花の願い
- RICOH RICOH
- 2024年10月28日
- 読了時間: 2分
……
「…かっか…?」
「ここに居るぞ、リリエル。何か、夢でも見たか?」
寝ぼけ眼のリリエルに、悪戯好きのイザマーレの表情は見えていない。
だが…
「…はい。閣下、あの…」
「ん?」
「有名なあのお話の主人公より、厳しく指導していただいた
あの頃の日々を思い出しました(*´艸`*)」
恥ずかしそうに俯くリリエルを抱き寄せ、髪を撫でる
その拍子に、脇に置いたノートPCのモニターが光を放ち
なぜか、イザマーレが見ていたブログが表示されていた
「…あ!!!それ…///////」
「え、あ💦いや…これはだな、その…💦」
さすがのイザマーレも焦り、目を泳がせる
「は、恥ずかしいです…💦///////でも…」
「…リリエル?」
「私にとって歌は、心の拠り所でした。
人間の頃は、なかなかクリスティーヌの最高音まで
到達出来ませんでしたが…💦でも、トレーニングしている時、
いつもファントムのように叱咤激励してくださる
閣下の御姿を思い浮かべていました。」
「……」
「諦めず歌い続けていれば、いつかその先で
閣下にたどり着けるかもしれない…そんな風に願いながら…」
「リリエル…」
涙を浮かべるリリエルを、イザマーレは優しく抱きしめる
「…免許皆伝なんて嫌です…あの日の続きを…
これからもずっと、ご指導ください…ずっとずっと…
お傍に居てください…///////」
率直な想いを吐露し泣き始めたリリエル。
イザマーレは微笑み、髪を撫でる
そっと押し倒し、深く口づけ合い、愛し合う…
……
「始まりの場所」から連れ帰った部屋の中で、
吾輩はお前に問いかけた
「お前、吾輩の声が怖くないのか?」
「あまりにも美しい声なので、聞き惚れていたのです……」
「そうか。お前にも教えてやろうか」
喜ぶお前に、歌い方を教え続けた
要領が良く、最初から高い技量を持ち合わせていたが
どうしても到達できない音があった
女に化身した後、吾輩はお前の出す最高音に気がついていた
その事を伝えてやる暇もなく、事件により引き裂かれたまま……
……
深く絡み合い、堪らず啼き続けるリリエル
その嬌声は、いつでも最高音に到達している
(…なるほど。これではカッカトムも永遠に卒業させないはずだな(笑))
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