花蓮光と薔薇
- RICOH RICOH
- 2024年11月18日
- 読了時間: 7分
さて、それからというもの
注視するようになったからなのか、プエブロドラド内で
渦中の人物を頻繁に見かけるようになった
その度に、イラっとする思いと当時に
ソラの言葉が脳裏を掠める
…なにか、理由がありそうね…
改めて、冷静になり観察すると
頻繁に見かける理由もすぐに分かった
彼女自身が、何かを探し求めるように
村中を彷徨い歩いているのだ
「…?」
不思議に思いつつ、個人的な行動について
過度に監視するのも良くないと
なるべく気にしないように心がけていた
そんなダイヤの元に、元気よく駆けつけてきた女性
「あら!花蓮光さん♪今日もお元気そうね」
「ダイヤ様、おはようございます!!…
言い忘れてましたが、魔界では『花蓮』って呼んでください☆彡
入村審査を受けた時、閣下に言われましたから」
「!…そうなんだ…分かりました。花蓮さんね♪」
花蓮光の言葉に驚きつつ、左程、疑問も抱かず
同調するダイアに、花蓮光は嬉しそうに頷く
「あ、そうだ
ちょっとお聞きしてもいいですか?」
「ん?もちろんだよ。なになに?」
「最近、知り合いになった信者さんがいまして…その人
いつも誰かを探してるようなんです。誰のことか聞いてみたら
小柄で、ほんわかしてて、優しそうな女性って言うんです。」
「…え、それって…」
花蓮光の言葉に固まるダイヤ
「そんな、リリエル様みたいな人、プエブロドラドに居るんですか?」
「え?…居ないと思う…え、ちょっと待って。
花蓮さんが知り合ったっていう人って…」
「鈴音さんって人です」
「!!」
ダイヤが驚くのも無理はない
ここ数日、心を苛つかせた張本人が、
あろうことかリリエルを探しているというのだから…
構成員の事を、何の躊躇いもなく呼び捨てにできる神経の持ち主だ
リリエルの事も、簡単に見下すんじゃないだろうか…
改めて、怒りが湧き上がるダイヤ
その時、バタッと音がして我に返る
ふと見ると、目の前で花蓮光が気絶していた
「???え?花蓮さん???どした?」
「…あ…いえ///私が話しかけた途端、
固まって動かなくなってしまわれたので…💦暇で…💦
会話が途切れると、急に眠くなってしまうんですよ💦
昔からの癖で…ごめんなさい///」
「!…💦そ、そうだったね💦ごめんね」
花蓮光のまさかの行動に面食らいながら、平常心を取り戻すダイヤ
(もしかしたら…そこに、なにか秘密があるのかもしれない…
今日にでもまた、館に行き、ソラに話してみようか…)
再び思いに更けるダイヤは、目の前の影に気がつく
「?!」
「ダイヤさまあああ…また花蓮を置いてけぼりにして
考え込んでらっしゃいますね~~~???」
急にドアップで見つめられ、タジタジになるダイヤ
「い、いや、あの💦そういうわけじゃないのよ💦💦
今日任務の後に、ちょっと行きたいところがあって………」
ポロっと出たダイヤの言葉に目を光らせる花蓮光
「やっぱり…花蓮に内緒で、
何やら美味しいおやつでも食べるおつもりね?」
「へっ?!ち、ちがう、ちがう…💦リリエル様のお屋敷の隣のね…」
慌てて説明するダイヤに、羨ましすぎてチーン…と座り込む花蓮光
「💦💦…い、一緒に…行く…?」
「!!!よ、良いのですか…?!き、着替えてきまーす♪」
ドピューンっと勢いよく自分の部屋へ戻って行く花蓮光…
数時間後、花蓮光を連れて、屋敷の前に訪れたダイヤ
「なっ…何度見ても…厳か過ぎて、足が震えます…」
先程の勢いはどうした!?と突っ込みたくなるほど
可愛らしく震える花蓮光を励ましつつ
隣の館へ向かう
その日はソラと、遊びに来ていたリナとアオイが話し相手だ
可愛いものが大好きな花蓮光は、終始にこやかに過ごしている
その横で、新たに抱いた疑念を、そのままソラに聞いてもらった
「ふ~ん…その人かどうかは分からないんだけどね、
少し前にリリエルちゃまが話してくださった事があったの」
「えっ」
「その日はダイヤちゃまが公務の都合で行かれなくて、
リリエルちゃまは、えすぴーのウォルせんぱいと
一緒にミサに行かれたんだけど」
「うんうん」
「開場前にランチしていたら、話しかけられたことがあったんだって」
「!!…何て?」
「サムちゃま達のミサに初めて参加するんだって
とっても緊張していたらしいの
それで、ホールに入ったら、どうしたら良いのでしょうかって
質問されたんだって…」
ソラの言葉に、何かを思い出した花蓮光
「そういえば…」
鈴音に話しかけられたリリエルは、穏やかに微笑んで応じた
「怖がらなくても大丈夫ですよ。
足を一歩踏み入れたら人形にされちゃうとか、そんな事はないので(笑)
是非、楽しんでくださいね。
分からない事があっても、閣下のお言葉に従って
心の赴くままに楽しんで貰えたら、それで良いのですよ」
リリエルの言葉に後押しされ、初体験した黒ミサのステージは
本当に言葉に言い表せないほど素晴らしいものだった
その感想と、お礼を伝えたくて
ミサ終演後に会場中を探し回った鈴音
たくさんの信者が入り乱れる中、
なかなか簡単に探し出す事はできない
「…あ」
ようやく見かけた…
だがその時、リリエルに抱きつきミサの感動を分かち合う他の信者も居たのだ
あまり長い時間もかけず、SPを連れて楽屋口に向かうリリエル
後に残された信者たちから、信じられないような会話を耳にしたのだ
夢心地の黒ミサを初体験したばかりの鈴音の前で
構成員を呼び捨てにして、あっけらかんとはしゃぐ信者達
だが…そういうものなのかも…とも思ったのだ
長年、大好きでいればこそ、呼び捨てにして呼び合うものなのかも…
新参に過ぎない自分には、彼女たちを問い質す資格もない
先輩信者に受け入れてもらうには、
彼女たちのようになっていく必要があるのかと…
それでも、最高魔軍の教典を何度も聞き、映像を見て体験するたびに
構成員を呼び捨てする、という事に、違和感を拭えなくなる
そんな時、思い出したのがリリエルの言葉だった
「分からない時は、閣下のお言葉に従って…」
あの時、リリエルは間違いなく「閣下」と呼んでいた
彼女なら、こんな自分に何と声をかけてくれるのだろうかと…
そんな時、プエブロドラド行きのパスポートを入手し
一大決心をして魔界に足を踏み入れた
プエブロドラドに来ると、構成員を呼び捨てにする自分に向ける視線は
やはり厳しいものばかりだった
それでも挫けずに、リリエルを探し続けるが、一向に見つけられない
その最中、ダイヤと出会ったのが数日前だったのだ
「…たしかに、ミサの後、リリエル様を探してる素振りの人が居たな…
そう言われてみると、彼女かもしれないです」
ぼんやりと記憶をたどる花蓮光
「…理由は分からないけど、リリエル様を探してるっていうのは
間違いないんだね」
ダイヤも、なんとなく理解する
その時、館の前を通り過ぎて屋敷の庭園に向かう
数名の使用魔たちの姿を窓越しに見かけた
「あ!!お帰りなさーい!!!」
窓から手を振って挨拶をするリナとアオイに
にこやかに応じる使用魔たち
不思議そうに眺めているダイヤと花蓮光
「今日もバサラちゃまの邸宅のお世話は無事に終わったみたいね」
一緒になって手を振るソラの言葉に驚愕する花蓮光
「…お食事のお世話までは、絶対に駄目だと
サムちゃまに言われてるみたいだけど…」
困ったような笑顔を見せるソラに、ますます意識が遠くなる花蓮光
「そのうち、ソラの所にバサラちゃまが来てくれたら、こっそりお食事も
提供できるかもしれないね(*^▽^*)」
「え…え…まって…あの使用魔さんたちは、皆、バサラ様の所に
派遣なさって…ってことは、こ、この…恐ろしく広いお屋敷の管理は誰が…」
「リリエルちゃまに決まってるじゃない」
当然のように応えるソラに、改めて驚愕する花蓮光
「…ダイヤ様。リリエル様って…いったい、何者なんですか💦」
「えっと…(苦笑)」
花蓮光の質問に、ひきつり答えに窮するダイヤ
そんな彼女たちを前に、ソラは堂々と応える
「サムちゃまの愛するお妃様だよ♪♪サムちゃまには負けるけど…
ソラもリリエルちゃまがだ~い好き(≧∇≦)♪♪」
コメント