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大魔王の願い


「…これで良かった?ラァードル。」

目玉蝙蝠を撫でながら、バサラが言う。

「うん、これでバッチリ!ありがとね、バサラ」


「…結局さぁ、ダンケル陛下もサムちゃんの事が

可愛くて仕方ないってことなんだよね!」


ため息を付きながらも、バサラは頷く。




……


あの時

ウエスターレンが人間界へ行くのを見届け、ベルデは再びダンケルの元へ戻った


「ダンケル…」

「…あいつと会ったようだな…」



ダンケルは鎖を手から放し振り返った

「…私は後悔はしていない。

ウエスターレンの魔力を戻すためなら色々な汚い手も使う。

しかし…イザマーレがウエスターレンの事を思い詰め、

泣かせたのは、やり過ぎだったのか…」


ベルデから目をそらした。

ダンケルにこの魔界中で唯一

心からの忠誠を誓い続けるイザマーレを泣かせた事は

さすがに悔いているようだ


「…イザマーレだって今は動揺してるけど

ダンケルのしたことは分かってくれるさ。

それにウエスターレンはまた戻ってくるさ。大丈夫だよ」

ベルデはそっとダンケルの背中に手を添えた


「イザマーレの元へ行ってくれ。私は大丈夫だ。

ウエスターレンの件に関しては、大魔王の立場として処分を決めないとならない」


「分かってるよ。ウエスターレンだってそれなりの覚悟は出来ている筈だ」

ベルデは優しく言ってダンケルの背中を擦った


……

襲撃事件が起きたお茶会の前日。

ダンケルは魔方陣を使い、

直接天界のミカエルの居る部屋に地響きと共に姿を現した。

ミカエルは本を読みリラックスしていたので気を抜いていた


「ダンケル!?…ビックリさせるな!

結界貼ってるのに入って来れるのはお前だけだろうけど!驚くじゃないか!」


ミカエルは引き吊った顔を見せた。

しかしダンケルは黙ってミカエルを睨みつける


「ミカエル…話がある…」




ダンケルの纏うとてつもない魔力で、身体が揺らめいている


「なんだ?お前直々に来るって事は、かなり切羽詰まった話か?」

ミカエルは本を閉じて聞いた


「イザマーレの事だ。

なにやらお前に直談判しに来たそうじゃないか…私を通さず…」


「…さぁ?そうだったかな…」

ミカエルは澄まして目を反らした


「イザマーレを狙うなら私の首を持っていけ!

イザマーレの首を持っていく事は許さんぞ!

今すぐ契約しなければ、お前ごと天界を吹っ飛ばし破壊する!

覚悟は良いか!」


ダンケルが怒鳴る。

ミカエルは驚きを隠せない…


「…落ち着けよ…ダンケル」

「ミカエル...私は本気だ」

ミカエルはため息を付いた。


「冷酷で残虐なお前がそこまでなるとは…イザマーレも愛されてるな…」

ミカエルは微笑んだ


「……」


「なぁ…ダンケル…私に良い考えがあるのだが…聞いてから判断したらどうだ?」


ミカエルはダンケルにある考えを話した…



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