秋の窓辺
- RICOH RICOH
- 2024年10月29日
- 読了時間: 1分
天界―
雑多な職務を捌き、宮殿の私室で寛ぐ大天使
ある事件の際に生じた壁の亀裂は
今もそのままの姿で己に言い聞かせてくる
喉を潤しながら、窓辺に立ち
カーテン越しに眺める
色とりどりのコスモスが辺りを埋め尽くすように
咲き誇っている
……あれから数ヶ月
乗り越えた苦難と、変わる事のない想いを胸に秘め
静かに微笑む
何かの折に出会う度、彼らはいつも変わらず
気さくに接してくれる
「……忘れろという方が無理だよな
ほんと、正真正銘、悪魔な奴らめ………♪」
……
「ミカエル。魔界の奴らが再び、我らの意向に歯向かい
黒ミサを企ててるらしいな。分かっておるだろうな⁉️」
何重にも上塗りした欺瞞の塊、ゼウスが
相も変わらず命じてくる
「……はいはい。」
力関係では、圧倒的に逆転している今
ゼウスに従う理由などないのだが、魔界の奴らと
公然と接触できる機会を逃す手はない。
「……手始めに、挨拶に行ってやるか」
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