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鉄壁の絆


エンバーミングを施されたクリスタルケースの前で

ベルデがパネルを巧みに操作し、

モールス信号を送り続けている


涙はすでに枯らしたと思い込んでいた


知らせを受け、駆けつけるまでの間

状況を頭では理解するが

それを目にするまで、信じたくもなかった


紅蓮のエレメンツ

光が最も愛した悪魔が

凍りつき、心の臓を止めた姿など……


「君を守りたい…その思いだけが

彼を引き戻させ、最悪の事態だけはどうにか

回避出来たんだ……大丈夫。呪を解き放ってやれば

彼は必ず君に辿り着くよ……」


「……」


ベルデの言葉をじっと聞いていたイザマーレ


「分かった。しばらくの間、奴と2魔にさせてくれるか」


一言告げ、凍えたままのウエスターレンの元へ近付く

紅の口唇に指を這わせ、額を撫でる


「…紅蓮の炎よ……類まれなる能力とは、時に残酷なものだな

覚めぬ悪夢を繰り返し、映し出したのだろうな……」


閉ざしたままの邪眼にキスを落とす





「だが…闘いはまだ、終わったわけではない

吾輩を悲しみのどん底に突き落としておきながら

ヌクヌクと居眠りなど許さんぞ…」


枯れた花を蘇らせるのだ

その為に、お前にはまだ、やるべき事がたんまりとある

そうであろう……?


…いにしえの詩さえ…いとゆかしき…徒然に……ただよえ……


イザマーレの詠唱により

刻みを止めた時の鏡が砕かれ

泡のように弾け飛ぶ

その泡沫に天真爛漫な女の笑い声が木霊する

それはまるで……お互いが今、最も焦がれ待ち望む

可憐な花の姿ように……


「…さあ、目を覚ませ、ウエスターレン…恐れるな…」


躊躇う事なく口唇を重ね、光のエナジーを送り込む






 
 
 

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