喧嘩
- RICOH RICOH
- 2024年11月19日
- 読了時間: 4分
最近バサラの動きが気になって仕方がない...
ウエスターレンは報告書を持って眉を潜め考えながら歩いていた。
何故か最近バサラがイザマーレに近付いている。
イザマーレの教室に仕事の用事で行ったのに、
バサラがイザマーレに馴れ馴れしく触ったりしている。
俺が来てるのに話も止めやしない。
何なんだ?それにしても楽しそうに話している。
やたらとイザマーレに触ってはケタケタ笑って話して俺の入る隙間がない
イザマーレもニコニコして楽しそうに…。
何だよ!すこぶる気分が悪い…。
イザマーレは俺の事どう思ってるんだよ!恋魔なのに…。
ため息付きながら生徒指導室に戻っていた。
しかし思いがけない光景を目にしてしまったのだ。
その時、バサラがイザマーレと魔力の防衛練習をしていた。
バサラは青く光る魔力、
イザマーレは赤く光り輝いている魔力をぶつけ合っていた時…
イザマーレが手加減してぶつけたつもりが
バサラはイザマーレの魔力を防げず跳ばされ倒れた。
さすがにウエスターレンも助けに行こうとしたが…
「バサラ!!すまん!大丈夫か!」
イザマーレは焦りながらバサラの倒れてる場所に行きしゃがみこんだ。
「…いたたぁ…さすが!魔界の副大魔王だね…」
バサラは倒れたまま言った。
イザマーレは申し訳なさそうにバサラの手を取り
起こしてやろうとした、その時だった。
バサラが腕を引き、イザマーレにキスをしたのだった。
イザマーレも嫌がる様子を見せない。
正直ショックだった。
気が付かぬうちに怒りが込み上げ
背後から真っ赤な炎のオーラが出ていた。
イザマーレは気が付いていたが、振り返りもしなかった。
「バサラ?なんのつもりだ?」
イザマーレは困った顔をしながら言った。
「…イザマーレの事好きなんだ。」
バサラはイザマーレを抱きしめた。
「悪いな…バサラ…吾輩は大切な戦友としかみれない。
好きでいてくれるのは有難いが…。」
優しく語りかけてバサラを見ていた
「…もしかして好きな悪魔でも居るのか?
そうならハッキリ言ってくれ!」
バサラは諦めが付かず聞き返してくる。
「…それは…」
イザマーレは迷っていた。
バサラは今にも泣きそうな顔でイザマーレを見詰めている
「それは私だよ。バサラ」
「殿下!?」
イザマーレとバサラは同時に言った
「イザマーレもバサラも、私に忠誠誓っただろう?
だからイザマーレは私に一途なのだよ。バサラ…だから諦めなさい!」
微笑んでバサラを嗜めた。
ダンケルはイザマーレが困っている気配を感じ取り姿を現したのだ。
バサラはガッカリしながらも頷いて事は済んだのだが…
ウエスターレンが一部始終を見ていたので
イザマーレは更に頭を悩ませた。
その夜、イザマーレはウエスターレンの事が心配になり、
ウエスターレンの館に行った。
案の定執事に会えないと断られた。
仕方なく一旦自分の屋敷に戻り
真夜中に魔法陣を使いウエスターレンの居る部屋に行った。
「…?イザマーレ閣下、真夜中ですが。何の用?」
ウエスターレンが大体怒ってる時の口調だった。
「…日中にバサラとキスをしているような方とはお話はありません。
俺が居たの分かってたくせに!振り返りもせずに!」
完璧に焼きもちを焼いている
「…振り返ったらバレてしまうだろ?バサラに…。
恋魔とバレた方が良かったのか?」
にこやかにイザマーレは言った
「もうバサラは吾輩の事は諦めた。心配ないさ。
殿下も手助けしてくれたし、今まで通りあいつは戦友だ。」
「…いつもバサラと話して楽しそうにしてたからさ…」
「吾輩はウエスターレン、お前だけで良いのだ」
イザマーレの言葉に反発するように
「…信用できないな。口先なら何とでも言える……
お前が俺の事どれだけ愛してるのか、形で教えろよ!」
「!」
一瞬の静寂
つい、怒り任せに荒っぽく言葉を投げつけた瞬間
ハッとして、振り返る
案の定、その場に立ち尽くし、
視線を泳がせ俯いたままのイザマーレに、心が抉られる
「…イザマーレ…すまない、今のは…」
「あ…いや、良いのだ。そうだよな。
吾輩は、お前に罵られて当然なんだ。
信じるも信じないも、まず吾輩自身が分からんのだからな」
「…っ、イザマーレ…」
堪らず近寄り抱きしめるが、頑なに身体を強ばらせ
拒もうとする
「…すまなかったな。もう…良いから」
「イザマーレ!!」
視線を反らしたまま、離れるイザマーレに焦燥感を募らせる
だが、その腕を掴もうとするウエスターレンの手をすり抜け
立ち去ってしまった
(あいつ!……バカ野郎!)
すかさず居場所を探すが見つけられない
ウエスターレンの透視能力を持ってしても
完全にオーラを消し去ったイザマーレの気配を探し出すことは
不可能なのだ
「…くそっ」
後悔と憤りに、己を焼き尽くしたい衝動に駆られながら
軍服の上着を着込み、部屋を飛び出していくウエスターレン
思い当たる場所に直接足を運ぶが見当たらない
ついには邪眼を開放し、ようやく馴染みのあるオーラを察知する
(…なるほど。見つからないのも当然だったか…)
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