花の懐柔
- RICOH RICOH
- 2024年10月29日
- 読了時間: 3分
スプネリアと言葉を交わした後、俯いていた風帝妃に近寄る影
見上げた途端、表情が変わる
「あら、貴女は……」
「こんにちは、風帝妃様。私はリリエルと申します。はじめまして💕」
一瞬、目を輝かせるが、すぐに視線を逸らし
あからさまに嫌そうな表情を浮かべる
「…リリエル? 嘘おっしゃい!貴女はLilyよ。雷帝妃Liliumの娘!
偽りの名を騙るなんて、信用ならないわね!」
リリエルへの容赦ない悪態に、スプネリアは目を丸くして固まる
「ふふ💕そうね。風帝妃様の仰る通りだわ。
私の種の名前までご存知だなんて、嬉しい(≧∇≦)
でもね、これが今の私の名前なの。大好きな方から名付けられた
この名前が私のお気に入りなのよ♪」
「…ふん!嫌味な子だねえ。名前がいくつもあっちゃ
紛らわしいじゃない!リリエルが良いなら好きにすればいいわ!」
「(*^艸^)クスクスw ありがとう💕そしたら私も、こうお呼びして
良いかしら? Bletilla様♪」
「!!……どうせ、貴女の周りの悪魔達に聞いたんでしょ?」
「当たり~👏👏👏今日はね、ここまで一緒に来てくださったの。
お優しいでしょ?Bletilla様にもご紹介してあげる💕一緒に来て!!」
ニコニコしながら風帝妃の手を握り、部屋の外へ連れ出すリリエル
「とっても素敵な方なのよ💕きっと、Bletilla様も好きになると思うわ💕」
「やれやれ、仕方の無い子だねえ。貴女のお気に入りなんか見たって
私に何の得があるっていうんだい…💦」
憎まれ口とは裏腹に、少しだけ穏やかに笑みさえ浮かべ
リリエルの手に引かれ、なすがままの風帝妃
「ふふ💕やはり、流石ね。リリ…」
一部始終を呆気に取られ、
固まりながら見守っていたスプネリアは
雷帝妃の言葉に我に返る
「彼女をこの部屋から連れ出すのは、いつも一苦労なの
私でさえ、会いに来て、帰ろうとする時になってようやく
見送りに来てくれる。そんな程度よ」
雷帝妃の言葉に更に驚くスプネリア
「それをほんの2、3言の会話だけで、懐柔しちゃうなんてね」
………
雷帝妃たちが風帝妃の部屋を訪れている時
広間に待機していた悪魔とLily‘s
ベルデとLily‘sは、手前のテーブル席に座っていた
メーラは早速スケッチを始めていた
いつもと様子の違うバナトラを気にかけながら
共に大好きなバサラの話で盛り上がる
彼女たちを見守りつつ、のんびりと差し出されたお茶を飲むベルデ
雷神帝とラァードル、イザマーレとウエスターレンは
少しの壁で遮られた奥の院に招かれ
男同士の屈託のない会話を繰り広げていた
「ちょっとちょっと!!
さっきは何事もなかったように振舞ったけどよ、
ウエスターレン君の隣に居た女の子たちの…あの彼女って…💦」
「おや、お気づきでしたか。風神殿」
「やっぱり!!いや、もう気づくに決まってんだろ!!!
あんまり脅かさないでくれよな💦」
副大魔王の言葉に確信した風神帝は、しきりにのどの渇きを潤す
その様子を静かに見守るイザマーレ
「…奥方は、相変わらずですか?」
「ああ…全く、何を悩んでいるのか知らんが、ご存知の通りだ。
今じゃ、すっかり慣れたもんだけどな。儂の前に姿を見せるのも
雷帝妃が来た時だけだ。ラァードル君、ごめんな。
スプネリアは今頃、驚いてるかもな」
何度目かのため息をつき、再びグラスを手にしたその時
「お待たせしました♪♪風帝妃様をお連れしました~(≧∇≦)」
風帝妃を引き連れて現れたリリエルの声に驚き、固まる風神帝
「! Bletilla…!」
「リリエル、こっちへおいで。」
イザマーレは微笑み、リリエルを隣に座らせる
「たったの5分かよ!流石だな、リリエル♪」
その横でウエスターレンが得意げに笑う
「風神殿、Bletilla様は本当に可愛らしい方ですね♪
大好きになっちゃいました(≧∇≦)」
天真爛漫に笑うリリエルを後目に
スプネリアを連れて雷帝妃も戻り、雷神帝の隣に寄り添う
「まったく、リリには負けるわ。やはり敵わないわね♪」
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