top of page

滅びの宴


のんびりと曲作りをしていた構成員の元に現れる闇のオーラ


「なんだよ、ダンケル。お前もか…」

早々に気づいたウエスターレンが遠慮なく悪態をつく


「良いではないか♪その代わり、私に黙って女を匿うなどという

行為を、無罪放免にしてやる。それなら文句ないだろ♪」


嬉々として場を仕切り始めるダンケルに、

イザマーレも苦笑いで受け入れる


「勿論です。陛下、こちらに…」


丸太椅子にパラソルを立て、優雅に座るダンケル


「あの…ど、どうぞ…」

気まずそうにお茶を差し出すAnyeを繁々と見遣り

退屈そうに受け取るダンケル


「…なんか…調子狂うな(笑)」


「…え?」

キョトンと首を傾げるAnye


「…何度もミスして私を襲った事なら、忘れて良いぞ。

私を見てオドオドするお前など、不自然過ぎるからな(笑)」


大魔王とAnyeのやり取りを、ニヤニヤしながら見つめる構成員たち





その時…


薔薇の香りを漂わせ、真っ白な衣服を纏ったラディアが姿を現した

一目散に駆け込んできたため、息も絶え絶えになりながら

Anyeの姿を探し、視線を彷徨わせる



ダンケルの傍で、朗らかに談笑するAnyeを見つけた

自分に気がつき、見つめ返すAnyeの腕を取り

引きずるようにログハウスに連れて行くラディア


「はぁ…はぁ……っ 良かった…Anye、貴女はここで隠れていて!!」


「ラディア?ともかく、落ち着いて…どうかしたの?」


息苦しくて、まともに顔を見る事さえできない


「これだけは……思い出せてよかった…魔歴∞年、7の月…

そう。まさに今日。その事を…伝えに来たのよ」


「えっ?」


意味不明な言葉に、戸惑うだけのAnyeに

ようやく落ち着きを取り戻し

本来のまっすぐな視線で笑いかけるラディア


「Anye…ごめんなさい…許される事ではないと分かってる

でも…謝りたかったの…本当に、ご…」


「?…ラディア…?」


会話の最中、声が途切れたラディアに気づき、眉を顰める


「ラディア!!…ねえ…どうしたの、ラディア……っ……!!!!!」




ログハウスから響くAnyeの叫び声に

イザマーレが瞬時に現れ、強く抱きしめて

超強力な結界を張り巡らせる


カチッという音


ラディアの身体に埋め込まれていた爆弾が起動し大爆発を起こす


倒れたラディアの骸から何体もの天使が飛び出し

軽やかに歌い上げる


「ハレルヤ!!神の御代に栄光あれ!!」


「そうはいくかな…♪」


黄金の怒髪天に強いオーラを漲らせ、睨み付けるイザマーレ


華麗な体裁きで剣を振りかざし、天使を蹴散らしていく


「張りぼての椅子に安穏と座ったまま、てめえは何の苦労もせず

手足として無責任に生み出した我が子に、その罪をなすりつけ

挙句の果てに全てを亡き者にして、何もなかった事にすり替える

浅ましさ……永久の罪をその名に背負い、朽ち果てろ!!!!」


次々に消滅していく天使たち


上空から讃美歌が鳴り響き、次から次へと襲来する天使を

薙ぎ払っていく構成員




「……Anye、大丈夫か?」

「………」


無表情のまま、呆然と遠くを見ているAnyeを支え、

丸太椅子に座らせる


「…ふっ…まるで、あの日の様だな…」


出会った時の事を思い出し、微笑むイザマーレ


「すぐに終わるから、待ってろ。良いな…」

Anyeの髪を撫で、Anye自身にも強い結界を施し

ログハウスから飛び出して行くイザマーレ


(…やれやれ、キリがないな。)


圧倒的な力の前に、成す術もない天使だが

上空で鳴り響く讃美歌にすぐさま立ち上がり、

無意味な攻撃を繰り返すのだ


イザマーレは大地に剣を突き刺し、宙を仰ぎ見る


動きを止めたイザマーレに、猛然と襲い掛かる天使たち


「…来るぞ♪」


暗黒の空に響き渡る雷鳴

雷雲から伸びる稲妻が大地を突き刺す

水の流れのように煌びやかな旋律が走る


闇に怯え、震え出す無数の天使を


紅蓮の炎が焼き尽くす


……勝負は、一瞬でついた




その頃、乱闘を続ける構成員を後目に

天界に姿を現していた大魔王


「このまま、闘いが続けば、先は見えたも同然だな。

このまま我らの手に堕ち、天界諸共に消滅したいか?」


冷徹に微笑を浮かべ指先を動かす素振りを見せる


神は、忌々し気に睨み返しながら、震えを隠しきれずにいる


「それが嫌なら取引だ。ラディアを追放しろ。

私の元で自由に遊ばせてもらう」


「そ…そんな事ならお安い御用だ。良いのか?

あんな奴、使い物にならんぞ」


提案してきた交換条件に安堵しつつ

顔を歪めて嘲笑し続ける神を、冷徹に睨み付けるダンケル


「…実に醜い方程式だ…闇の彼方に消え失せろ!!!」


地上で蠢く天使の骸と共に、はるか上空まで飛ばされていく




 
 
 

最新記事

すべて表示
校長のサロン

「理栄先生!!本当ですか…!!」 噂を聞きつけたスプネリアとリリア、ムーランの3名が駆けつけると 同じように見に来ていたプルーニャ、ダイヤと出くわす 「あら?早速、いらっしゃったわね♪お疲れ様です♪」 理栄がニコニコと微笑んで出迎える...

 
 
 
魔鏡学園

「イザマーレ、お帰り…っておい」 副理事長室で待ち構えていた守衛ウエスターレンが、一瞬固まる 「…浮気か?」 ニヤッと目を細めるウエスターレン 「ウエスターレン…馬鹿な事を言うな」 言葉とは裏腹に、静かに笑みを浮かべるイザマーレ 「あ、あの…」...

 
 
 
交錯

生徒会室で眼光鋭くモニターチェックしながら 紫煙を燻らせていたウエスターレン 突如、一番手前にあるモニターが光を放ち、画面にノイズが走る すらっとした指先を巧みに動かし、相手からのメッセージを受け取る 「…マジか。了解した。」 軍服を着こみ、すぐさま部屋を後にする …………...

 
 
 

コメント


©2022 by 里好。Wix.com で作成されました。

bottom of page