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屋敷


地下にある生贄用の部屋で

ダンケルがラディアを拷問にかけている様子を

じっと観察しているイザマーレ


セルダに引き渡した後、暫くしてから頼まれたのだ


「どうやらコイツ、心と裏腹な事しか言わんね。

面倒だから、閣下にお願いしてもいい?」


手足を縛り付け、衣服を剥ぎ取り、事に及ぼうとした直前

「世に珍しいフェアリー族とは、興味深い。イザマーレ、私にやらせろ♪」

と、ダンケルからの厳命を受けたのだ


一見、逆らい続け、暴れているが

ダンケルの指先で敏感な部位を軽く攻めただけで簡単に屈し

淫らに啼き始めるラディア

その最中に、真相心理など簡単に読み取り

彼女こそが事件の首謀者であると確信するイザマーレ


(…ガッカリだな。フェアリー族とは、こんな程度か…)


冷めた目で見透かしているイザマーレにさえ気づかず、果て続けるラディア


(……)


淡々と事が過ぎ去り、何の感慨もなくシャワーを浴びながら

イザマーレの脳裏によぎる風景


(あいつも…同じなんだろうか…)




その後の調査で、フェアリー族の一派はラディアを除き

ひとり残らず消滅したと、ウエスターレンから報告を受けていた


「…ひとり残らず?」


「ん?どうかしたか?イザマーレ…お前の力の前に

抗える輩などいるものか。いつものことだろ」


思わず聞き返したイザマーレを抱き寄せ、目を細めるウエスターレン


「…じゃあ、あいつは…」


イザマーレの呟きを聞きかじり、補足するウエスターレン


「俺様の調査能力を疑うのか?純粋なフェアリー族は、という意味だ

お前の脳裏に棲みつく彼女は、異世界から入り込んだ種族のようだな」


「!…」


見透かされていた事に気づき、目を泳がせながらも

どこかストンと腑に落ちるウエスターレンの言葉に、じっと考え始める


「…というより、フェアリー国そのものが、傀儡であった可能性は?」


大地の再生を願い、涙で震えていた彼女の姿は

一国の領主と思える程の高潔さを纏っていた


天界と裏で手を組み、魔界へ侵略するなどという企てを

彼女が意図したとはどうしても思えないのだ


イザマーレにより、破壊された街並みや

荒れ果てた大地に涙を流していたが

処刑した一族に対しての恨みを感じる事はなかったからだ




「……」


ふと、窓から夜空を眺める

今宵のような月光の下、相変わらず瓦礫に埋もれながら

過ごしているのだろうか…


正真正銘、たった1名で、耐えがたい孤独の中…


思いを馳せている内、Anyeの様子が気になるが

綺麗な瞳で未来を見据え、静かに笑みを浮かべる


(迎えに行かずとも、姿を見せに来るだろう…吾輩の命を狙いにな)




 
 
 

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