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両翼―紅蓮と水―


それからというもの

時間を見つけては、自由に音楽の時間を満喫する彼ら


「皇太子殿下!!…も、もう…勘弁してくださいよ💦」


王室を抜け出したダンケルを追いかけて

駆けつけたシルバとセリーヌら、

王室専属の警護魔たちも巻き込まれる


気がつけば総勢10魔が、

ダンケルの作り出す楽曲を中心に楽しむ仲魔となっていた


元はと言えば、魔界高等学園内の自由な活動だったものが

その垣根を越え、魔界における象徴となるまで、時間はかからなかった


彼らの動きを遠巻きながら、微笑ましく眺めていたベルデ


そして、人間界に潜伏していたラァードルを不動のドラムとして

呼び戻し、地球上に歴史的降臨を果たすための準備を着々と続けていた


当初はイザマーレに対する淡い乙女心と、彼らに対する羨望から

彼らがミサを開催するたびに、様子を窺っていたバサラも

気がつけば、いつも最前列でノリノリになって

彼らの生み出すグルーブを楽しむようになっていた


バサラにも、湧き上がる衝動や、誰にも譲れない美学がある

そして心の奥底で思い描いていた夢のかけらが

彼らの活動に触れる事で覚醒されていく




ある時、校舎内で偶然、通りかかったバサラとウエスターレン


その時だった


「…おい、バサラ。お前…」

「?」



すれ違いざまに呼び止められたバサラは、不思議そうに振り返る


「…いつになったらその曲を、聴かせてくれるんだ?」


「!!」


ニヤッと笑みを浮かべるウエスターレンの言葉に驚愕し、固まる


「…し…知ってたの…?」


「ああ…まあ、すまんな。余計な事かと思ったが、

俺はすごく気に入ってる。世に生み出されないまま

埋もれていくのは勿体ないと思ってな」


「…//////え…ていうか、あんた達、皆に気づかれてる??💦」


「さあな。だが少なくとも、俺とイザマーレは…察してくれよな♪」


「//////」


思わぬ告白に目を白黒させながら、

それでも考え込み、遠くを見つめるバサラ


「バサラ?どうしたんだ?」


そんなバサラを見るウエスターレンの眼差しは

もう目の前にある未来を見据えているようだった


「俺の中に、勝手に生まれた旋律に過ぎないんだ。だけど、俺は

この旋律を、閣下やウエスターレン、君たちが演奏し、喝采を浴びる景色が

同時に浮かんでしまって…その思いから離れる事が出来ないんだ…」


「それなら、簡単な事だろ?俺たちと一緒にやればいい。

なあ?イザマーレ」




「…!…へっ?!」


ウエスターレンの言葉にハッとして、顔を上げた瞬間

最後の言葉に固まるバサラ


「(笑)ごめんな。騙すつもりはなかったんだが…

最高魔軍の活動と、執務、そして学生…

さらに体に負荷がかかりすぎるんでな

昼の間は小型化させ、魔力を温存させているんだ」


そう言って笑いながら、自分の足元を指し示すウエスターレン

長い脚の後ろからそっと顔を出したイザマーレ


「…💕💕💕//////」


「そうだな。ウエスターレンの言う通りだ。

バサラ。お前は今日から…ていうか、とっくの昔に

仲魔になっていたではないか。そうだろ?」


「…う、うん//////」

イザマーレの言葉に、大きな口をにぱ~っと開けて笑うバサラ


「よし。決まりだな♪早速、音出しを始めよう」


「…え…ええっ💦」


一度決断したら、すぐさま動き出すイザマーレとウエスターレンに

慌てふためきながら、引きずられるように連れて行かれるバサラ

それでも、その瞬間の居心地の良さを、忘れる事はないのだ


遅れてでも、躓きながらも、彼らの足跡に着いて行きたい

その先にある、黄金郷を目指して…



👿聖なる悪魔がふたたび Fin.👿



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