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夢台本の真実


副大魔王による夢台本…

それはいつしか人間の脚本家が感じ取り

悪魔の描いたシナリオとは真逆の結末に書き換えられていく


理由など簡単な事だ

とかく人間というものは、悲劇を好む

他人の不幸ほど、甘い密なものはないからだ


「物語」として留まるだけならまだ良い

中には、悲惨な「現実」となってしまったものもある


リリエルという愛の居ない闇の中で、幾度も裏切られる様を

澄み切った瞳で見届ける事となった、気の遠くなる年月

忸怩たる思いを何度も味わい、懲りたイザマーレ

この物語の前半だけを人間界に送り付け

真の結末だけは守り通そうと、言霊で厳重に保管していた





そのおかげで、またしても

全然納得のいかないシナリオに書き換えられ

それが大ヒットしているわけなのだが…


夢の中で動いていたリリエルが、自らの意思でストーリーを変え

まさしくイザマーレの思い描いていた通りの結末になったのだから

抱きしめなければ、嬉し涙を隠す事もできず、

いつも以上にのめり込んだに違いない…(笑)


だが本当は、その先のストーリーがあったのだ


(そうだ…せっかくだから、たまにはお前も見てくれば良い。

愛する女を侍らせて、極上のオペラを鑑賞して来い♪イザマーレ…)


ウエスターレンはそっと、夢台本のファイルをスタートさせる…


「作成日:副大魔王暦27年7月(※10万14年前)」




 
 
 

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