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花の願い


……


「…かっか…?」

「ここに居るぞ、リリエル。何か、夢でも見たか?」

寝ぼけ眼のリリエルに、悪戯好きのイザマーレの表情は見えていない。

だが…

「…はい。閣下、あの…」

「ん?」


「有名なあのお話の主人公より、厳しく指導していただいた

あの頃の日々を思い出しました(*´艸`*)」


恥ずかしそうに俯くリリエルを抱き寄せ、髪を撫でる

その拍子に、脇に置いたノートPCのモニターが光を放ち

なぜか、イザマーレが見ていたブログが表示されていた


「…あ!!!それ…///////」


「え、あ💦いや…これはだな、その…💦」

さすがのイザマーレも焦り、目を泳がせる


「は、恥ずかしいです…💦///////でも…」


「…リリエル?」


「私にとって歌は、心の拠り所でした。

人間の頃は、なかなかクリスティーヌの最高音まで

到達出来ませんでしたが…💦でも、トレーニングしている時、

いつもファントムのように叱咤激励してくださる

閣下の御姿を思い浮かべていました。」


「……」





「諦めず歌い続けていれば、いつかその先で

閣下にたどり着けるかもしれない…そんな風に願いながら…」


「リリエル…」

涙を浮かべるリリエルを、イザマーレは優しく抱きしめる


「…免許皆伝なんて嫌です…あの日の続きを…

これからもずっと、ご指導ください…ずっとずっと…

お傍に居てください…///////」


率直な想いを吐露し泣き始めたリリエル。

イザマーレは微笑み、髪を撫でる

そっと押し倒し、深く口づけ合い、愛し合う…


……

「始まりの場所」から連れ帰った部屋の中で、

吾輩はお前に問いかけた


「お前、吾輩の声が怖くないのか?」

「あまりにも美しい声なので、聞き惚れていたのです……」


「そうか。お前にも教えてやろうか」


喜ぶお前に、歌い方を教え続けた

要領が良く、最初から高い技量を持ち合わせていたが

どうしても到達できない音があった


女に化身した後、吾輩はお前の出す最高音に気がついていた

その事を伝えてやる暇もなく、事件により引き裂かれたまま……

……


深く絡み合い、堪らず啼き続けるリリエル

その嬌声は、いつでも最高音に到達している


(…なるほど。これではカッカトムも永遠に卒業させないはずだな(笑))




 
 
 

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