朝―
- RICOH RICOH
- 2024年11月19日
- 読了時間: 3分
キッチンでいつものようにコーヒーを淹れるリリエル
リビングでは、その日刊行される情報誌のラボを軽くチェックしながら
紫煙を燻らせるウエスターレン
朝食の支度をするリリエルを抱きしめキスをして、
テーブルに向かい、席に着くイザマーレ
勿論、副大魔王として煌びやかな装いだ
3魔分の朝食をワゴンに乗せて、リリエルがリビングに姿を現し
一緒に食べ始めた、ちょうどその時…
突然ベルが鳴り、激しく扉を叩く音がする
「? こんな時間に誰だ?」
至福の時間を邪魔され、若干苛立ちを募らせるウエスターレン
不思議に思いつつ、リリエルが扉を開ける
「は~い…あら?ミルさん…こんなに早く、どうなさいましたか?」
そこに居たのは、イザマーレのお膝元、枢密院で
職務を遂行しているミルだった
ゼーハーと息を切らしながら青褪めた様子に、
リリエルは首を傾げて声をかけるが、答える事も儘ならないようだ
「はあっ…はあっ…り…リリエル様…も、申し訳ありませんっ あの…
副大魔王様にお取次ぎ願えますでしょうか…」
息も絶え絶えに、何とか言葉を絞り出すミル
すぐにイザマーレがリリエルの後ろに姿を現した
「ミル、落ち着け。どうかしたのか?」
「副大魔王様!!申し訳ありません!!
実は、枢密院で管理しているサーバーが
ダウンしておりまして…諸々調べておりましたら
大変な事が発覚しましたっ」
リリエルがそっと差し出したお茶を、ぐいっと飲み干し
ようやく息をつくミル
「どうやら…本日は、王都の中央省庁すべての機能が停止しております」
「どういう事だ?」
「…💦…大魔王陛下ご夫妻が、
お出かけになってしまわれたようです…💦」
「はあ?あいつらの休暇申請など、なかっただろ?」
眉をひそめるウエスターレンに何度も頷き、さらに説明を続けるミル
「私もまさかと思い、魔宮殿に仕える旧知の悪魔に探らせましたところ
お后様のお部屋にあったカレンダーに、このような印が…」
“エイプリルフールに陛下とお出かけ~♪”
「………」
全てを悟り、げんなりとした表情で
目配せし合うイザマーレとウエスターレン
「あいつら…どうせ、ダンケルの事だ。
『エイプリルフールとは、みんな休んでも良い日の事だろ?』とか
言いやがったに違いないな」
「…どうしたら、そんな間違った解釈ができるのだ?」
流石のイザマーレも、頭を抱える
「…と…とにかくですね…
魔宮殿にある主電源を入れていただけませんと
今日一日、我々は何もすることが出来ないんです…💦💦」
もはや泣き出しそうな勢いのミル
「そうか。すまなかったな。仕方がない。それは我々が何とかしよう。
ミル。各省庁への連絡を頼んでいいか?
オンラインで不具合が起きている場合は、必ず手書きのメモを残し、
吾輩に伝えよと」
「は、はい!!…申し訳ありません💦 よろしくお願いいたします💦💦」
「リリエル、すまないが…」
「すぐに行きましょう!!」
ミルとイザマーレの会話を聞きながら
リリエルは朝食の残りを手早くタッパーに詰め込み、急ぎ仕度を整える
「イザマーレ、俺も行く。どうせ情報局も
このままじゃ、何も出来んだろうからな」
ウエスターレンも急ぎ、軍帽を被り、煙草を握りつぶす
「よし。行くぞ」
リリエルを抱き寄せ、魔宮殿へ瞬間移動する
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