top of page

交錯


やがてイベントは閉会となり

イザマーレの屋敷で盛大な打ち上げが催された


大活躍だったシューゾウとラドル、

最高魔軍の構成員とダンケルを交え

乾杯を交わし、お互いを称え合う



「ウエスターレン、ちょっと良いかな。シューゾウの事で」


将来に向けて、真面目に考え始めた息子、シューゾウを連れて

セルダがウエスターレンに話しかける


「ん?おお~。お前、今日は大活躍だったな。お疲れ!!」


セルダの影に佇むシューゾウを見て、

ウエスターレンは八重歯を覗かせながら、にこやかに笑いかける


「なかなか、見上げた心意気じゃないか。

腰抜けの貴族魔どもより、余程信頼のおける魔材といえるな」


「!…///////」


憧れの悪魔、ウエスターレンの言葉に目を輝かせ

顔を赤くしながら、真剣なまなざしを見せるシューゾウ


「性根を腐らせず、よくここまで成長したな。

リリエルも、お前やラドルの雄姿を見て、喜んでいたんだぞ」


「!!」


ウエスターレンの言葉に驚いたシューゾウ

思わず、感極まり男泣き。手近にあったおしぼりに顔を埋めて号泣する




「あら、シューゾウくん、大丈夫?」


「!!///////」


そこへ、料理を運んできたリリエルに声をかけられ、固まる


「今日は大活躍だったね。お疲れ様♪」

にこやかに微笑むリリエル。


リリエルの顔をまともに見る事は出来ず、

目を逸らしながら、リリエルの手元から

替えのおしぼりを受け取り、再び顔を埋めるシューゾウ


「ま、有能な魔材が増える事は、我々にとっても財産だからな」


そんな修造の頭を撫でてやり、

ウエスターレンはイザマーレの元へ向かう


イザマーレはソファに座り、ダンケルと談笑していた

ウエスターレンに連れてこられたシューゾウを、

ダンケルも興味深く見つめる


「なんだ、お前。リリエルなんかを狙ってたらしいな。

あんな怖い女のどこが良いのだ?」


「なっ……」


思いもよらぬダンケルの言葉に固まるシューゾウ


「ダンケル、お前、ほんと分かってねーな。事によっては

お前にとって最大のチャンスだったかもしれないんだぞ」


ニヤニヤ笑うウエスターレンに、不機嫌さを隠そうともしないダンケル


「…ふん💢そう上手く行くわけあるまい

おい、お前。もう少し周りにも視野を広げるべきだぞ。

ダイヤの方が数倍可愛いではないか」




1魔、息巻くダンケルに返答はせず

グラスに口をつけて、遣り過ごすイザマーレ

ウエスターレンもやれやれと呆れ顔だ


そんなやり取りを見て、大魔王の不安定さを感じ取るシューゾウ

今の大魔王陛下を支えているのは、副大魔王イザマーレなのだ


魔界全般における雑事を全て取り計らい、

悪魔軍を率いて夢幻月詠としての責務も担う。

その上、ダンケルの横暴とも言える尻拭いに奔走させられ

魔界一多忙で有名なイザマーレ。


その為、リリエルとの時間を作るのも至難の業なのだと

養母プルーニャがLily‘sたちと話していたのを聞いたことがある


そして、そんなイザマーレを全力でサポートし続けているのが

ウエスターレンとリリエルなのだ


であれば…大魔王陛下の元で粉骨砕身に働くことで

イザマーレに少しでも時間のゆとりが生まれ

少しでもリリエルがイザマーレの傍にいられるようになるのだろうか…


漠然と、魔宮殿への就職を考え始めたシューゾウである




イザマーレたちの様子に気を配りながら

リリエルはキッチンで食器を洗っていた

その時、奥の扉が開き、ベルデと裕子がソラと手を繋いで入ってきた


「あら?いらっしゃい♪」


「リリエルちゃん、ごめんね。

ソラちゃんの館で昼間のイベントをビデオ上映してたんだけどね」


「ソラ様も、皆さ魔のところに行くって言い出して…/////」

手を繋いだままニコニコしているソラの髪を撫でる裕子


「そうだったのね(*´艸`*) ソラちゃん、いらっしゃい。

皆さんのところに行きましょうね」


「わーい(*^▽^*)」


嬉しそうなソラと一緒にリビングに向かうリリエル




「サムちゃま~(≧∇≦)♪♪」


リビングに響く可愛らしい声に、一同振り向く


「どうした、ソラ。ビデオ上映は楽しかったか?」

抱きついてきたソラを膝に乗せ、髪を撫でるイザマーレ


「はい!!サムちゃま、カッコ良かった~(≧∇≦)

シューゾウ兄ちゃまも頑張ってた~♪♪」


素直に喜ぶソラに、自然と笑顔になる




「そうかそうか。ソラちゃん、おいで。抱っこしてやるぞ♪」


途端に目尻を下げ、メロメロになるダンケル

ふんわりと抱っこされながら、ニコニコと嬉しそうなソラ


「ダンケルしゃま…ソラも、シューゾウ兄ちゃんみたいに

学校に通ってみた~い(*^▽^*)」


「そっか…ソラちゃんも3歳だもんね。

イザマーレもウエスターレンも、考えてみたら?」


「そうだなあ…」


ダンケルとソラのやり取りを聞きながら、提案するベルデに

イザマーレとウエスターレンも思案顔だ


「ソラちゃん。向こうで遊びましょう。おいで。お菓子もあるよ」


「あ、は~い♪」


ソラの手を引き、促すシューゾウに、素直について行く彼女


「…何せ、もう少し仲魔が増えた方が良いだろうな。

期待しておるぞ、お前たち♪」


ワイン片手に優雅に微笑むダンケル


(…お前もな!!)

心の中で総ツッコミを入れる構成員たち………





 
 
 

最新記事

すべて表示
校長のサロン

「理栄先生!!本当ですか…!!」 噂を聞きつけたスプネリアとリリア、ムーランの3名が駆けつけると 同じように見に来ていたプルーニャ、ダイヤと出くわす 「あら?早速、いらっしゃったわね♪お疲れ様です♪」 理栄がニコニコと微笑んで出迎える...

 
 
 
魔鏡学園

「イザマーレ、お帰り…っておい」 副理事長室で待ち構えていた守衛ウエスターレンが、一瞬固まる 「…浮気か?」 ニヤッと目を細めるウエスターレン 「ウエスターレン…馬鹿な事を言うな」 言葉とは裏腹に、静かに笑みを浮かべるイザマーレ 「あ、あの…」...

 
 
 
交錯

生徒会室で眼光鋭くモニターチェックしながら 紫煙を燻らせていたウエスターレン 突如、一番手前にあるモニターが光を放ち、画面にノイズが走る すらっとした指先を巧みに動かし、相手からのメッセージを受け取る 「…マジか。了解した。」 軍服を着こみ、すぐさま部屋を後にする …………...

 
 
 

コメント


©2022 by 里好。Wix.com で作成されました。

bottom of page