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猫の言霊


さて、人気者のチャラ猫、バサラムタガーには一名

心から慕う女猫がいた。バナザベラだ。その親友のメリグリー。

仲良しの2猫は場末でバルを営み、セクシーな装いで接客業をこなす

オシャレな彼女たちは、いつでも周囲の注目を浴び

バサラムタガーの熱狂的なファンからは

執拗な嫌がらせにも遭うこともしばしば。


そのバルに、いつもの常連客が訪れる。

リエシラバブとイザマレオールだ。


「リエシラバブちゃん♪いらっしゃい」

「メリグリー様、こんばんは~(≧∇≦)…あら、バナザベラ様は?」

「あ…うん、ちょっとね…💦」

「?」

含みを持たせたメリグリーに首を傾げるリエシラバブ。

店の奥から、着ている服をズタズタに引き裂かれた

バナザベラが出てきて、リエシラバブを見るなり

抱きついて泣き始める


「!!バナザベラ様…また?」

リエシラバブは眉を顰めて心配そうに見つめる


「酷いよね!!でも…あたしは絶対に負けたりしないわ!」

自分に言い聞かせるように鼓舞しながら、グラスを煽るバナザベラ


「うん…バナザベラ様…あまり飲み過ぎないでね…」

そんな彼女の髪を優しく撫でて寄り添うリエシラバブ


「リエシラバブ、こっちにおいで…」


静かに彼女たちのやり取りを見守っていたイザマレオールは

愛猫のリエシラバブを抱き寄せ、テーブル席に座る




カウンター席では、酔いつぶれたバナザベラに付き合い、

大好きなバサラムタガーの話題で盛り上がるメリグリー



彼女たちを遠目に眺めながら、

リエシラバブはイザマレオールの言葉を待つ

心配で仕方ないリエシラバブを引き寄せたのは、

きっと、とても大切な事を教えてくれるため。

そうに違いないからだ。


「幸福の姿は束の間に消える

永久の幸せを望むなら、心に深く求めるのだ…

そしてその思い出を辿って甦り、新しい形で生まれ変わった命こそ…」


「イザマレオール様…」


「永久に変わらず…永久に消えない。

リエシラバブ、お前と吾輩のように…」


イザマレオールに優しく髪を撫でられ、促されたリエシラバブは

そっと歌い始める


「月光…仰ぎ見て、思い出を辿り歩いて行けば…出会えるのですね」


心から嬉しそうに微笑むリエシラバブを抱き寄せ、

静かにグラスを傾ける


夜が静かに更けようとしていた





 
 
 

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