館
- RICOH RICOH
- 2024年11月18日
- 読了時間: 4分
プエブロドラド―
オドオドした新参信者に出くわすダイヤ
終始、ビクビクした様子で、ダイヤにも低姿勢だ
それにも関わらず、なぜか構成員の事を呼び捨てで話す
聞き咎めて、ダイヤは思わず問いかける
「あなた…何で構成員を呼び捨てに?」
「! い、いや、あの…すみませんっ」
何気ないダイヤの一言に、必要以上に震え上がり
逃げるように一目散にその場を立ち去る信者
ダイヤは呆気にとられながら、
構成員を呼び捨てにするという、あるまじき行為に憤慨し
やりきれない思いを抱えたまま歩いていた
ふと見上げると、イザマーレの屋敷の前だった
「………」
リリエルならこんな時、どう対応するだろう………
いつでもダイヤの頭の片隅にある彼女の存在
だが、時には自分で、答えを探したい
あわよくば、イザマーレにも自分の存在価値を認めてもらいたい
そんな思いなど、駄々洩れで察知されていることも気づかず
扉の前で躊躇するダイヤ
その時、鼻先を掠める甘酸っぱい香り
「…あ…そういえば…」
何かに誘われるかのように、隣の館に向かうダイヤ
館の中に入ったダイヤは、目の前の光景に固まる
「あれ、なっちゃん!! どうした?」
「ゆうちゃん…突然、ごめんね。ってかこれ………」
「ああ(笑)驚いたよね?ここ最近、もう毎度の事で見慣れちゃったけど(笑)」
梅園学生寮の13魔たちが、その日の教育課程を終えると
毎日のように遊びに来ているらしい
お互いを呼び捨てで呼び合い、壁を取り払い自由に遊び倒す彼ら
そのうち、ダイヤの存在に気がついたソラが可愛らしく微笑みかける
「ダイヤちゃま…どうなさったの?」
この場にいる悪魔の中で、間違いなく高貴な存在であるソラでさえ
敬称をつけてくれるのに…
何も言えなくなり、ソラに抱きつくダイヤ
「あ!!ソラと抱きつきっこしてる!!ズルーい!!私も混ぜて~」
リナやアオイがすかさず寄ってきて、ギューギューし合う
「Σ(゚∀゚ノ)ノキャー ご、ごめんなさい💦分かったから、くすぐったい~💦」
いつの間にか、満面の笑みになって笑い崩れるダイヤ
「…サムちゃまの事で、何かあったの?ダイヤちゃま…」
「!!」
ダイヤに抱きつかれた時に、全てを読み取っていたソラに改めて驚愕する
そして、ソラの言葉をきっかけに、13魔も静かにダイヤに寄り添う
「ふ~ん…」
胸に抱えていた思いを暴露したダイヤに
じっと耳を傾けていたソラと13魔
「私たちは、出会ったころからずっと一緒で、
お互いを呼び捨てで呼び合うのが当たり前だったけど…」
リナはケイシやアオイと顔を見合わせる
チハルやツクシも、当たり前だと言わんばかりに頷く
「だけど、ソラって、私たちの事は呼び捨てで呼んでくれるけど
そうじゃない方には、みんなに「ちゃま」を付けるよね」
リナの冷静な指摘に、ソラは初めて気がついたようにキョトンとする
「あ…うーん、どうしてかな。考えた事もなかった(*´艸`*)」
ソラの言葉を聞いていた裕子が、それとなく助言する
「ソラ様は…やはり、リリエル様のオーラを一番受け継いでいらっしゃると思うの」
「!! そっか…リリエル様って、いっつも優しくて
俺のことも『ケイシくん』って呼んでくれるんだよ」
「なっちゃん…リリエル様が誰かを呼び捨てに呼んだ事ってある?」
「………ないわ……」
記憶をひっくり返し、呆然とするダイヤ
「だけどね、ダイヤ様…」
「ん?」
いつの間にか、自分を真っ直ぐ見つめていたリナに、我に返るダイヤ
「いつだったかな…リリエル様に言われたことがあったの」
…あなた達のような、壁の要らない関係って素敵ね。羨ましいな……
「………」
リリエルの背負ってきた事柄の大きさを、改めて感じるダイヤ
「だけどさ、リリエル様のそれと、ダイヤ様が話してくれた
人間の話は全然違う気がするよ」
別の意味で感動してしまい、話が宙に浮きそうになる寸前に
チハルが冷静に指摘する
「うん。そうよね。リリエル様と、そんな人間を、一緒にしないで欲しい」
アオイも同意する
「…だけど…なにか、理由がありそうね。」
「!! やっぱり、そう思う?ソラ様…」
勢い込んでソラの前に跪くダイヤ
その時
「こんにちは~。ソラちゃん、13魔ちゃんたち、お邪魔します~」
「あ♪リリエルちゃま~~~(≧∇≦)♪」
屋敷から姿を現したリリエルの元に、一斉に駆け寄る彼ら
「今日もお泊り会するっていうから、お食事用意しましたよ。
後で、温めて食べてね…って、あら?ダイヤ様?」
「あ、すみません、リリエル様…//////ちょっと遊びに来てました💦」
ばつが悪そうに取り繕うダイヤを見て
裕子が含み笑いをしている
「そうなのね…ダイヤ様もお食事して行く?」
「いっ、いえいえいえ…💦
陛下も待ってると思うし…今日はそろそろ…」
「ダイヤちゃま、帰っちゃうの?」
上目遣いで見つめるソラ
…この、ある意味最強コンビめ…
最大級の誘惑を必死に振り切り
「ソラ様、お邪魔しました!!あの…っ すごく楽しかったです!!
また…来てもいいですか?」
「わーい(*^▽^*) いつでもどうぞ~♪♪」
「じゃ、じゃあ…失礼します!!!!」
ビシッとお辞儀をして魔法陣で立ち去るダイヤ
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