忘却
- RICOH RICOH
- 2024年10月28日
- 読了時間: 2分
ベッドの上で天井を見上げボーっとしているスプネリア
そこにベルデが声をかけながら様子を伺う
「えっと、スプネリアちゃん?具合はどうかな?」
ベルデの呼び掛けにゆっくり振り向くがその目には生気がない
「……貴方はどなたですか?スプネリアって私の事なんですか……?」
「うん、そうだけど……今までの事何か思い出せる?」
しばらく沈黙が続いた後、ぽろぽろと涙が零れ出す
「……何も思い出せない、分からない……ごめんなさい……
頭が痛い……」
「そっか、判った……今は横になって、もう少し休もうか?
僕は医者だから安心して。そして、ここにいるのは皆
貴女の味方だから。ね?」
そう言われ少し安心したようだが、不安の色は隠せない
スプネリアの様子を心配そうに見つめるしかないラァードル
やがてベルデの魔法が効いて、眠りにつくスプネリア
「ベルデ、スプネリアは……?」
「多分、記憶喪失だと思う。記憶喪失は僕の力だけでは治せない……
ラァードル、いいかい?君がしっかり支えてあげないと駄目だよ」
「……うん、判った」
「殿下。今だけスプネリア様をお借りしますね。私が見ておりますから」
部屋の外から様子を伺っていたリリエルは、
務めていつもと変わらない笑顔でラァードルを促す
そして、眠りについたスプネリアの髪を整え、そっと手を握る
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