り出す楽曲を中心に楽しむ仲魔となっていた
元はと言えば、魔界高等学園内の自由な活動だったものが
その垣根を越え、魔界における象徴となるまで、時間はかからなかった
彼らの動きを遠巻きながら、微笑ましく眺めていたベルデ
そして、人間界に潜伏していたラァードルを不動のドラムとして
呼び戻し、地球上に歴史的降臨を果たすための準備を着々と続けていた
当初はイザマーレに対する淡い乙女心と、彼らに対する羨望から
彼らがミサを開催するたびに、様子を窺っていたバサラも
気がつけば、いつも最前列でノリノリになって
彼らの生み出すグルーブを楽しむようになっていた
バサラにも、湧き上がる衝動や、誰にも譲れない美学がある
そして心の奥底で思い描いていた夢のかけらが
彼らの活動に触れる事で覚醒されていく
ある時、校舎内で偶然、通りかかったバサラとウエスターレン
その時だった
「…おい、バサラ。お前…」
「?」
すれ違いざまに呼び止められたバサラは、不思議そうに振り返る
「…いつになったらその曲を、聴かせてくれるんだ?」
「!!」
ニヤッと笑みを浮かべるウエスターレンの言葉に驚愕し、固まる
「…し…知ってたの…?」
「ああ…まあ、すまんな。余計な事かと思ったが、
俺はすごく気に入ってる。世に生み出されないまま
埋もれていくのは勿体ないと思ってな」
「…//////え…ていうか、あんた達、皆に気づかれてる??💦」
「さあな。だが少なくとも、俺とイザマーレは…察してくれよな♪」
「//////」
思わぬ告白に目を白黒させながら、
それでも考え込み、遠くを見つめるバサラ
「バサラ?どうしたんだ?」
そんなバサラを見るウエスターレンの眼差しは
もう目の前にある未来を見据えているようだった
「俺の中に、勝手に生まれた旋律に過ぎないんだ。だけど、俺は
この旋律を、閣下やウエスターレン、君たちが演奏し、喝采を浴びる景色が
同時に浮かんでしまって…その思いから離れる事が出来ないんだ…」
「それなら、簡単な事だろ?俺たちと一緒にやればいい。
なあ?イザマーレ」
「…!…へっ?!」
ウエスターレンの言葉にハッとして、顔を上げた瞬間
最後の言葉に固まるバサラ
「(笑)ごめんな。騙すつもりはなかったんだが…
最高魔軍の活動と、執務、そして学生…
さらに体に負荷がかかりすぎるんでな
昼の間は小型化させ、魔力を温存させているんだ」
そう言って笑いながら、自分の足元を指し示すウエスターレン
長い脚の後ろからそっと顔を出したイザマーレ
「…💕💕💕//////」
「そうだな。ウエスターレンの言う通りだ。
バサラ。お前は今日から…ていうか、とっくの昔に
仲魔になっていたではないか。そうだろ?」
「…う、うん//////」
イザマーレの言葉に、大きな口をにぱ~っと開けて笑うバサラ
「よし。決まりだな♪早速、音出しを始めよう」
「…え…ええっ💦」
一度決断したら、すぐさま動き出すイザマーレとウエスターレンに
慌てふためきながら、引きずられるように連れて行かれるバサラ
それでも、その瞬間の居心地の良さを、忘れる事はないのだ
遅れてでも、躓きながらも、彼らの足跡に着いて行きたい
その先にある、黄金郷を目指して…
👿聖なる悪魔がふたたび Fin.👿
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