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事件 


翌日ツアーから戻って来たラァードルだが、

元老院のただならぬ雰囲気を感じ取っていた

使い魔総出でスプネリアを探していたからだ


「ミル、オジー、ただいま…何かあった?

スプネリアはどこに……?」


「あ!ラァードル様お帰りなさいませ

……実はスプネリア様のお姿が朝から見えないのです……」


「毎朝のお散歩のお時間になっても庭にお越しにならないので

心配してたのですが、花たちがザワつくのです。

スプネリア様の身に何かあったのではないかと」


「夜の魔界の怖さは体験済みなのに…手間かけるけど、とにかく探そう!」


その時、プルーニャとハルミちゃんが元老院に姿を見せた。

いつもと様子の違う慌ただしさを感じ取るが

左程気にせず奥へと進んで行く


それまで大人しくプルーニャに抱っこされていたハルミちゃんが

突然、テラスに向かって走り出す


「ハルミちゃん?どしたん?突然走り出して?なんかあるんか?」


眼が虚ろなスプネリアはテラスの壁にもたれていた

だが、プルーニャはスプネリアに気づかぬまま

テラスから見える風景に見とれていた

そして、いつものように歌い出す


…出会いの時の…瞳…微笑みも…

まだ…鮮やかによみがえる

鬱蒼とした庭の木々も…





何かに憑りつかれたように、

軽度のトランス状態に陥ったプルーニャの口から紡がれる旋律は、

いつものように明るく楽しい気持ちとは程遠く

忘却の彼方に封印していた記憶を呼び覚ましていく


歌声が耳に届いた瞬間、覚醒したスプネリア

静かにプルーニャに近寄り、抱きつき首筋を舐める

スプネリアの舌の感触に、瞬時に我に返るプルーニャ


「ひゃ!!ちょ、ちょっとスプネリアちゃん?!

う、うちはそんな趣味あらへんで!!

どないしたん??離してーな!!」


ビックリして必死に抵抗するが、

スプネリアの力が異常に強く振り払えない

まるで縄で縛られた様な感じだった


そのまま首筋に舌を這わせ、噛み付いて血を吸い始めたスプネリア


「……あ、あかん、よ…スプネリアちゃん……変だよ……?」


プルーニャの意識が遠のいていき、その場に崩れ落ちる

同時にスプネリアも意識を無くす


あまりの出来事にびっくりして走り出すハルミちゃん


「にゃにゃにゃにゃにゃ…💦」


セルダの元に駆け寄り非常事態を伝えるが、猫語になってしまい

要件が伝わらない


「ハルミちゃんどした?プルーニャと一緒に元老院に行ったんじゃ…!

もしかして何かあった?!」


ハルミちゃんを抱き上げ魔法陣で元老院に向かう




「ラァードル!プルーニャ来てるはずなんだけど

知らない?…て、どした?様子が違うじゃんね。

なんかあった?スプネリアちゃんは!?」


「セルダ!! スプネリアが朝から見つからなくて…ごめん

プルーニャちゃんには気がつかなかったんだけど……

もしかして、2名に何かあったのかな?!」


ラァードルとセルダの戸惑いに業を煮やし、ハルミちゃんが高らかに

「ニャー!!」と鳴いて、彼らをテラスに導いて行く


テラスの死角になる場所にスプネリアとプルーニャが倒れていた

ラァードルとセルダはすぐさま駆け寄る。


だが、ラァードルはスプネリアに近づいた途端、

ある違和感を感じ取る


「セルダ……ちょっと確認するけど

ここに倒れてるスプネリアは、本当のスプネリアかな……?」


「ん?ラァードル?本当のって……?

ここにいるのはスプネリアちゃんじゃ……?

とにかく、今は彼女たちをこのままにはできんじゃんね?!」


「そ、そうだね……ミル、この2名を部屋の中に運び入れるから

ベッドの用意して!!」


「畏まりました!すく御用意します!!」


ベッドに寝かせた時、魔法陣が現れ、ベルデが姿を見せた


「ラァードル、ごめんね…なんか気になる波動を感じたから

確認しに来たんだけど……」


「ベルデ!ちょうど良い所に来てくれた!

ちょっと2人を診てやってくれないか?!」


「分かった…プルーニャちゃんは……軽い貧血かな。

このまま寝かせて置けば大丈夫だよ。

で、スプネリアちゃんの方は……」





 
 
 

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