開幕
- RICOH RICOH
- 2024年10月29日
- 読了時間: 3分
ついに、最高魔軍の黒ミサツアーが開幕した
間違いなく半端なく素晴らしいステージングの数々…
鍛え抜かれた身体に、ほとばしる汗も艶っぽく
何十倍にも大きく見える副大魔王の真骨頂
夢幻月詠による魅惑の声が、会場全体を掌握していく
体の芯が揺れ動くほどのリズム、
荒々しくも華々しいギターの音色
心を許した者同士の弾けたトーク
その場にいる誰もが夢の時間に酔いしれる……
昼公演が終わり、会場外で
キャーキャーと盛り上がる信者たち
Lily‘sも、写真を撮ったり
グッズコーナーに何度も並んだり
各々、楽しい時間を満喫していた
いつの間にか夕刻になり、空が紺碧に鎮まりつつある
その中でふいに現れた、全身黒装束に身を包んだある者の姿に
その場にいた誰もがざわめき出す
気がついたダイヤは、弾けるような笑顔で抱きつく
「やっぱり来てたのね💕お久しぶり~」
ダイヤの声で、気がついたリリエルも振り返り、笑顔で会釈する
「こんにちは💕楽しみましょうね」
「…そうだね、リリエルちゃん。それに、ダイヤちゃんも
相変わらず元気そうだね✨今回はお近づきの印に
プレゼントを持ってきたんだ。受け取ってくれるかな?」
そう言って、小さなプランターを差し出す男
「ええっ、(*ノωノ)キャー!! もう、カッコイイことしちゃって~💕」
手渡されたダイヤは、何の疑問も抱かずはしゃぐ
同じように手渡されて、プランターに咲いている
コスモスの花を見た途端、ハッと気が付き
万感の思いを巡らせるリリエル
ダイヤに気づかれないよう、そっとテレパシーを送る
(…お久しぶりです。ミカエル様……)
リリエルからのテレパシーに気づいたミカエルは、
目を逸らしつつ、その場を離れて行く…
一方、楽屋で疲れを癒しつつ、
夜公演に向けて粛々と準備をしている構成員たち
禁欲生活を続けるイザマーレは
精神的にも研ぎ澄まされ、会場で起こるどんな些細な事も把握し
トラブルは最小限に抑え、無限大の夢空間を作り続ける
そんな副大魔王の解き放つオーラは、いつも以上に魅惑的で
実に扇動的に周囲の羨望を煽る
それは信者のみならず
構成員や悪魔軍666師団のスタッフも同じなのだ
性欲を封印した分、体力を補うのは食事でしかなく
普段から小食のイザマーレに、楽屋で控えるウエスターレンが
甲斐甲斐しく世話を焼く
「イザマーレ。いったんシャワーを浴びたら、少しでも食べておけ」
「ああ…すまないな。」
ウエスターレンから手渡された小ぶりの梅おにぎりを
モグモグ食べるイザマーレ
「…よし。食べたな。どうする?少し休むか?」
「いや…大丈夫だ。そこまでの疲労ではないからな。ありがとな」
そう言いながら、四股を踏み、全身のストレッチを続けるイザマーレ
「肌艶といい、声量といい、申し分ないじゃないか。
これなら、今回の黒ミサも成功間違いないな♪」
「…ふっ まだ始まったばかりだからな。
せめて、お前がステージ上に居てくれるなら、
ここまで追い込む必要もないだろうが…
格好悪い姿は絶対に見せられないからな♪
お前にも、それからリリエルにもな…」
そんな風に静かに笑うイザマーレを
穏やかに見守るウエスターレン
禁欲生活のあおりを喰らうのは、ウエスターレンも同じなのだが
乗り越えてきた年数が違う。
少しでもストレスを抱え込めば、それは暴走にも繋がりかねない
危うさの中、ただイザマーレと大事な構成員を支える役割に徹して
業務を遂行していくウエスターレン
楽屋を出て通路にあるソファに集う構成員やスタッフとも
気兼ねなく会話を繰り広げる
厳しさの中に、常に楽しむ気持ちを忘れない。
最高魔軍の時計が、刻一刻と針を進めていく…
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