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花の懐柔


スプネリアと言葉を交わした後、俯いていた風帝妃に近寄る影

見上げた途端、表情が変わる


「あら、貴女は……」


「こんにちは、風帝妃様。私はリリエルと申します。はじめまして💕」


一瞬、目を輝かせるが、すぐに視線を逸らし

あからさまに嫌そうな表情を浮かべる


「…リリエル? 嘘おっしゃい!貴女はLilyよ。雷帝妃Liliumの娘!

偽りの名を騙るなんて、信用ならないわね!」


リリエルへの容赦ない悪態に、スプネリアは目を丸くして固まる


「ふふ💕そうね。風帝妃様の仰る通りだわ。

私の種の名前までご存知だなんて、嬉しい(≧∇≦)

でもね、これが今の私の名前なの。大好きな方から名付けられた

この名前が私のお気に入りなのよ♪」


「…ふん!嫌味な子だねえ。名前がいくつもあっちゃ

紛らわしいじゃない!リリエルが良いなら好きにすればいいわ!」


「(*^艸^)クスクスw ありがとう💕そしたら私も、こうお呼びして

良いかしら? Bletilla様♪」


「!!……どうせ、貴女の周りの悪魔達に聞いたんでしょ?」


「当たり~👏👏👏今日はね、ここまで一緒に来てくださったの。

お優しいでしょ?Bletilla様にもご紹介してあげる💕一緒に来て!!」


ニコニコしながら風帝妃の手を握り、部屋の外へ連れ出すリリエル


「とっても素敵な方なのよ💕きっと、Bletilla様も好きになると思うわ💕」


「やれやれ、仕方の無い子だねえ。貴女のお気に入りなんか見たって

私に何の得があるっていうんだい…💦」


憎まれ口とは裏腹に、少しだけ穏やかに笑みさえ浮かべ

リリエルの手に引かれ、なすがままの風帝妃





「ふふ💕やはり、流石ね。リリ…」


一部始終を呆気に取られ、

固まりながら見守っていたスプネリアは

雷帝妃の言葉に我に返る


「彼女をこの部屋から連れ出すのは、いつも一苦労なの

私でさえ、会いに来て、帰ろうとする時になってようやく

見送りに来てくれる。そんな程度よ」


雷帝妃の言葉に更に驚くスプネリア


「それをほんの2、3言の会話だけで、懐柔しちゃうなんてね」


………





雷帝妃たちが風帝妃の部屋を訪れている時

広間に待機していた悪魔とLily‘s


ベルデとLily‘sは、手前のテーブル席に座っていた

メーラは早速スケッチを始めていた

いつもと様子の違うバナトラを気にかけながら

共に大好きなバサラの話で盛り上がる

彼女たちを見守りつつ、のんびりと差し出されたお茶を飲むベルデ




雷神帝とラァードル、イザマーレとウエスターレンは

少しの壁で遮られた奥の院に招かれ

男同士の屈託のない会話を繰り広げていた


「ちょっとちょっと!!

さっきは何事もなかったように振舞ったけどよ、

ウエスターレン君の隣に居た女の子たちの…あの彼女って…💦」


「おや、お気づきでしたか。風神殿」




「やっぱり!!いや、もう気づくに決まってんだろ!!!

あんまり脅かさないでくれよな💦」


副大魔王の言葉に確信した風神帝は、しきりにのどの渇きを潤す


その様子を静かに見守るイザマーレ


「…奥方は、相変わらずですか?」


「ああ…全く、何を悩んでいるのか知らんが、ご存知の通りだ。

今じゃ、すっかり慣れたもんだけどな。儂の前に姿を見せるのも

雷帝妃が来た時だけだ。ラァードル君、ごめんな。

スプネリアは今頃、驚いてるかもな」


何度目かのため息をつき、再びグラスを手にしたその時


「お待たせしました♪♪風帝妃様をお連れしました~(≧∇≦)」


風帝妃を引き連れて現れたリリエルの声に驚き、固まる風神帝


「! Bletilla…!」


「リリエル、こっちへおいで。」

イザマーレは微笑み、リリエルを隣に座らせる

「たったの5分かよ!流石だな、リリエル♪」

その横でウエスターレンが得意げに笑う


「風神殿、Bletilla様は本当に可愛らしい方ですね♪

大好きになっちゃいました(≧∇≦)」


天真爛漫に笑うリリエルを後目に

スプネリアを連れて雷帝妃も戻り、雷神帝の隣に寄り添う


「まったく、リリには負けるわ。やはり敵わないわね♪」



 
 
 

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