光の結実
- RICOH RICOH
- 2024年10月28日
- 読了時間: 2分
セルダとセッションを終え、屋敷に戻ったウエスターレン
いつもなら、絶妙なタイミングで
リビングすぐ隣のリリエルの部屋の扉を開け
可愛らしい顔を見せに来る愛しい大悪魔。
だが今夜は静かな夜の帳に包まれていた
躊躇う事なく、その部屋の扉を通り抜け、中の様子を窺うと、
愛しい女を胸に抱き、満たされた表情で眠りにつくイザマーレ
枕元に腰かけ、その美しい金髪を優しく撫でる
(穏やかな良い寝顔だ。今夜は格別に嬉しい事でもあったのか…?)
その時、ベッドの端に置かれたままのノートPCのモニターが光を放つ
画面上では、リリエルが目を覚ました為、途切れたままの物語の続きが
繰り広げられていた
「!!」
それだけで、すべての事を察したウエスターレン
(そうか…やっとお前の描きたかった夢物語が結実したんだな)
せっかくの穏やかな眠りを邪魔しないよう
こみ上げる熱い想いに、溢れる涙を堪えながら
見守り続けるウエスターレン
副大魔王イザマーレによる夢台本の数々…
それは、あの事件で引き裂かれたままのLilyelが
リリエルとして生まれ変わるまでの10万年もの間
暇を持て余すほどの静かな夜に描き上げた作品集だったのだ
とくにこの「オペラ座の魔物」は
主人公のカッカトムに自らを投影させ、
リリエルと必ず再会し、その腕に抱く瞬間を思い描きながら
仕立て上げた最高傑作だった。
想像を絶するほどの孤独に抗いながら…
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