結実
- RICOH RICOH
- 2024年11月25日
- 読了時間: 2分
ログハウスで一夜を明かしたイザマーレとAnye
照れくさくて目を反らしながら、腕の中から抜け出し
キッチンに向かうと、そこに居た、もう一つの影に目を瞠る
丸太椅子に、窮屈そうな長い脚で、眼光鋭く紫煙を燻らせる
紅蓮の悪魔…
「よお!お目覚めか?」
「…あ、あの…貴方は…?」
固まりつつ、声を絞り出して問いかける
後ろからAnyeの髪をポンと撫で、嬉しそうに出迎えるイザマーレ
「ご苦労だったな、ウエスターレン♪」
「イザマーレ、おはよう💕お前の指示通り、肉やら魚やら
見繕って調達したぞ。なに、火なら俺様が居れば事足りるよな♪」
「…あ、あの……?」
自分を置いてきぼりにして、サクサクと物事を進めていく2魔に
戸惑ったままのAnye
大量の荷物をログハウスの中に運び込みながら
そんなAnyeに笑いかけるイザマーレ
「お前が休戦中というなら…無理に貶める必要もない。
それなら、困ってる相手に手を差し伸べたって、何ら問題はなかろう♪」
「……」
「Anye、突っ立ってないで、
ウエスターレンにもコーヒーを淹れてやってくれ。
吾輩は、砂糖なしで頼むな♪」
「!…は、はい…お待ちくださいね」
意味が分からず、固まっていたAnyeは、ようやくハッとして
薬缶でお湯を沸かし始める
「ふ~ん…魔法は使わんのか。一度、目の前で見てみたかったけどな♪」
「////……ち、違いますよ!!そう毎回、魔法でズルなんかしませんからっ💦」
何となく分かっていたが、全てを見透かされていた事に
改めて真っ赤になりながら、プンスカし始めるAnye
そんなAnyeの様子を笑顔で見守りながら
目配せし合うイザマーレとウエスターレン
「それはそうと、今日はこの後、ベルデも構成員の奴らを引き連れて
陣中見舞いに来るそうだ。イザマーレ、お前の公務の間、
姫君の御守は彼らに任せればいい」
「! そうか…有り難いが…」
言葉を濁らせるイザマーレを抱き寄せ、目を細めるウエスターレン
「お前だけの宝にしたいだろうがなあ…もう少し、辛抱しろ♪」
「……」
Anyeの手前、わざとらしくおどけてみせるウエスターレンに
遠くない未来を見据え、真剣なまなざしを向けるイザマーレ
魔界から遠くはなれた土地に、誇り高き最高魔軍が集結する
光と花…… 2魔のまどろっこしい追いかけっこが結実すれば
歯車が急速に回転を強め、物語が動き出す…
これもまた、運命…
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