邂逅
- RICOH RICOH
- 2024年11月18日
- 読了時間: 2分
やがて夜が訪れ
入所したばかりの新入魔たちは穏やかに眠りについていた
闇に溶け込むように、そびえ立つ魔木
夜空から月光が差し込み、その場に現れる金髪の怒髪天
『………』
「居心地はどうだ?」
無反応を決め込む霊魂に、短い言葉で問いかけ
そのまま話を続ける
「あの当時、リリエルがよく遊んでいた柿の木の手前に
香りの良い梅の木があった。」
『…!!……』
「吾輩が魂を浄化させ、プルーニャと共に人間界に降りた後
お前はずっと、あの梅の木に宿っていた。…吾輩が気づかないとでも
思ったか?」
『………』
何も答えずにいる相手に、悠然と微笑むイザマーレ
「お前は分かっているはずだ。
本当の拠り所はリリエルの中にある事を…
現に、リリエルが悪女として振る舞う時、
お前はいつでも、リリエルを手助けしていた。そうだろ?」
『…!!…////』
「…なにせ、言霊の効かない誰かさんと同じだからな。」
『…相変わらず、お人好しの悪魔ね。
別に、貴方の意思に従ったんじゃないわ。
遊び歩きに飽きて、ちょうど良い宿り木を見つけただけだもの…』
ニヤッと笑うイザマーレに
黙り込んでいた霊魂が動揺しながら思わず悪態をつく
「それでも構わないさ。吾輩がお前を見放す事は決してない。
お前が隠れんぼを望むなら、つき合ってやるまでだ。」
「…かっか…」
闇夜に伝わる微かな声に、マントを翻すイザマーレ
「…お前も一緒に来るか?」
『行かない!!また見限られても知らないわよっ』
思わずムキになり、苛立ちを露にする理恵に
ニヤッと笑いかけ瞬間移動で立ち去るイザマーレ
そして、屋敷の部屋で眠りから覚め、呼びかけるリリエルを抱きしめる
「リリエル…ここに居るぞ」
「………閣下、お出かけでしたか?」
腕の中で問いかけるリリエルの髪を撫で、微笑む
「ちょっとな。意地っ張りの誰かさんに会いにな♪」
「…?…」
キョトンとしながら微笑むリリエルを押し倒し、そのまま口唇を重ねる…
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