花の処刑
- RICOH RICOH
- 2024年11月6日
- 読了時間: 2分
天界でLilyelの受ける仕打ちを透視しながら
怒りがこみ上げる。その度に、ヨッツンハイムの中に
イザマーレの最大級のエナジーが蓄積されていく
執拗な凌辱の果てに疲れ果て、泣き濡れながら
眠りにつくLilyelを見れば、慈悲の感情を取り戻し
持て余した余暇に 本音を吐露するだけの日々
そして、ついにその時が訪れる
刹那―
森羅万象のオーラが怒りに満ち溢れ
イザマーレにより強い魔力を注ぎ込む
理性を完全に失ったイザマーレは、
自身の解き放つ炎に身を焦がしながら爆ぜる
一度入り込めば最後
どんな力でも脱出する事など不可能とされたヨッツンハイムに
亀裂が生じ始める
その時
魔界の魔宮殿に可愛げもなく鎮座したまま
微動だにしなかった宝剣が
己の意思で飛び立ち、時空の狭間ヨッツンハイムに突き刺さる
内側からのイザマーレのエナジーと宝剣の力が合わさり
忌々しく覆い続けたヨッツンハイムの壁を一瞬にして破壊した
空前絶後の所業をやってのけたイザマーレだが
その胸に去来するのは、Lilyelの悲惨な末路
悲嘆にくれる中、視線の先に力を貸した宝剣を捉える
「…そなたのお陰か。どうせなら、もう少し早く
力を発揮したらどうなのだ……?」
思わず愚痴を零したくなるのは、我儘だろうか…
…いや、欲張り王子だな♪…
脳内で勝手に再生された紅蓮の悪魔の声に
ようやく笑みを浮かべるイザマーレ
フッと息を吐き、改めて自身を鼓舞させていく
「おい。大事な局面で大遅刻という大失態をやらかしたからには
その責任を背負い、吾輩に従え。お前に、その意思はあるか?」
イザマーレの問い掛けに、鈍色の宝剣が黄金に変化していく
その光景に、ある御方の姿を思い浮かべた
あの日、イザマーレを子羊のような目で見つめた闇の存在
臣下である自分に全てを託され、その後の統治に尽力し
イザマーレの帰還するべき場所を守り続ける、魔界の皇太子ダンケル…
「! …なるほどな。そう考えると、絶好のチャンスではないか。」
ヨッツンハイムの中で無暗に呟き続けた本音の数々を
宝剣に集約させ、自身から取り出した魂の一部と混ぜ合わせ、
言霊で命を吹き込んでいく
次々と変化を繰り返し、やがてひとつの姿となる
―大天使ミカエル誕生の瞬間だった
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