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新たな企み


何度目かを終え、イザマーレの腕に包まれ、まどろみながら

リリエルはある事に気がついて、尋ねる

「…閣下…でも、そこまで穢れた魂なら、

生まれ変わる事など出来なかったのでは?」


「吾輩が穢れを切り離したのだ。切り離した結晶を別の名前に変えた。

それがダイヤだ。ダイヤは、もともとお前にあった感情の一部だ。

お前があいつを常に求めたのも、それが原因だ」


「!」


「だから、吾輩の中ではダイヤもお前なのだ。

ダイヤの中に感じるお前の事も守ってやりたい。そう思っていたのだが…」


「…閣下…」


「生き残れるとは思っていなかった。偶然救えたのは、運が良かったのだろう」


「…ダイヤ様を愛してらっしゃる事は確かなのですね?」


「…それはどうだろう。吾輩にはよく分からない。

ダイヤの奴も、すでに吾輩のことなど見限っているようだしな。

別の道を望む者を引き留めてまで、寄り添う気にはならない」


率直な思いを口にしたイザマーレに、微笑むリリエル。


「…閣下に愛されて、嬉しくない者など居ませんよ♪

ダイヤ様はきっと、幼すぎるだけなのです。

私とは比べようもないくらい、純粋無垢な……」


少し、寂しそうな表情を浮かべるリリエルの髪を撫で

抱き寄せる




「そんな事に翻弄されるより、お前を愛したい。

記憶が戻ったとはいえ、お前は人間だ。

魔界に滞在できる時間は限られている」


「…閣下…っ」

思わず涙を浮かべるリリエルが愛おしく、再び口唇を重ねる


「///っ…私も…いつも寂しいのです。人間界にいる間、

閣下のお傍に居ることができないのは…」


「…リリエル…」


「もし、ダイヤ様を持て余すようなら、私にお預けくださいませんか?」


「!」


「私が閣下のお傍にいられる時間に制限があるということは、

ダイヤ様も…そうなのですよね?

このままお屋敷を放り出され、魔界のどこかに逃げ込まれてしまったら

ダイヤ様は、人間界に帰るきっかけを失います。

閣下に辛い思いをさせてしまった事、申し訳ありませんでした。

同じ魂から切り離した結晶なのだとしたら、片割れの私にも

責任があります。…任せていただいてもよろしいですか?」


「……」


実は、それが一番の気がかりだった……

苦労して、やっと救えた命……簡単に死なすわけにはいかない

イザマーレの譲れない気持ちだった


「…ダイヤ様が本当に望む相手が、閣下なのか、陛下なのか…

それは確かに、彼女自身が決めるべき事。

ただ…まだ迷われているのでは…

ダイヤ様が答えを出すまでは、契約の継続をお願いしても…?」




「お前がそこまで言うなら、構わないが…」


「(≧∇≦)素敵♪ふふっ ありがとうございます♪

お礼に、ひとつ、アドバイスを…

心と言葉が裏腹なお子様。そんな甘えん坊には

鏡を見せてあげるのが一番です。」


「…!なるほどな。分かった。その通りにしよう。待っていろ、すぐに戻る」


ウエスターレンの目論見通り、数時間後に扉が開いて

イザマーレが部屋から姿を表す


「ダイヤ、待たせたな。お前との愛契約は取り消し、

忠誠契約に切り替えた。分かったな」


「!…はい。これまでの無礼、申し訳ありませんでした」

俯きつつ、受け入れるダイヤ。


「おいイザマーレ。お前とリリエルを守るのは俺の役目だ。

リリエルとも約束したからな。

それならこいつは、ダンケルに預けたらどうだ?」


(…!なるほど…鏡か……)

(そういう事♪)


声には出さず、ウエスターレンと目配せし合う。そして…


「名案だな!その方が吾輩も心置きなくリリエルを愛せる。

ウエスターレン、頼めるか?」

「任せろ。まだリリエルの時間は残ってるだろ?早く戻ってやれ」


「もちろんだ。ダイヤ、じゃあな!また会おう」


心に何本もの傷を抱えたまま、

有無を言わさずウエスターレンに連れていかれるダイヤ。



……


「待たせたな、リリエル。お前のおねだり通りにしてきたぞ」

「(´∀`*)ウフフ…素敵です。愛しております、閣下……」


イザマーレはリリエルと再び口唇を重ね、愛し合う


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