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光の結実


セルダとセッションを終え、屋敷に戻ったウエスターレン


いつもなら、絶妙なタイミングで

リビングすぐ隣のリリエルの部屋の扉を開け

可愛らしい顔を見せに来る愛しい大悪魔。

だが今夜は静かな夜の帳に包まれていた


躊躇う事なく、その部屋の扉を通り抜け、中の様子を窺うと、

愛しい女を胸に抱き、満たされた表情で眠りにつくイザマーレ


枕元に腰かけ、その美しい金髪を優しく撫でる


(穏やかな良い寝顔だ。今夜は格別に嬉しい事でもあったのか…?)


その時、ベッドの端に置かれたままのノートPCのモニターが光を放つ

画面上では、リリエルが目を覚ました為、途切れたままの物語の続きが

繰り広げられていた


「!!」


それだけで、すべての事を察したウエスターレン


(そうか…やっとお前の描きたかった夢物語が結実したんだな)


せっかくの穏やかな眠りを邪魔しないよう

こみ上げる熱い想いに、溢れる涙を堪えながら

見守り続けるウエスターレン




副大魔王イザマーレによる夢台本の数々…


それは、あの事件で引き裂かれたままのLilyelが

リリエルとして生まれ変わるまでの10万年もの間

暇を持て余すほどの静かな夜に描き上げた作品集だったのだ


とくにこの「オペラ座の魔物」は

主人公のカッカトムに自らを投影させ、

リリエルと必ず再会し、その腕に抱く瞬間を思い描きながら

仕立て上げた最高傑作だった。


想像を絶するほどの孤独に抗いながら…





 
 
 

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