鍵
- RICOH RICOH
- 2024年10月19日
- 読了時間: 2分
周囲の戸惑いをよそに
リリエルと雷神夫妻の間に、静かな空気が漂う
雷帝妃は笑顔を浮かべて、リリエルを抱きしめる
「リリ……あら?何かに思い悩んでるのかしら?
心に鍵をかけてるのね。」
「!/////お母様……」
驚いて見つめるリリエル
雷帝妃は優しく微笑んで、手を握る
(……)
心の鍵を解放され、リリエルは涙を流し始めた
「たまには良いではないか。お前にも悩みはあるだろう。
だが。イザマーレ君は見上げた悪魔だよ。非の打ち所がない。
迷った時は、遠慮なく彼に甘えればいい。
彼ほど、頼りになる男は居ないだろ♪」
リリエルの様子を見守っていた雷神帝は
豪傑に笑いかけ、リリエルにウィンクする
「そうよ、リリ。自信を持ちなさいな。」
「…はい。ありがとうございます。お父様、お母様……」
泣きはらした目で笑顔を浮かべるリリエル
その様子を、そっと見守っていたイザマーレ
(……なるほど。そういうことか……)
リリエルが心の奥深くに鍵をかけ、隠し続けた悩みを
すべて理解したイザマーレ。静かに、笑みを浮かべていた
そして
リリエルと初めて出会った時の事を思い出していた
かつて「始まりの場所」で、
言霊を操り歌にして遊んでいたイザマーレ
それは、今のリリエルと同じ悩みを、
何とか紛らわそうとしていたのだ
夢幻月詠
それは、才のないものに言わせれば誰もが羨み
憧れ、称賛される能力 だが…
強大すぎる故に、その影響力は計り知れず、
つねに己を律し、制御し続けなければならない
想像しきれないほどの孤独と引き換えに……
その孤独を誰よりも深く理解し、慰めたのが
リリエルとウエスターレンだ
そしてリリエルもまた、
同じ孤独に苛まれ苦しんでいるのだと……
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