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疑惑


元老院の裏庭に佇む、角の生えた悪魔

リリエルの生い立ちの秘密を知ってから、

毎日のように訪れ、自身の研究に明け暮れる。

いつしかそれが日課になっていた


「…おや?」


昨日までなかった光景に、首をかしげる


「……」


寡黙に考え込んでいるのか、何も考えていないのか

それすら周囲の者は分からない

容易く胸の内を覗かせるようなミスは犯さない


ベルデがここに来ると必ず張り付いてくる、

姿を隠した目玉蝙蝠に、やはり穏やかに問いかける


「君は知ってた……?」


「もちろんだ。俺を誰だと思ってる?」


声だけで、紫煙の香りが漂うような気がしてくる

応じた悪魔に笑いかける


「じゃあ、心配はいらないね。ウエスターレン」


「いや…今回は少し厄介だ。

お前にも頼みがある。3分後、文化局で落ち合おう」

そう言って、交信は途絶えた


「……やれやれ。仕事の鬼なんだから(笑)」


ため息を付きながら、呟き終わる数秒の間に姿を消し

3分後、時間ピッタリに現れたウエスターレンに

ベルデは淹れ立てのハーブ茶を差し出した



 
 
 

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