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進言


仲の良い悪魔たちがそんな状況にあった頃、

元老院の執務室で働く副大魔王の元を訪れたベルデ。


「吾輩のところに来るなんて珍しいな。何かあったのか?」

大量の書類を捌きながら、迎え入れる。


「いやあ、閣下にいくつか伝えたいことがあってね」


「……先日のお茶会の茶番の事か?」



驚いたベルデはイザマーレを見る。

「…イザマーレ、知ってたんだね。その後、ウエスターレンの様子はどう?」


「…完全に元のあいつに戻ったな。」

少し顔を赤らめながらも、淡々と述べる。


「ダンケルから、ウエスターレンの最高魔軍の正式復帰と

情報局長官職の復帰の許可が降りたよ。

もう、何も心配いらないからね」


「!… そうか。何から何まですまなかったな。」


「僕のことなんか気にしなくていいよ。

それでね、これからのことなんだけど、

イザマーレ。ウエスターレンの事、愛してるんだよね?

その想いを、彼に伝えてあげてくれないかな。

言霊のことなら心配いらない。

ウエスターレンの魔力はもう完全に回復できているから。」


「!!」


…………

「伝えることは伝えたから、あとはイザマーレ次第だけど…」


「分かった。今回は面倒な役回りをさせてすまなかった。感謝する。」


「そんな、イザマーレが謝ることなんて。僕はただ…!」





突然窓硝子が割られ、飛び込んでくる物体

(目玉蝙蝠か)


[もしもし、聞こえてるかい?]

「バサラ、どうしたのだ?」

[実はねぇ、セルダが暴走しちゃって…ウエスターレンに]

その名前を聞いた途端、イザマーレは一瞬で姿を消した。



[行っちゃったか〜……]

「そりゃあ今のイザマーレにしてみればね。

それにしても、あの馬鹿猫はまた…」

[ベルデ、あまりあいつを苛めないでおくれよ。

あれでも可愛い相棒なんだ。]

「分かっているよ。バサラが止めてくれたおかげで

場はなんとか収まったんだろう?ありがとうね」

[お礼なんかいらないよ。朝から失礼したね。]

そう言うとパタパタと目玉蝙蝠は飛び立っていった。


「…後は、上手く事が進むと良いのだけどね。

こればっかりは、最後の賭けかな。」


ある強い願いを抱きながら、ベルデは重い腰を上げる。



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