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光と霊魂―元老院の庭―


リリエルのおねだりを受け、

元老院の庭で暴走した植物を鎮静化させたイザマーレ


事の発端となった植物の前で、詠唱を終えた後

暫くの間、目を閉じて佇んでいた


空気が振動する


瞳を開くが視線は前を向いたまま仁王立ちする光の悪魔

その存在に気付き、霊魂は一瞬、動きを止める


「…やはり現れたか。待っていたぞ」


『………』


返事をしない相手に構わず、目の前にそびえ立つ樹木を見上げ

静かに微笑む


「吾輩に内緒で、こんな所でかくれんぼしていたのか」


『…大人しくしていたの。だけど、居心地の良かった彼女は

幸せのオーラが満ち溢れて、私とは波長が合わない。だから…』


「…それで、この木を見てプルーニャから抜け出したんだな。」


事件の元凶となる植物の魔の香りに惑わされ

スプネリアは気づく事がなかったが、

早春に芽吹くその蕾から、甘酸っぱい香りが漂っている


「なるほどな。だが…ありがとな。今回は、お前に助けられた」


『!…わ、私は何も…ただ、無暗に不安がる彼女を

もっと苦しめてやろうと思っただけ』




「はいはい。分かったから。意地を張らずに、こちらへ来い。

お前の拠り所は、吾輩の元にあるだろう?」


『………貴方の意思には従わないわ。

面白そうなオーラを見つけたら

憑依して、不幸の坩堝に誘い込むの』


そう言って、魔宮殿に目を向ける霊魂


『彼らに憑りついたら、私を消滅させてくれる?』


「…そうだな。だが、お前はそんな事はしない。

せいぜい、リリエルに力を与え、叱り飛ばすくらいだろ(笑)」


『!………』


「お前が望むなら、好きにすれば良い

だが、お前の宿る魔木は、吾輩の屋敷の中にある。

遊びに飽きたら、いつでも戻って来い。良いな…」


そこへ歩み寄る影


「閣下…」


「リリエル、待たせたな。帰ろう。」

振り向き、髪を撫でるイザマーレ


「はい…どなたとお話されていたのですか?」


不思議そうに首を傾げるリリエルに、微笑む


「…さあな?それより、詠唱したからか腹が減ったな。

リリエルのおにぎりが食いたいんだが…」


「!…畏まりました♪梅おにぎりですね♪♪」


自分に気遣い、笑顔を見せるイザマーレに

リリエルも微笑み返す






 
 
 

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