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モーニングチ―?

夜通し走り続けた列車に、朝が訪れた


眠そうに眼をこすりながら、

セルンブルシャンクスは朝食のメニューを聞きに行く。


まずは特等席から。


特等席にはカッカトムとリエリーヌが宿泊していた

扉をコンコンとノックしたが返事がない。

セルンブルシャンクスは少し扉を開け


「カッカトムしゃま…こほん…

カッカトム様、リエリーヌ様…モーニングチーは…」


そう言いかけたセルンブルシャンクスの目に飛び込んできたのは

キングサイズのベッドですやすやと眠るカッカトムの寝顔

そろりそろりと足音を忍ばせて、そっとカッカトムの前に行くと、

跪いてカッカトムの顔を覗き込む


「睫毛長いんやね…カッカトム。そんなに無防備に可愛い顔をしてたら

悪い奴に襲われるじゃんね…」


カッカトムの頬に手を添え、そっと顔を近付け…ようとした時

突然襟首を掴まれ、後ろへと引っ張られた。


勢いのまま倒れた目の前に映ったのは…ウエスターレンの革靴

(なんでここに彼が?!)と驚いているうちに、

今度は腕を掴まれ立たせられた。

驚きのあまり何も出来ずにいるセルンブルシャンクスの

服についた埃を軽く払いながら告げる。


「セルンブルシャンクス。おはよう。お前も朝から大変だな。

カッカトムもリエリーヌも、モーニングティーは薄目で、

俺は濃いめで頼む」




「う…ウエスターレン…しゃま…」

驚きのあまり、いつも以上に舌が回らない

セルンブルシャンクスに、笑みを向けるウエスターレン。

「驚かせたか。でも、いたずらに手を出すと、

後で痛い目にあう事もあるから、気を付けろよ」


いつも通りのウエスターレンの筈だが、どこか鋭い気配を感じ、

セルンブルシャンクスはただ頷くしかない


「…美しい物には興味がわくじゃんね。」


「その美しいカッカトムは俺にとって至高の宝物だからな。

そう簡単に、他のやつには触らせねぇよ」


「ふふふ」


可愛らしい声がした方に目を向けると、

リエリーヌが優しい微笑みで立っていた。


「カッカトム様の可愛らしさに皆様が虜になるのはわかりますわ。

でも… 私にとっても何ものにも代え難い宝物。

残念ですが、諦めてくださいね」


少しの間流れる沈黙。


それを破ったのはセルンブルシャンクスだった。

「この列車で問題を起こす奴はこのセルンブルシャンクスが許さない。

カッカトム様の魅惑のオーラに、この俺が問題を起こしちゃダメだね。

大変失礼いたしました。ウエスターレン様は濃いめ

カッカトム様とリエリーヌ様は薄めで

ご用意させていただきます。しばらくお待ちください」


そう呟き、最後には列車猫の本来の仕事を遂行する為に

部屋を出て行った。


そんな喧騒など気にもせず、ぐっすり眠り続けるカッカトム




セルンブルシャンクスを見送った後、

ウエスターレンとリエリーヌは

安心して眠ってくれているカッカトムの姿を嬉しく思いながらも


「カッカトム…安眠出来るようになったのは嬉しいが、

もう少し危機感を持ってくれよ」

と呟き、その口唇に優しく愛を吹き込んでいく






 
 
 

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