舞踏会当日
- RICOH RICOH
- 2024年11月26日
- 読了時間: 15分
ヒバリーヒルズの会場前に到着した豪華な馬車
中から威風堂々と現れたのは眩い光の大悪魔
黒地に金の紋章、肩から流れるような金のタッセルが
品の良さを引き立てる
続けてAnyeに手を差し出し、降車をサポートする
百合の花刺繍がちりばめられた、薄紫のロイヤルドレス。
綺麗に編み込まれたハーフアップに黄金のティアラ
背中が大きめにカットされ、露出している玉のような素肌に
幾重もの視線が絡みつく
美しく着飾ったAnyeの腰に手を添え、エスコートするイザマーレの姿に
その場に居た誰もが息を呑み、うっとりと酔いしれる
「イザマーレ様、お待ちしておりました。どうぞ、こちらへ…」
執事に恭しく出迎えられ、広間に向かう
「やあ、来てくれてありがとう。待ってたよ。」
ホスト役のバサラが気さくに声をかけてきた
「今宵はご苦労。楽しませてもらうぞ」
イザマーレが労い、挨拶を交わす間にも
麗しい水の領主、バサラの周りには大勢の魔女が取り囲み
華やかに喧騒を繰り広げる
「ラァードルたちは、先に来ているよ。
Anyeちゃんも、気兼ねなく楽しんで行ってね。
さて~。可愛らしい子猫ちゃんたち。君たちもおいで。」
Anyeにも声をかけた後、
魔女の大群を引き連れてメインテーブルへ向かうバサラ
「珍しいですね。イザマーレ様が女性を同伴させるなんて」
隣に座った魔女がバサラの酒を作りながら呟く
「そうだね。閣下の運営している学園代表ってことみたいよ。
ほら、今年から規模を大きくしたからね」
魔女の肩を抱き、爽やかに微笑むバサラ
「あら、じゃあ、学生さんって事?大丈夫なのかしら。
外見だけ取り繕っても、こういう場ではボロが出やすいと思うわ」
「クスクス…あの子、きちんと踊れるのかしらね」
取り巻きの魔女たちが口々に言い合い、遠慮なく笑い合う
「君たちほど華麗に立ち回れる魔女は居ないよ。さ、今宵
俺の相手をしてくれる子猫ちゃんは誰かな~?」
にっこりと笑うバサラに、黄色い声をあげる魔女たち
メインテーブルからすぐ横の、壁沿いに設置されたテーブルに
ベルデ、ラァードル、セルダ
そして、ウエスターレンに連れて来られた留学生が座っていた
「久々の舞踏会だわ💕ディナーも美味しそう✨
陛下も来ればよったのになぁ…」
目の前のディナーにワクワクを隠しきれないダイヤ
「はあ…… 凄く緊張しちゃう…… でも、やっぱり素敵だな……」
初めての舞踏会という席に固まりながら
チラチラとある方向を見ているスプネリア
黒薔薇、紫蘭、梅、木蓮…
留学生たちは
それぞれの花をモチーフにした髪飾りとドレスに身を包み
緊張しながらも、興味津々に観察して楽しんでいた
その間、参列していた上流貴族魔たちと挨拶を済ませた
イザマーレとAnyeがやって来た
淡い色のシャンパンを手に、
構成員たちと親し気に言葉を交わすイザマーレの横で
朗らかに微笑むAnye
やがて、室内の照明が変わり、音楽が流れてくる
事前に編集を施した、バサラの傑作メドレーだ
大勢の魔女たちを引きつれ、バサラが華麗に舞い踊る
手際よく順番に魔女の手を取りターンをさせ、
その度に黄色い声があがる
バサラと手を取り合い踊り始めたその時、ざわめきが起こる
「え…」
不思議に思い振り向くと、
Anyeの手を引き、広間の中心に向かうイザマーレの姿
通常、どんな夜会に現れても、最低限の挨拶を交わす程度で
すぐに退席するイザマーレが、初めて女性を同伴しただけでなく
社交ダンスまで披露するという…
居合わせた者たちの期待と羨望のまなざし
物珍しさに無遠慮に寄せられる好奇の視線
針のむしろのような視線を一身に浴びるAnyeに
生きた心地がしない留学生たちが、ハラハラと見守る
「…Anye様…大丈夫なんですかね💦」
思わず呟いたプルーニャの口をセルダがそっと塞ぐ
「しっ…大丈夫。心配要らんよ」
刹那
曲調が変わり、Anyeがステップを始める
彼女の呼吸にピッタリと寄り添い、完璧にリードするイザマーレ
おどけた仕草で見つめ合い、畏まって挨拶を交わしていた時よりも
むしろ楽しそうに微笑み舞い踊る2魔
光と花の輪舞に、宴は最高潮に盛り上がる…
「理栄校長…じゃなかった💦Anye様、すごい!!
びっくりしたわ~何でもこなせるなんて、流石だわ」
何曲か踊り終えて、戻ってきた2魔を笑顔で出迎えるダイヤ
「そんな事ないのよ…💦昔取った杵柄ってだけ」
喉を潤しながら、足元を気にするAnye
気がついたダイヤが声をかける
「大丈夫?一緒に花を摘みに行こうか?」
「うん…ちょっとだけ汚れていないか気になってしまって…」
「じゃ、行こうよ。会長さん、すみません。一瞬、Anye様をお預かりしますね」
すぐに立ち上がり、Anyeを化粧室まで連れて行くダイヤ
「いや…それにしても、すごいわ…」
ここまで呆然と固まり、やり取りを見つめていたスプネリアが
呟いたのを聞いて、ベルデがにこやかに笑う
「Anyeちゃんは、フェアリー国では最高貴族だったしね。
それに元々、幼少期には雷神界で暮らしていたんだから
こんな雰囲気にも慣れっこなんじゃない?」
「ま、そういう事だな。おい、イザマーレ。
これで明日の情報誌トップ記事は決まりだな♪」
扇子をあおぎ、火照った身体を冷ましながら、
喉を潤すイザマーレを抱き寄せ、ニヤッとするウエスターレン
「ところで。こちらのお嬢ちゃんたちの装いも見てやってくれ♪」
ウエスターレンに促され、留学生たちに目を向けるイザマーレ
「ああ、良いんじゃないか?ウエスターレン、お前が仕立ててやったのか?」
「俺が仕立ててやろうとしたんだが、今回は彼女たち渾身の力作だ♪」
「はい!!理栄校長先生に教わって来たんです。
何とか、自分たちの魔法で作ってみました!!…どうですかね…///////」
隣に居たプルーニャが、力強く答えながら
最後は少し自信なさげに問いかける
「へえ…」
改めてゆっくりと、彼女たちの姿を1名ずつ見つめるイザマーレ
(…こっ…こんな事…二度とないやろな💦…
負けへん💦💦あんたらも、気張りや…💦)
イザマーレの澄んだ瞳に捉えられ、
震えながらも何とか耐えるプルーニャ
「お前は…」
その隣で、あわあわしながらも高まる気持ちを必死に堪えていたリリアに
声をかけるイザマーレ
「は、はい…?///////」
ビクッとして、何とか声を絞り出すリリア
「お前の髪飾りは、百合だな。よく似合っている。」
「///////あ、ありがとうございます///////」
「魔界では、珍しい花とされている。磁場が異なるからか
めったに根付く事はないのだが…お前もやはり、百合の化身なのか?」
「!…あ、はい。実は…」
イザマーレが気にかけた真相が分かり、落ち着きを取り戻したリリア
説明しかけて言い淀む。隣に居たムーランが嬉しそうに語る
「理栄校長先生の元のお姿、リリ様から産み落とされた娘さんですよ」
「!…そうか…やはり、あいつの…」
「…会長さん?どうかなさいましたか?」
静かに何かを見据えるイザマーレの様子に、プルーニャが首を傾げる
「ん、ああ…いや、吾輩、百合の花が好きなんだ。
お前たちの世界にも根付いていると聞いて、安心した」
「「「////////」」」
イザマーレの答えに、留学生たちは感激して赤くなる
しばらくしてスプネリアがハッとする
「ち、ちょっと…今のって…最大級の告白だったんじゃ…💦」
「ハッ…そうや…こんな時に限ってAnye様、居ないなんて…💦」
歯痒さに悶えるプルーニャ
一方…
ダイヤに付き添われ、化粧室の個室で、
緊張感からふぅーっと深呼吸していたAnye
朝、屋敷のプライベートルームで、
イザマーレの魔力でドレスアップした時から今に至るまで
立ち姿、振る舞い、仕草すべてに胸が高まり
ときめく心を抑える事が出来ずにいる
胸が大きく鼓動するたび、怯える癖は未だに直せそうもない
だがその度に、イザマーレの力の大きさを感じていた
それどころか、イザマーレに抱きしめられる度に感じる心地良さ
そのぬくもりにもっと包まれていたい、なんて…
無尽蔵に湧き上がる自らの欲に呆れ、何度目かのため息をつく
その時、化粧直しに来た数名の魔女たちの話し声
「はあ~、素敵だったわね。」
「ホント。滅多に見れない副大魔王様のダンスよ♪得しちゃった」
「お相手の方も…噂になるだけあるわね。ついにお決めになるのかしら…」
「ま、あの彼女なら、納得よね。でもさ…」
「これまで、どんなに勧められても頑なに固辞されてきたのよね
…やはり噂は本当かしら…だとしたら…」
そのまま、遠くなる声
(……噂?)
気まずくなるのを避けるため、個室で控えていたAnyeは
何気なく耳にした話題に少し興味を持った
しばらくして個室から出て、手を洗っていると
別の魔女がやって来た
「……あ」
鏡越しに姿を捉え、笑顔で振り向く
Anyeに気がついた魔女も、笑顔を見せる
「あら♪Anyeちゃんじゃないの。お久しぶりね。
イザマーレ様とご一緒なの?」
「こちらこそ!お久しぶりです、セリーヌ様♪」
彼女は王室専門の警備を取りしきる、最高魔女だ
一時は最高魔軍の構成員として活動もしており、
フェアリー国に居る時も何かと世話になった間柄だった
「今夜は来る予定ではなかったんだけどね。
実は、未来のウエスターレン長官から密命を受けたのよ。
もう間もなく、いらっしゃると思うのよね」
やれやれとため息をつきながら、辺りを見回す彼女
何の事か分からず、首を傾げるAnyeに微笑み、抱きしめる
「…Anyeちゃん。イザマーレ様をお救いできるのは、貴女だけ。
きっと大丈夫よ。あなた達なら…」
「え…」
「さ。早くお戻りになって。王子様がお待ちかねよ」
戸惑うAnyeの背中をそっと押し出す…
広間では
踊り飽きたバサラ達が、メインテーブルで賑やかにはしゃいでいる
「素敵な踊りを見せてくれた子猫ちゃんたちに、特別なご褒美だよ♪」
そう言いながら、どこからか探してきた書物を手に
「甘く囁かれて嬉しい言葉ランキング」の中から、一言ずつ
魔女の耳元で囁き、その度に黄色い悲鳴が沸き起こる
「…こちらの世界でも、参謀は相変わらずなんやな…」
ボソッと呟くプルーニャ
「前後のシチュエーションもなく、あんな棒読みで言われて
それでも嬉しいものなのかね」
テーブル席に戻ったダイヤも、呆れ顔でドン引きしている
「相手にもよるんじゃない?愛する方からのお言葉なら…」
そう言いながら、頭の中でイザマーレの声に変換させ、
鼻血が出そうになるのを堪えるリリアとムーラン
「Anye、大丈夫か?」
化粧室から戻ってきたAnyeを引き寄せ、
隣に座らせるイザマーレ
「はい…お待たせしてすみませんでした」
「…どうかしたのか?」
先程とは様子の違うAnyeに気がつき、顔色を窺う
「あ、いえ…」
すぐに表情を入れ替え、微笑むAnyeを訝しく思い
抱き寄せて髪を撫でる
「…どうした?些細な事でも報告は怠るなと、いつも言ってるだろ?」
「…本当に、何もないんです。あ、そう言えば先程、
セリーヌ様にお会いしました。どなたかをお探しのようでしたよ?」
「え?セリーヌが?…なんかすげー嫌な予感がするんだが…」
何とか誤魔化し、話題を変えたAnyeに
ウエスターレンが聞き咎める
「はい…未来のウエスターレン様から、密命を受けたと仰ってました」
それを聞いて、ますますげんなりとするウエスターレン
その時
空気が振動し、目の前に闇のオーラが出現した
すぐ横に居たダイヤが目を丸くして固まる
それは間違いなく、魔界の大魔王ダンケルだった
「やあ、皆の者。楽しんでいるかね?」
居合わせた全員が違和感を覚えて固唾をのむ
寸分違わぬ闇のオーラで、冷徹な微笑を浮かべるその姿は
間違いなくダンケルなのだが、何かが異なるのだ
その場の空気などお構いなしに、楽しそうに場を取り仕切るダンケル
「私の事は気にせず、続けてくれたまえ♪さあ、ソラちゃん。
何でも好きなものを食べていいぞ。」
そう言って、小さな女の子を膝の上に抱っこするダンケル
「は~い(≧∇≦)」
イザマーレとウエスターレンによく似た女の子が可愛らしく返事をして
周りの景色をキョロキョロと楽しそうに見つめている
「…来たな。やれやれ…」
ため息をつきながら立ち上がり、
セリーヌを探しに行くウエスターレン
「え……っと……これはいったい…」
固まりながら、ボソッと呟くダイヤ
さらにその時、ダンケルの元に現れた影に、全員が驚き、固まる
「…陛下。こんな所で、何をなさっているのですか?」
黒いマントに仮面をつけた黄金の怒髪天が
髪に座る女性を降ろしながら、ため息を付いている
女性は胸元が大きく開いたワインレッドのチャイナドレスに
お揃いの仮面をつけて天真爛漫に微笑んでいる
「あ!!サムちゃまとリリエルちゃま~(≧∇≦)」
ダンケルの膝から飛び降り、嬉しそうに抱きつく女の子
「(´∀`*)ウフフ…ソラちゃん、陛下に遊びに連れて来てもらったのね。」
ソラを優しく抱き止めて微笑み、ダンケルに冷ややかな視線を送る女性
「お前たちの噂を聞きつけたんだ。私の方が先回りしたみたいだな♪
どうやらこの時代では、私に対して非常に礼儀正しい
リリエルがいるそうじゃないか。」
「ああ、ほら。お前のドレスの事で揉めたから、遅れたじゃないか」
シレっと言って、黒いマントの中に彼女を抱き寄せ
周囲から寄せられる無遠慮な視線を遮断する仮面の悪魔
「…リリエルちゃま、可愛い~(≧∇≦)♪」
「そうだよな~、ソラ♪」
大喜びなソラに、ウィンクしてみせる仮面の悪魔。
超ご機嫌の様子だ。
「んもう!!だからと言って陛下!無断で過去に行かれては困ります。
長官もカンカンに怒ってますよ。これが終わったら、
すぐに連れ戻しますから。良いですね?」
「……まさか……」
誰もが呆然と固まる中で、ここまでのやり取りを
冷静にインプットしていたAnyeが口を開く
「本当の未来に居る、会長と私…ですか?」
Anyeの問い掛けに、
先程までダンケルを叱り飛ばしていた女性が優しく微笑む
その隣に寄り添う仮面の悪魔が彼女の髪を撫でながら応えた
「如何にも。吾輩はイザマーレだ。こいつはリリエル。吾輩の妻だ」
「!!」
「勘違いしないでね。無断でタイムトラベルをなさった陛下とは違って
きちんと招待を受けたのよ。ね、閣下」
仮面のイザマーレの腕に手を添えて、朗らかに微笑むリリエル
「そうだ。この時代の吾輩にな。」
「えっ……そうだったんだ……なるほどね」
テーブル席に座るラァードルが呟く
Anyeは隣に座るイザマーレをそっと見つめる
「…どうしても…見てみたかったのだ。
言霊で作り出した世界ではなく、本当の未来にある我々の姿を…
時空の歪みを生み出す事も承知の上で…」
「お前の犯した規約違反も、吾輩が全て回収してやった。
かなりの痛みを伴ったがな。」
仮面をつけたイザマーレがリリエルの髪を撫でて微笑む
「お前のその不安は、理解できる。
吾輩も、自分だけではどうする事も出来なかったからな」
「…閣下…」
「吾輩の宝に、難解な方程式の解き方を教えてもらったのだ。
リリエル、お前の笑顔を愛でるためにな。」
涙ぐむリリエルを優しく抱きしめ、微笑むイザマーレ
「その為なら、どんな代償も厭わず、受け入れろ。
大切なものを手放さず、愛し続ければ良い。簡単な事だろ?」
「……」
未来のイザマーレの力強いオーラを、じっと見つめているイザマーレ
彼らのやり取りを、全身で受け止めているAnye
そんなAnyeの手を握り、微笑むリリエル
「大丈夫。貴女なら、もう分かっているわよね?
閣下がこれほどまでにお苦しみになるのは、貴女の事を大切に
思ってくださるからなのよ?」
きっぱりと言い切り、
隣に座る過去のイザマーレを見つめて微笑むリリエル
「やっぱり素敵ね。ご招待ありがとうございます。イザマーレ様…」
「ありがとな。それから色々と…すまなかったな」
今よりも、ほんの少し若いイザマーレに、首を横に振りながら
にっこりするリリエル
「リリエル、おいで」
仮面のイザマーレに呼ばれ、髪に座るリリエル
「あ!ソラも~♪」
駆け寄るソラを抱き上げ、視線を向ける
未来から来ていたウエスターレンとセリーヌに抱えられ
ブツブツと不満そうなダンケルも立ち上がる
「タイムトラベルはここまでだ。邪魔したな。機会があれば、また会おう」
巨大な魔法陣の中に消えて行く……
強烈なインパクトを残して、鮮やかに立ち去ったタイムトラベラーたち
広間は元の喧騒を取り戻す
そんな中、渦中の主役、イザマーレとAnyeは押し黙ったまま
Anyeは、ボーっと遠くを見つめ、
在りし日の出会いから今日までの日々を思い返していた
イザマーレは、そんなAnyeの脳裏に浮かび上がる光景を
静かに見守っていたのだ
「そ、そういや…いきなり陛下が降臨されてビックリしちゃった……
まさかここで会えるなんて思ってなかったし……
知らない子供を抱っこしてるから、てっきり隠し子か??なんて…
焼きもちやきそうになっちゃった…
あれ?そしたら、ダイヤはどうしたんだろ?
良い子で留守番してたのかな?」
張り詰めた空気に、耐えきれなくなったダイヤが、
ケタケタ笑いながら捲し立てる
「ハッ…そういや、そうやね。もう1名のダイヤ様にも
会ってみたかったな」
つられて我に返ったプルーニャが、すかさず追随する
「ああ、そういや、ダイヤ?そいつがダンケルの嫁なんだとさ。
しかも何故だか、俺の部下らしいんだ。で、
ソラっていう俺とイザマーレの庇護魔を連れて
無断で時間旅行に出たダンケルに嫉妬して、
未来の俺にチクってきたらしい。」
真相を明かしたウエスターレンに、撃沈するダイヤ
「あー、なるほど。そういう事か。すごい納得(笑)」
人懐こそうな笑顔になるセルダ
穏やかな空気になり、自由に会話を繰り広げる構成員や留学生たち
だが、彼らの声さえも、どこか遠くで聞こえているかのような静けさの中、
見えそうで見えない方程式の答えを探し求めているAnye
「…Anye」
ようやく呼びかけたイザマーレの声に、視線を交わすAnye
留学生たちはピタリと話すのをやめ、期待に胸を膨らませている
「今日のお前は、最高に可愛いな」
「「「!!!!!!!」」」
まさかの殺し文句に、瀕死状態に陥るリリアとムーラン
プルーニャも真っ赤になり、鼻血を堪えている
(…それってさっき…参謀が言ってたやつ…だよね?💦)
コソコソと内緒話をし始めるスプネリアとダイヤ
「…えっ////////」
そんな中、ようやく気がついて固まるAnye
「今夜はこれ以上、お前を周囲の視線に晒したくない
吾輩だけのものになってくれ」
すくっと立ち上がり、手を繋いでその場から連れ去る
慌ててイザマーレについていくAnye
広間を出て、回廊に無数にある小部屋に連れ込み、
あっという間に扉が消えた
扉の前でほくそ笑みながら護衛するウエスターレン
隣のスペースに集結し、壁越しに聞き耳を立てながら
ニヤニヤしまくる留学生たち…
コメント