孤独に光る
- RICOH RICOH
- 2024年10月19日
- 読了時間: 5分
リリエルの持つ無償の愛
そこに刃が向けられた時、
リリエル自身の意図しないところで、
周りの空気を一変させてしまうのだ
(…そう。確かにあの時も、
同じように悩み、孤独に苦しんでいたな。)
キャンプファイヤーで俯いていたリリエル…
まだ幼さの残る、中学生の頃の姿を思い出し
イザマーレは静かに微笑んでいた
(…お前の出番だな、イザマーレ。大事な姫君を救ってやれ)
(もちろんだ。お前も一緒にな。ウエスターレン…)
すぐ傍で見守っていたウエスターレンと、目配せし合う
怒髪天に、今までにない力が漲る
強大すぎる魔力。大悪魔としての宿業
煩わしく疎ましく、背負った宿命を恨んだこともあった
だがそれが、最も大切なものを守るために尽くせる力であるなら
これほど嬉しく、誇らしく思えることはないだろう
厳かなオーラを解き放つイザマーレの姿に、
その場に居た誰もが、見惚れていた
1魔、涙で濡れた瞳で見つめるリリエルを引き寄せ
優しく抱きしめる
「リリエル。お前の孤独を救うためなら、
いくらでも吾輩が、世界を塗り替えてやる
厄介でしかなかった言霊の力だが
お前のために活かせるなら、誇りに思う。
それこそが吾輩に与えられた役割だからな。」
「!!/////」
イザマーレの言葉に、涙が溢れ出し
声にならないリリエル
「どうした?お前のおねだりなら、
いつでも応えてやってるだろう
遠慮はいらない。いつでも吾輩に甘えればいい。良いな?」
笑顔になり、リリエルの髪を撫でる
「…閣下……/////」
リリエルは恥ずかしそうに俯いて、イザマーレに抱きついた
「俺のことも、忘れるなよ?」
ウエスターレンが近づいて、リリエルの髪を撫でる
「どうだ?リリエル。今回はかなり、
王子になってやったつもりだが?」
共に微笑んで、リリエルの目を覗く2魔
「……カッコ良すぎです……もう……///」
はにかみながら、笑顔を浮かべるリリエル
「よし。元気になったな?
続きは旅に出てからのお楽しみだな♪」
「ちゃんと用意してあるか?すぐに出発するぞ?(笑)」
「…!え……(汗)」
揃ってニヤニヤし始める2魔に、リリエルは焦り始める
「ま、何も準備してないなら……
我々が勝手に決めるだけだな♪」
「!や、やだやだ!自分で決めますぅ!
待って…キャー、どうしよう」
慌てて数日間のコーディネートを考え始めるリリエルに
ため息をつきながら、微笑む2魔。
ここまでの3魔のやり取りを、ただ呆然と眺めていたダイヤ
(閣下ってホント、リリエル様の為なら何でもするなぁ)
そんなダイヤを見つめながら、ダンケルは静かに微笑んでいた
イザマーレの眩しすぎるほどの光。その孤独を
ダンケルは痛いほど理解しているのだ。
光が居場所を見失わないよう、闇であり続けるダンケル
その闇にただ一輪、咲き誇る薔薇…ダイヤ
(お前はそんな事、一生気づかないだろうけどな…)
ダンケルは穏やかな笑顔で、雷神帝と挨拶を交わす。
傍に寄り添うダイヤを見た雷帝妃。
「あら?貴女は…
リリにとてもよく似てるけど、オーラが違う…
お名前が一度変わったのかしら?」
雷帝妃の言葉に、雷神帝も改めてダイヤを見る
「…そうか、あの時の……」
しみじみと感慨深く見つめる雷神帝の深い眼差しに
ダイヤはドギマギし始めた
「雷神殿、雷帝妃殿」
そこへ、イザマーレが話しかけてきた
「実はご夫妻に紹介したい者がおりまして。」
「え?ラァードルのかわいこちゃんか?」
パッと表情を変え、目を輝かせてワクワクし始める雷神帝
「あ、いえ。御子息の相手は、後程改めて…(笑)
それより前に、もう一名おります。よろしいでしょうか」
雷神帝の早合点に思わず苦笑するイザマーレ
「な~んだ。イザマーレ君の大切な何かかな?もちろんだよ。」
「リリエル。裕子をここに。」
イザマーレは振り返り、リリエルに呼びかける
「はい。お連れしました。お父様、お母様。
彼女は魔界で暮らす人間、裕子です」
リリエルは裕子に寄り添い、雷神夫妻に裕子を紹介した
裕子を見た瞬間、雷帝妃は瞳を輝かせる
「リリのオーラね。私の孫?
いやだあ、私いつの間にか、
おばあちゃんになっちゃったのね(〃艸〃)」
「!!?!?!?!?」
雷帝妃の言葉に衝撃を受け、再び固まるダイヤ
「ハッハッハ!マミィ!
君はいつまでも美しいよ♪誰よりもな♪」
豪傑に笑い、雷帝妃を抱き寄せる雷神帝
愛情の深さを見せつけられ、ダイヤは苦笑いする
リリエルと裕子は共に喜んでいる
イザマーレも笑顔で見守っていた
「お~い。そろそろ、いいかな?
親父。約束通り、紹介するよ。彼女。スプネリア。」
ラァードルが声を掛け、スプネリアを紹介した
スプネリアは青ざめ、震えが止まらなかったが、
なんとかお辞儀をした
「すっ……スプネリアと申します…」
「ラァードル。専用ペットにするなら、けじめは必要だ。
きちんと伝えてやれ」
イザマーレが助言する
「うお!そ、そうか…分かった。」
イザマーレの言葉に、ラァードルは慌てて身を正し、
スプネリアの前に立つ
「スプネリア。人間界で出逢った頃から、
当たり前のように傍にいたよな
別に、他の場所に住んでも良かったんだぞ?
でも、お前が居ないと物足りなくてさ。
最初から、お前の事が好きだったんだ。
もちろん、今でも。好きだよ、スプネリア…」
「////////!!?!?!?」
緊張と嬉しさと、衝撃…いろんな事が重なり、
スプネリアは目を回してしまう
「あ~、もう。何やってんだよ、スプネリア。起きろ!」
ラァードルは焦ってスプネリアを介抱し始める
「…やれやれ。後は、どうにか頑張れ。」
呆れながらリリエルを髪に乗せるイザマーレ
「待たせたな、リリエル。では行こうか。
ウエスターレン、行くぞ♪」
皆に見送られながら、立ち去った……
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