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猫の夢列車


本当は、飼い主のセルダがマキャ様なのが

妥当だとわかっているけれど、

なんとか交換こしてもらおうと企んでいるハルミちゃん


なぜならば、この夢舞台を始めた目的が

カッカトムにそっくりなマキャ様役をカッコ良く真似したい!

という乙女心からだったのだから…(笑)


今日も列車は順調に出発する。

客も各々くつろいでいたが、大半が雑談室に集まっていた。


セルンブルシャンクスは歓迎の言葉を述べる


「みなしゃま…」


さっそくカミカミのセルンブルシャンクスの耳に、

どこからか 「ぶふっ」っと笑いを堪えた声が聞こえた。


「こほん!皆様、本日も当列車にご乗車くださり、ありがとうございます。

終着駅まで、どうぞごゆっくりおくちゅろぎくだしゃい」


ゆっくりと頑張って話したが、最後の最後にまたカミカミに…


「わはははははは」と我慢出来ずに大笑いするエストラップの声が響いた。


その声を聞いた瞬間、セルンブルシャンクスは

エストラップの膝に飛び乗って胸をテシテシと叩いて訴える。


「しょうがいないじゃんね。

こんなにたくさんのお客しゃまたちがいたら、緊張するじゃん。

なんでそんなに笑うんよ!」


そう!たくさんのお客様の前なのだ!

お客様の前で、列車の責任者が乗客の膝に座り、拗ねて甘えている…

しかし、天然爆発中のセルンブルシャンクスはお構いなし。

乗客たちも慣れたもので、ニコニコとその姿を眺めている。





エストラップはセルンブルシャンクスの頭を撫でながら

「すまんすまん。そう怒るなよ。

可愛かったぞ、セルンブルシャンクス」と宥める。


エストラップに頭を撫でられて

機嫌が直ったセルンブルシャンクスは、調子に乗っておねだり

「本当に悪いと思ってるなら、後でセッションしてよ」


「いいぞ。お前の手の空いた時にでも声をかけてくれ」

と快く応じるエストラップ。


「やった♪」と喜ぶセルンブルシャンクス


その姿を物陰に紛れてじーーーーーと眺めるイザマージェリー …


そこへリボンタイをつけてスーツを着て出てくるハルミちゃん

「おあいては、ハルミちゃんにおまかせにゃ🐈🐾」


「えっ?じゃぁ、ハルミちゃん。それなら俺がマキャ、やってもいい?」

「だめだにゃ♪マキャ子はハルミちゃんがするニャ。 襲っちゃうじょ♪がおー」


ハルミちゃんの「がおー」の可愛さに悶えるセルンブルシャンクス

お喋りするとカミカミで笑われるので、

本当にお客様のお相手はハルミちゃんに任せ

セルンブルシャンクスは得意のギターでお客様のおもてなしを始める。


「それじゃワーって出来るのはハルミちゃんがやって、

シャンデリアを落とすのは、セルンブルシャンクスがやれば?」

と打開策を提案してくれるイザマージェリー


その間にセルンブルシャンクスとエストラップのセッションが始まった。


ハルミちゃんはリエリーザのお膝の腕で

リズムに合わせて尻尾をフリフリさせながらゴロゴロ♪

リエリーザの横では、イザマージェリーが無意識にリズムを取っていた。





「イザマージェリー様も参加されてはいかが?」

と優しく微笑みかける。


リエリーザに後押しされ、

イザマージェリーも早速セッションに加わり、その美声を響かせる


セルンブルシャンクスとエストラップのセッションは

幻の催しとして街で噂されていたが、

今宵はそこにイザマージェリーまで加わり、奇蹟の催しとなった


セッションの様子を眺めながら、リエリーザはふと聞いてみた。

「ハルミちゃん、みんなに驚いて欲しいのに

可愛いって言われてご不満かしら?」

「…格好良いって言って欲しいにゃ」

リズムに合わせて尻尾をゆらゆらさせながら、

リエリーザに答えるハルミちゃん


そこに歌い終えたイザマージェリーが戻ってきた。

喉を潤した後、イザマージェリーは

ハルミちゃんを撫でながら声をかける

「しかし、ハルミちゃんは本当に可愛いぞ。魔猫界1の可愛さだ」

「そうよ、ハルミちゃん」

イザマージェリーの言葉に同調するリエリーザ


「魔猫界1?!嬉しいにゃ(≧∇≦)」


どうやら、イザマージェリーとリエリーザの言葉は

素直に受け取るようだ。


やがて、割れんばかりの拍手の中、今宵のセッションは終了した。

ギターを手にハルミちゃんを迎えにきたセルンブルシャンクス。


「ハルミちゃん。この後は夕食の準備があるから手伝って。

ハルミちゃんがお客様の相手をしてくれるんだろう?」


その言葉にハルミちゃんはセルンブルシャンクスの腕によじ登り

「もちろんにゃ。セルニャンは先にシャワー浴びるにゃ。

汗かきすぎだにゃ♪でも、今夜も格好良かったにゃ」

と可愛らしい恋猫のような言葉をかける。





照れ隠しに苦笑いしつつ、ハルミちゃんを腕に抱きながら

客に挨拶をするセルンブルシャンクス

「皆様ありがとうございました。

お食事の時間になりましたら、お声をかけに伺います。

それまでごゆっくりなさってください」


噛まずに言えたセルンブルシャンクスに、何故か拍手が起こる。


複雑な表情のままセルンブルシャンクスとハルミちゃんは自室に戻る。

エストラップもギターを抱え、自室に戻っていった。



その姿を見たイザマージェリーも、

リエリーザを伴い、自分たちの部屋へと戻る。

部屋に着いた途端、イザマージェリーは突然ある事を思い出す


「あ!そうだ。忘れていた事があった。

リエリーザ、少し1猫にさせてしまうが構わないだろうか?」

優しくキスしながら尋ねる。

「もちろんですわ。私、お部屋の中をゆっくり探検しています」

と笑顔でイザマージェリーを見送るリエリーザ。


エストラップがシャワーを終え、

自室で寛いでいるとコンコンと扉がノックされる

扉を開けるとそこにイザマージェリーが立っていた。


「イザマージェリー…どうしたんだ?」


エストラップが尋ねても何も答えず、トコトコと部屋に入り込み

黙ってエストラップの膝の上に乗っかり、その逞しい胸に頬を寄せた。


長い睫毛を肌に掠め、

心の中まで覗かれそうな澄んだ瞳で見つめるイザマージェリー





突然のイザマージェリーの可愛い行動に

エストラップは動揺を隠せず、

顔を真っ赤にしながらあたふたしている。


自分が攻めるのは得意だが、

愛おしい相手から突然甘えられる事には

慣れていないエストラップ。


何とか体勢を立て直し、照れ隠しに悪態をつく

「おい、イザマージェリー!お前!

それ、俺の前以外では絶対にやるなよ!」


その言葉にプーっと頬を膨らませながらイザマージェリーが答える


「お前以外にする訳なかろう。

それならセルンブルシャンクスだけじゃなく

吾輩の事もナデナデしろ!」


「///////お前…本当に可愛い奴だな」

エストラップは呟き顔中にキスを降らせる。

「……♪」

エストラップとイザマージェリーは

密のような甘い甘い時間を過ごすのだった。


その様子を扉の隙間から見て、

瞳をキラキラと輝かせているリエリーザ。

そこにセルンブルシャンクスが通りかかったのだが、


リエリーザは「セルンブルシャンクス様♪グッジョブ(*^―゚)b」

と、セルンブルシャンクスを称えた


セルンブルシャンクスは何がなんだかわからないまま、

キョトンとした顔でサムズアップを返すしかなかった


月明かりの下、夜行列車の夜は更けていく…




 
 
 

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