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朝―


キッチンでいつものようにコーヒーを淹れるリリエル


リビングでは、その日刊行される情報誌のラボを軽くチェックしながら

紫煙を燻らせるウエスターレン


朝食の支度をするリリエルを抱きしめキスをして、

テーブルに向かい、席に着くイザマーレ

勿論、副大魔王として煌びやかな装いだ


3魔分の朝食をワゴンに乗せて、リリエルがリビングに姿を現し

一緒に食べ始めた、ちょうどその時…


突然ベルが鳴り、激しく扉を叩く音がする


「? こんな時間に誰だ?」


至福の時間を邪魔され、若干苛立ちを募らせるウエスターレン

不思議に思いつつ、リリエルが扉を開ける


「は~い…あら?ミルさん…こんなに早く、どうなさいましたか?」


そこに居たのは、イザマーレのお膝元、枢密院で

職務を遂行しているミルだった

ゼーハーと息を切らしながら青褪めた様子に、

リリエルは首を傾げて声をかけるが、答える事も儘ならないようだ


「はあっ…はあっ…り…リリエル様…も、申し訳ありませんっ あの…

副大魔王様にお取次ぎ願えますでしょうか…」

息も絶え絶えに、何とか言葉を絞り出すミル


すぐにイザマーレがリリエルの後ろに姿を現した

「ミル、落ち着け。どうかしたのか?」




「副大魔王様!!申し訳ありません!!

実は、枢密院で管理しているサーバーが

ダウンしておりまして…諸々調べておりましたら

大変な事が発覚しましたっ」


リリエルがそっと差し出したお茶を、ぐいっと飲み干し

ようやく息をつくミル


「どうやら…本日は、王都の中央省庁すべての機能が停止しております」


「どういう事だ?」


「…💦…大魔王陛下ご夫妻が、

お出かけになってしまわれたようです…💦」


「はあ?あいつらの休暇申請など、なかっただろ?」

眉をひそめるウエスターレンに何度も頷き、さらに説明を続けるミル


「私もまさかと思い、魔宮殿に仕える旧知の悪魔に探らせましたところ

お后様のお部屋にあったカレンダーに、このような印が…」


“エイプリルフールに陛下とお出かけ~♪”


「………」

全てを悟り、げんなりとした表情で

目配せし合うイザマーレとウエスターレン


「あいつら…どうせ、ダンケルの事だ。

『エイプリルフールとは、みんな休んでも良い日の事だろ?』とか

言いやがったに違いないな」


「…どうしたら、そんな間違った解釈ができるのだ?」

流石のイザマーレも、頭を抱える




「…と…とにかくですね…

魔宮殿にある主電源を入れていただけませんと

今日一日、我々は何もすることが出来ないんです…💦💦」


もはや泣き出しそうな勢いのミル


「そうか。すまなかったな。仕方がない。それは我々が何とかしよう。

ミル。各省庁への連絡を頼んでいいか?

オンラインで不具合が起きている場合は、必ず手書きのメモを残し、

吾輩に伝えよと」


「は、はい!!…申し訳ありません💦 よろしくお願いいたします💦💦」


「リリエル、すまないが…」


「すぐに行きましょう!!」


ミルとイザマーレの会話を聞きながら

リリエルは朝食の残りを手早くタッパーに詰め込み、急ぎ仕度を整える


「イザマーレ、俺も行く。どうせ情報局も

このままじゃ、何も出来んだろうからな」

ウエスターレンも急ぎ、軍帽を被り、煙草を握りつぶす


「よし。行くぞ」


リリエルを抱き寄せ、魔宮殿へ瞬間移動する


 
 
 

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