滅びの宴
- RICOH RICOH
- 2024年11月25日
- 読了時間: 4分
のんびりと曲作りをしていた構成員の元に現れる闇のオーラ
「なんだよ、ダンケル。お前もか…」
早々に気づいたウエスターレンが遠慮なく悪態をつく
「良いではないか♪その代わり、私に黙って女を匿うなどという
行為を、無罪放免にしてやる。それなら文句ないだろ♪」
嬉々として場を仕切り始めるダンケルに、
イザマーレも苦笑いで受け入れる
「勿論です。陛下、こちらに…」
丸太椅子にパラソルを立て、優雅に座るダンケル
「あの…ど、どうぞ…」
気まずそうにお茶を差し出すAnyeを繁々と見遣り
退屈そうに受け取るダンケル
「…なんか…調子狂うな(笑)」
「…え?」
キョトンと首を傾げるAnye
「…何度もミスして私を襲った事なら、忘れて良いぞ。
私を見てオドオドするお前など、不自然過ぎるからな(笑)」
大魔王とAnyeのやり取りを、ニヤニヤしながら見つめる構成員たち
その時…
薔薇の香りを漂わせ、真っ白な衣服を纏ったラディアが姿を現した
一目散に駆け込んできたため、息も絶え絶えになりながら
Anyeの姿を探し、視線を彷徨わせる
ダンケルの傍で、朗らかに談笑するAnyeを見つけた
自分に気がつき、見つめ返すAnyeの腕を取り
引きずるようにログハウスに連れて行くラディア
「はぁ…はぁ……っ 良かった…Anye、貴女はここで隠れていて!!」
「ラディア?ともかく、落ち着いて…どうかしたの?」
息苦しくて、まともに顔を見る事さえできない
「これだけは……思い出せてよかった…魔歴∞年、7の月…
そう。まさに今日。その事を…伝えに来たのよ」
「えっ?」
意味不明な言葉に、戸惑うだけのAnyeに
ようやく落ち着きを取り戻し
本来のまっすぐな視線で笑いかけるラディア
「Anye…ごめんなさい…許される事ではないと分かってる
でも…謝りたかったの…本当に、ご…」
「?…ラディア…?」
会話の最中、声が途切れたラディアに気づき、眉を顰める
「ラディア!!…ねえ…どうしたの、ラディア……っ……!!!!!」
ログハウスから響くAnyeの叫び声に
イザマーレが瞬時に現れ、強く抱きしめて
超強力な結界を張り巡らせる
カチッという音
ラディアの身体に埋め込まれていた爆弾が起動し大爆発を起こす
倒れたラディアの骸から何体もの天使が飛び出し
軽やかに歌い上げる
「ハレルヤ!!神の御代に栄光あれ!!」
「そうはいくかな…♪」
黄金の怒髪天に強いオーラを漲らせ、睨み付けるイザマーレ
華麗な体裁きで剣を振りかざし、天使を蹴散らしていく
「張りぼての椅子に安穏と座ったまま、てめえは何の苦労もせず
手足として無責任に生み出した我が子に、その罪をなすりつけ
挙句の果てに全てを亡き者にして、何もなかった事にすり替える
浅ましさ……永久の罪をその名に背負い、朽ち果てろ!!!!」
次々に消滅していく天使たち
上空から讃美歌が鳴り響き、次から次へと襲来する天使を
薙ぎ払っていく構成員
「……Anye、大丈夫か?」
「………」
無表情のまま、呆然と遠くを見ているAnyeを支え、
丸太椅子に座らせる
「…ふっ…まるで、あの日の様だな…」
出会った時の事を思い出し、微笑むイザマーレ
「すぐに終わるから、待ってろ。良いな…」
Anyeの髪を撫で、Anye自身にも強い結界を施し
ログハウスから飛び出して行くイザマーレ
(…やれやれ、キリがないな。)
圧倒的な力の前に、成す術もない天使だが
上空で鳴り響く讃美歌にすぐさま立ち上がり、
無意味な攻撃を繰り返すのだ
イザマーレは大地に剣を突き刺し、宙を仰ぎ見る
動きを止めたイザマーレに、猛然と襲い掛かる天使たち
「…来るぞ♪」
暗黒の空に響き渡る雷鳴
雷雲から伸びる稲妻が大地を突き刺す
水の流れのように煌びやかな旋律が走る
闇に怯え、震え出す無数の天使を
紅蓮の炎が焼き尽くす
……勝負は、一瞬でついた
その頃、乱闘を続ける構成員を後目に
天界に姿を現していた大魔王
「このまま、闘いが続けば、先は見えたも同然だな。
このまま我らの手に堕ち、天界諸共に消滅したいか?」
冷徹に微笑を浮かべ指先を動かす素振りを見せる
神は、忌々し気に睨み返しながら、震えを隠しきれずにいる
「それが嫌なら取引だ。ラディアを追放しろ。
私の元で自由に遊ばせてもらう」
「そ…そんな事ならお安い御用だ。良いのか?
あんな奴、使い物にならんぞ」
提案してきた交換条件に安堵しつつ
顔を歪めて嘲笑し続ける神を、冷徹に睨み付けるダンケル
「…実に醜い方程式だ…闇の彼方に消え失せろ!!!」
地上で蠢く天使の骸と共に、はるか上空まで飛ばされていく
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